本の内容
AI化、グローバル化が進む中で数学の重要性が増していく中で、教育のアップデートが叫ばれている。本書では様々な教育現場でのどのような変化が起きているのか、その取り組みが紹介されている。
数学教育では従来の計算力や問題解く能力を高めることを目的とした教育から数学が必要な場面を先に知ることで自分で意欲を持って学ぶ姿勢を重視するなどの変化が見られている。
AIやビックデータなどでデータの処理の重要性が増す中で文理、老若関係なく数学力を高める必要性、その方法が豊富な取材をもとに書かれています。
この本が向いている人
・数学の重要性を知りたい人
・子供の教育と自分達の教育の違いを知りたい親世代
・数学をどのように学べばいいか知りたい人
本の概要
なぜ数学力の必要性が高まっているのか
日本人だけで仕事を行うのであれば、感覚でのやり取りも可能であったが、グローバル化に伴い、データをもとに判断したり、提案することの重要性が増したため。
ビッグデータの処理を行うデータサイエンティストが注目されているが、データサイエンスには数学が不可欠であることも大きな理由の一つ。
グローバル化やビックデータ、AIなどへの注目から数学の必要性が高まっている
教育現場はどのように変わっているのか
データや数値で根拠を示す必要性から文理問わず数学が必要と考え、文系でも数学が必要な大学が増えるなど教育現場でも大きな変化が起きている。
高校では情報の授業も加わり、デジタル社会での基礎教育として数理、データサイエンス、AIに関する知識技能の取得を目標としている。
全ての人が数学を学ぶように変わってきている。
実際の教育現場ではどのような学び方の変化や工夫があるのか
数学力=計算能力を高める、情報処理能力を高めるという考えではなく、
・日常と数学の結びつきを考える
・数学の楽しさや良さに気づく
・生徒同士で教え合う
・探求型の授業を取り入れる
などの工夫がなされている。
授業=教師から計算方法を教わるというイメージが大きく変わっている。
それぞれの工夫のポイントは
日常と数学の結び付けを考える授業とは?
本人の触れている世界から始めるような授業。10歩、1kgなどを体感してから数学的な感覚を身につけることで日常と数学を結びつける。
探求型の授業とは?
課題や教師の教えることをやるのではなく、自分の気になることを調べていくような授業。教科毎の部屋を用意し、関連する展示物を用意するなど生徒が興味を持てる環境を作ることに注力するような学校も少なくない。
数学の理論や計算法を学ぶだけでなく、自分の興味のあることや日常との関わり合いを感じさせるなどの工夫が見られる。
なぜこのような工夫が必要なのか
情報処理能力ではコンピュータに勝つことは難しく、思考力、判断力、実行力などに優れた人を育てたいと考えている学校も多い。
数学の勉強が必要なシチュエーションを知ることや実際に数学が役立つ場面に先に遭遇することで、数学を学ぶモチベーションが高まる。
そのため始めに理論を教えるのでなく、実践を行い、必要と感じてから理論を学ぶというアジャイル教育を構築している学校も多い。
学びたいという気持ちが自主的な学びにつながり、自主的な学びは主体性、思考力を高めるためにも欠かすことができない。
自主的に学びたいという気持ちをまず始めに持たせるためにさまざまな工夫をおこなっている
現状の問題点と解決法は
情報が強化となっても教える教員がおらず、付け焼き刃になってしまっている学校も少なくない。データサイエンスに特化した学部もできつつあるが、人材は大きく不足している。学生だけでなく、一般人も学び直す仕組みがあれば、多くの人が数学を身につけ人材不足も解消できるはず。
年齢関係なく学び直すための仕組みを構築することで人材難を改善できる。
感想
数学は重要と思いながら苦手意識を持っている人も多いかと思います。その原因が学校の授業にある人も多いかと思います。
なぜ、こんな計算をしなくてはならないのか、どこで役に立つのか?などは誰もが思う疑問かと思います。
数学の重要性が増すなかで重要となるのは、ただ数学の知識や計算を学ぶのではなく、数学の必要性を理解した上で自主的に学んだり、学ぶ姿勢や学び方を学ぶことで何歳になっても学び続けることです。
生徒に興味を持ってもらってから重視している学校が増えています。教師の方々がどのように興味を持ってもらうかを考えていること、生徒が興味を持つことでこれほど難しいことや面白いことをできるということに驚きました。
今はまだこのような対応は私立の一部の学校に留まっていると思うので、公立公などにも早く広まっていき、その流れが一般の人にも広げていくことで多くの人が数学力を高めたり、データの取り扱いや解釈を正しくできるようになれるのではと感じる本になっています。
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