本の概要
データ社会ともいわれる時代になり、データの取り扱いは誰のでも求められる能力になりつつあります。
特にデータの羅列からデータの持つ意味や伝えたいことを考え、視覚的に表現することで直感的にデータを理解できるようにすることができれば大きな武器となります。
データ可視化を活用した報道コンテンツの開発、デザイン、記事執筆を行い、グッドデザイン賞などを受賞した筆者によって、データの可視化をどのように行うべきか書かれた本になっています。
この本がおすすめの人
・グラフの作成が苦手な人
・良いデータをほかの人に伝える方法が分からない人
・データの可視化する方法を知りたい人
本の要約
データを扱うスキルが多くの人に求められるようになっています。
正しくデータを理解し、見やすく視覚的に表現する能力は大きな武器になります。
上手にデータの可視化することで、伝わりにくいデータを直感的に理解できるようにすることができます。
データの可視化を行う上で気を付ける点は以下の通りです。
・誰に伝えたいかを考える
・データの定義を確認する
・数字の意味を考える
・コンセプトをきちんと設定する
データを直感的に理解できる形に変換できているか、自分の伝えたいデータの意味がきちんと伝わっているかを確認することが大事です。
具体的に可視化を行うときにはまず、数字の羅列であるデータを分類、並べるなどしでデータの軸を見つけます。
データの軸を視覚表現に変換することでデータの可視化をすることができます。
データの尺度によって適切な視覚表現は異なるため、データの尺度には注意が必要です。
機器の発達で誰でもデータの可視化ができるようなったり、デジタル化によって新しい表現法が生まれています。
データを直感的に理解できる視覚表現に変えることができれば、あらゆる場面で強い武器となります。
まずは作ってみることから始めることでいろいろなことが見えるようになってきます。
なぜ、データ思考が必要なのか?
仕事でも日常生活でもデータを扱うスキルは誰もが例外なく求められる必須教養になっています。
データを正しく理解し、伝えるうえで、データを分かりやすく、見やすく視覚的に表現するデータ可視化の技術が大きな武器となります。
誤ったデータ可視化は周囲からの信頼を失ったり、誤解を招く可能性もあり、正しいデータ可視化の能力は多くの場面で必要になってきます。フェイクニュースなど誤解を与えることを目的とした可視化が行われることもあり、可視化の能力を身に着けることで、偽情報を見抜くこともできます。
一方で適切なデータ可視化はデータの持つ意味を最大限伝えることができる可能性も秘めており、その重要性は大きくなっています。
データを扱うスキルの重要性が増し、正しいデータの可視化を行う必要性は増しています。
データの可視化を行ううえで重要なデータ思考の必要性も増しています。
データ可視化はなんのために行うものか?
データ可視化は見せるためのものと思われがちでですが、最終的な目標は直感的に理解させることでそのために様々な手法を用いています。
人は数値そのものや数値の羅列を読み解くことが苦手なため、良いデータだけがあっても周囲には伝わりません。
周囲を説得するためにも適切なデータ可視化を行うことが必要になってきます。
データの可視化はそのままでは伝わりにくいデータを直感的に理解させるために行うものです。
データの可視化を行う上で最も重要なことは何か
データ可視化で最初に考えるべきは誰に伝えるのかです。
自分のため、社内など組織のため、社会一般のためのどこに伝える必要があるのかを考えることが重要です。
特に社会一般に伝えるには、正確に伝わること、わかりやすいことだけでは十分ではありません。あまり興味のない人にも知ってもらう必要があり、可視化の重要性は特に大きくなります。
まずは、誰に伝えるかを決めることが重要です。
データを読み解くときに気を付ける点は何か?
データを読み解く際には以下のことに注意すべきです。
・データの定義を確認する
・集計方法と調査範囲
・更新のタイミングがいつか、推定値なのか確定値なのか
自分の想定とデータの出典での統計や集計法に異なる場面がないか、推定値の場合は確定値と比較しどれくらい誤差があるのかなどを考慮することが求められます。
定義や、集計法、更新のタイミング、推定値か確定値などに気を付けてデータを読み解く必要があります。
データを可視化する上で気を付けることは何か?
