本の概要
日本の少子化や高齢化は大きな問題ですが、その解決は容易ではありません。
日本の少子化対策が成功していないことも確かですが、海外の少子化対策に成功し、出生率が向上した先進国であっても、人口を維持できるだけの出生率には達していません。
資本主義下での人口減少は不可避であり、抜本的な少子化、人口減少対策が難しいことは世界的な潮流から明らかになりつつあります。
そこで注目されているのが社会主義による格差のない平等社会による人口減少の阻止になっています。
格差を是正することが困難な資本主義では人口減少を防ぐことが困難であること、社会主義が人口減少を食い止める可能性があるのかなどを知ることができる本になっています。
この本や記事で分かること
・なぜ、人口の減少が止められないのか
・今、なぜ資本主義の限界が叫ばれているのか
・なぜ、マルクス経済学、社会主義は人口減少を食い止める可能性があるのか
現在の日本の問題は何か


少子化、人口減少、高齢化に伴う労働者減少と負担増などの問題が大きく
解決は容易ではありません。
人口維持に必要な出産するを達成できる目途は全く立っていません。
少子化から脱却できる可能性はあるのか


日本の少子化の要因は経済的な理由が大きいものであり、他国での少子化対策が功を奏した国もあるため、ある程度の改善は可能です。
しかし、抜本的な少子化を食い止める目途の立っている国はなく、資本主義下で人口減少対策を行うことが難しいことも明らかになりつつあります。
なぜ、資本主義で人口減少が起きてしまうのか


資本主義は生産要素として扱われる、労働力と資本の内、資本を重視することで発展してきました。そのため労働力≒人間への再分配を軽視しやすい構造を持つため、人口減を起こしてしまいます。
なぜ、いま、資本主義の問題が大きくなっているのか


経済活動の性質の変化によって、資本の永久の大きい生産設備の重要度下がり、労働者の質の影響が増加しています。
資本主義はこの変化に対応できないため、人口減少につながってしまっています。
今後、資本主義はどうなっていくのか


資本主義はより安価の労働力を持つ途上国に生産設備を移すことで発展してきましたが、今世紀末には成果の人口がピークアウトし、安価な労働力の供給先は消失してしまいます。
資本を重視する資本主義ではこの環境に適応する対策を持っていません。
そのため、マルクス経済学の考え方が重要になります。
なぜ、マルクス経済学は資本主義にできないことができるのか


格差の拡大が下層の少子化を起こし、人口減少につながることは明らかです。
資本主義下でも、格差の改善は可能ですが、資本家と労働者という2つの階級を生み出す資本主義では、どうしても格差は発生するものです。
社会主義では貧困の根絶=平等化社会こそが人口減少を解決策と考えているため、人口減少を解決できる可能性を秘めています。
なぜ、少子化対策はうまくいかないのか


現在の日本の少子化対策は、社会構造の本質的な問題を解決するものでなく、
表層的なものでしかないため、問題の改善にもつながっていません。
社会主義による改革はなぜ批判されるのか


貧困を前提にしない格差のない社会というと非現実的、生産性を阻害するなどの批判が起きます。しかし、多少空想的なことをしなければ、人口減少を防ぐことは不可能ですし、経済の質の変化で労働者の重要性が増す中では労働力の待遇改善が生産性向上につながる可能性もあります、
最も重要なことは人口減少問題の裏には貧困問題があることへの理解を進めることです。
本の要約
日本社会は元気になる話題がないばかりか、将来を考えると不安になる状態です。
特に少子化と人口減小、高齢化による労働者減少と高齢化による負担増加は大きな問題ですが、解決は容易ではありません。
ある程度小さくなっても、人口維持可能であれば持続可能ですが、定常な状態を保つには女性ひとり2.07人の子供を産む必要がありますが、現在の日本は1.26と人口維持にも遠く及ばない状態です。
日本の少子化はかなり急速に進みましたが、そのほかの国でも、程度の差はあれど、少子化は進行しています。
資本主義下では少子化のある程度の改善は可能ですが、抜本的な少子化、人口減少対策が難しいことは世界的な潮流から明らかになりつつあります。
若者の多くが結婚、出産できていない大きな理由は、経済的な理由です。賃金の低迷、非正規雇用増加、教育費などのコスト増加などから多くの人が子供を産むことを諦めてしまっています。
近代経済学のモデルでの研究から、人口減少を止めることはできず、将来的には人口がゼロになってしまうという事実が明らかになっています。
資本主義では、生産要素としてあげられる労働力と資本のうち、資本を重視することで発展してきましたが、労働力≒人間への分配を軽視したことで、人口減を招いてしまったと解釈できます。
これまで、資本主義によって世界は大きく発展してきました。生産量は生産設の備質と量、労働の質と量の掛け算で決まります。
これまでは生産設備の比重が大きかったものの、現代の経済は生産設備以上に労働者の重要性が増しています。資本主義ではこの変化に対応することができていないため、人口減少につながってしまっています。
今は途上国の人口増加が続いているため世界全体では人口が増えていますが、今世紀末には世界人口もピークアウトする可能性が高く、そうなったときに資本主義の正当性は失われてしまいます。
資本主義は、より安価な労働力を求めて途上国へ生産設備を移すことが資本を増大させることで発展してきたため、労働力の再生産を重視してきませんでした。
資本偏重の姿勢が人口減少を招くこととなっています。これまでは新しい途上国に生産を移すことで、対応してきましたが、途上国がなくなる今世紀末には完全に資本主義は行き詰ってしまいます。
こうした新しい枠組みでの対策を資本主義は持ち合わせていないため、マルクス経済学の考えが重要になってきています。
格差が広がることで、下層の人々が人口再生産できず、人口減少となることは歴史的にも明らかになっています。
資本主義経済内でも、労働者の保護や待遇改善、女性の家事負担の軽減などのジェンダー差別の解消などである程度の改善は可能ですが、人口減少という事態を克服することは簡単ではなく、相当に根本的な社会改革が求められます。
マルクス経済学では人口再生できない貧困の根絶=平等化社会以外に人口問題を解決する方法はないと考えています。
社会主義は社会的必要事項(医療や教育)は社会の責任で社会が負担すべきという考えのもとなりたっているものです。
すべての子供が平等に扱われる社会であってこそ、本当に安心して子供が産める社会の実現が可能です。
資本主義では、資本家と労働者の2つの社会階級が生み出され、労働者が低賃金であるほど、利益を得やすいため、どうしても格差の発生を防ぐことができません。
貧困と格差の問題は、庶民に冷たく企業利益を優先する政府の基本姿勢に問題がありますが、それだけでなく、労働組合の弱さ、ジェンダー差別(女性の社会進出の妨げと、男性への過剰な期待)、過剰な不動産投資による住宅価格の向上などにもあります。
現在の少子化対策はこれらの社会構造の本質的な問題を改善するものでなく、表層的なものでしかないため、大きな効果が挙げられていません。
特に日本では、経済的に余裕のある人しか結婚、出産ができていないため、子育てのために所得の再分配を行っても、経済的な理由から結婚できない人たちの所得が減り、経済的に余裕のある人へ所得が分配される逆再配分が起きてしまっています。
貧困を前提にしない格差のない社会というと、非現実的、生産性を阻害するなどの批判がありますが、人口減少に対抗するには不可欠な考えです。
生産設備以上に労働者の重要性が増している現代では、労働条件の改善は生産性向上につながっていくともいえます。
資本主義からの脱却にはいまだ空想的な部分がありますが、多少空想的と思えることをしなければ、人口減少を防ぎ、持続可能な社会を実現できないことも間違いありません。
人口問題の裏には貧困問題があることを十分に理解しておくことが不可欠になっています。
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