数字が私たちの前の生活や実例に結びつかないような、データ可視化では、ユーザーに響かず終わってしまいます。
グラフは具体的なイメージにつながりにくい傾向にあり、データの内容や意味と直結するようなデータ可視化でないと効果的でわかりやすくなりません。
データ可視化を行う上で気を付けるべき点には以下のようなものが挙げられます。
・相関関係と因果関係を混同していないか
2つ以上のデータを扱う際には相関関係と因果関係に注意します。
・どれだけ多くのデータ網羅的に見せるかを重視しない
あるデータをすべてみせることではなく、ユーザーがデータを理解する、データについて新しい発見をすることを目的とすべきです。
・数字の持つ意味をしっかり考える
単にデータを可視化するのではなく、数字の持つ意味、暗示=メタファーをしっかり考え、伝えることを重視します。
数字の持つ意味をつかむ事でどのような可視化が有効か考えやすくなります。
・コンセプトを設定する
データ可視化する際にどこが面白い部分なのかを考えることで、作りこむ優先順位を設定する。
・データの引き出しを作る
興味深いデータをストックしておき、ニュースに触れたときなどに可視化できるようにしておく。
データの内容や意味と直結するようなデータ可視化を行い、直感的に理解させることができているかに注意するとよい可視化ができます。
データ可視化するためにはどうすればよいのか
データは純粋な数字の羅列ではなく、分類したり、時系列に並べることができます。分類や時系列がデータの軸となります。
データ可視化とはこの軸を縦、横、サイズ、色、奥行き、動きといった視覚表現に変換する行為といえます。
縦軸と横軸に並べるだけでなく、データの量をサイズで表現したり、色でデータの種類を表すなどすることで多くの軸を組み合わせ、データの可視化を行うことができるようになります。
データは数値の羅列ではなく、分類や時系列などの軸で考え、軸を視覚表現に変換することがデータの可視化になります。
可視化する上でデータをどのように扱えばよいのか
データは変数とも呼ばれますが、その性質によって4つに分類されます。
・比例尺度:売上、点数、身長など AはBの〇倍という表現が可能
・間隔尺度:偏差値、気温など AはBの〇倍という表現が不可能
・順序尺度:順序を表す 平均値をとることは不可能
・名義尺度:性別、国名など名前や種類を表す 大小を比べたり、平均をとることは不可能
それぞれの尺度に合わない可視化をしてしまうと違和感が大きくなったり、うまく意味が伝わらないなどの問題が発生します。
一方で、軸を意識することで、うまく可視化することで見慣れたデータや興味の薄いデータでも新鮮な見方を提供することが可能になります。
データの尺度に合わせて適切な軸を用いることでうまい可視化ができるようになります。
データの可視化の際にデザインはどう考えるべきか
データ可視化にデザインは欠かすことができません。デザインにはただの飾りつけではなく、必然性のあるデザインをすることが求められます。
複雑なデータを解りやすくする作業は翻訳作業に近いものがあります。
直訳で意味が通じない場合には、原文の暗示する要素も含めて翻訳する必要があり、データの可視化でも同じような視点が必要です。
ただ、数字を羅列したりするのではなく、何を意味しているのか、何を伝えたいのかを考え、伝えるための可視化を行うことが必要です。
デザインはただの飾りではなく、必然性のあるものにすべきです。データが何を意味しているのかを考え、意味を伝えるための可視化、デザインが必要です。
データの可視化の際にデザインで気を付ける点はどこか
データの可視化のデザインでは以下のような考え方が重要です。
・データの情報量を落とさないことでデータの微妙なニュアンスも伝える
・比較を活用して、数字の意味を分かりやすくする
データの可視化する際にはシンプルなほうが良いと言われますが、シンプルなデザインは殺風景、手抜きなどのイメージを持たれてしまうことも多くあります。
単調さを感じさせないシンプルなデザインでデータに興味を持ってもらうことは非常に難易度が高いことも意識しておくべきです。
派手な装飾が必要なわけではありませんが、目を引いてもらうにはデザインを工夫する必要があります。特にユーザーのボタンを押す、スクロールするなどの動作に応じて画面が変化するインタラクションはデータ可視化の使い勝手を大きく向上させる可能性を秘めています。
シンプルで目を引くことは想像以上に難しいことです。
派手な装飾でなくても目を引いてもらうようなデザイン上の工夫は必要です。
ユーザーからの反応にはどうこたえるべきか
データの可視化を行った際にユーザーから反応に応じて、変更や改良を行うこともあうときにも注意が必要です。
ユーザーの意見は正しいとは限らず、ユーザーの意見ではなく反応を見ることが重要です。
ユーザーの意見や要望をもとにデータや機能を足しすぎると新しいユーザーへの壁が高くなってしまいます。
ユーザー全体のためになるか、そもそものコンセプトにあっているのかを検討することが重要です。
多くの反応を集めるにはデータが話題になるタイミングで提供すること、シェアしやすい形で提供すること大事な点になります。
ユーザーの意見が正しいとは限らないため、意見ではなく反応を見るべきです。
変更するときには一部ではなく全体のユーザーのためになるのか、コンセプトに合っているかを検討することが大事です。
データを扱う上で意識すべき点は何か
データや数値はわかりやすい反面、偏見や先入観を助長してしまうこともあります。
性別の色分け(男性=青、女性=赤)や感染症の発症地域などの取り扱いには注意が必要です。
何を可視化するかだけでなく、何を可視化すべきでないかを考えることも重要です。差別や偏見につながる可視化や特定の人に不利益をもたらすデータの可視化は避けるべきです。
とにかく新しい情報を可視化すればよいと考えるのではなく、何を伝えるか、何が伝わるのを考えることが重要です。
また、可視化したデータをユーザーが検証可能にしておくことも必要です。元データへのアクセス、や出典、加工方法、更新履歴を残しておくことも大事です。
数値やデータはわかり安い反面偏見や先入観を助長することがあります。
公開するまえに可視化すべきではないデータかを考えることが大事になります。
データ可視化はどう変わっていくのか
デジタル化に伴い、データ可視化にも新しい表現が生まれています。デジタル端末の表現を生かすことでさらなる可視化も可能になっています。
新聞や雑誌の購読者が減る中で、デジタル表現は特に若い世代の潜在読者と報道機関をつなげる役割を果たしています。
元となるデータとして多くのデータを行政が集め、公表しています。行政のデータは見にくく使いにくいとう意見も多いことが現状です。
しかし、きわめて高い公平性が必要な行政は、ユーザーの目的を推測してデータを編集することは難しい立場にあります。
データの広範囲での取得は民間には難しい側面もあり、データの取得は行政が行い、可視化や活用は民間が行うという役割分担が最終的な利便性を高めると考えられます。
データの可視化によって、データを直感的に理解できる視覚表現に変えることができれば、ビジネスでも研究でも報道でも強い武器になることは間違いありません。
データの可視化が誰でもできる時代になっており、まずは作ってみるところから始めてみるといろいろなことが見えてきます。
デジタル表現で可視化の可能性は大きく広がり、直感的にデータを理解できる形に変換する能力は多くの場面で強い武器になります。
最も広範囲からデータを集めることのできる行政は高い公平性が求められるためデータの可視化を行いにくい状況にあります。
データを行政が集め公開し、可視化や活用を民間が行うような体制が利便性を高めていきます。
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