アルファベットの時価総額3兆ドル突破　アルファベットの事業内容は？好調の理由は？

この記事で分かること

アルファベットの時価総額3兆ドル突破

　Googleの親会社であるアルファベット（Alphabet）が、2025年9月15日（月）の米国株式市場で、史上初めて時価総額3兆ドルを突破しました。これにより、アルファベットはApple、Microsoft、Nvidiaに次いで、この偉業を達成した4番目の企業となりました。

　https://jp.reuters.com/markets/japan/funds/TG3W4HPF5BKQHNGJNHJAYEHG2M-2025-09-15/

　特に、AI分野における同社の将来性への期待が、今回の時価総額3兆ドル突破に大きく貢献したと見られています。

アルファベットの事業内容は

　アルファベットは、Googleを中核とした持ち株会社で、多岐にわたる事業をグループ全体で展開しています。主な事業セグメントは以下の3つに分類されます。

1. Googleサービス

　アルファベットの収益の大部分を占める中核事業です。

• 広告事業: 検索結果に表示される広告（Google広告）、YouTube動画広告、Google以外のウェブサイトに広告を掲載して手数料を得る「Google AdSense」など。
• Google検索: 世界最大の検索エンジン。
• YouTube: 動画共有プラットフォーム。広告収入だけでなく、「YouTube Premium」などのサブスクリプション収益も増えています。
• Android: 世界で最も利用されているモバイルOS。
• Chrome: ウェブブラウザ。
• デバイス: Pixelスマートフォン、スマートスピーカー「Google Nest」、フィットネスデバイス「Fitbit」など。
• Google Play: アプリストア。
• その他: Googleマップ、Gmail、Googleドライブ、Googleドキュメントなど、無料のオンラインサービス。

2. Google Cloud

　企業や開発者向けのクラウドコンピューティングサービスを提供しています。

• Google Cloud Platform（GCP）: サイバーセキュリティ、データ分析、AI、機械学習、インフラなどの技術を提供。
• Google Workspace: Gmail、Googleドキュメント、Googleカレンダーなどの生産性向上ツール。

3. Other Bets（その他の事業）

　「ムーンショット」と呼ばれる、将来の成長を見据えた野心的なプロジェクトを担う事業群です。

• Waymo: 自動運転車の開発。
• Verily: 生命科学とバイオテクノロジー。
• Calico: 寿命延長の研究。
• Wing: ドローン配送サービス。
• X: 革新的なテクノロジーを研究・開発する部門。
• CapitalG: 成長段階の企業に投資するベンチャーキャピタル。

　アルファベットは、Googleの強力な広告収益を基盤に、AIやクラウド、自動運転といった最先端技術にも積極的に投資を行うことで、事業の多様化と将来的な成長を目指しています。

好調の理由は何か

　Googleの親会社であるアルファベットの好調は、主に以下の3つの理由に集約されます。

1. 広告事業の堅調な成長

　主力の広告事業が依然として好調で、収益の大部分を占めています。

• 検索広告: AIを活用した広告の最適化により、広告主の投資対効果が向上し、需要が拡大しています。
• YouTube広告: ショート動画「YouTube Shorts」の普及やコネクテッドTV（テレビをインターネットに接続する技術）への広告表示が増加し、収益を押し上げています。

2. AI技術への積極的な投資

　生成AI「Gemini」の開発と、その技術の製品への統合が、将来的な成長への期待を高めています。

• 検索エンジンへの応用: 検索結果の要約や、より複雑な質問への回答が可能になることで、ユーザー体験が向上し、広告のクリック率も改善する可能性があります。
• Google Cloudへの貢献: AI技術の進化により、企業向けクラウドサービス「Google Cloud」の競争力が強化され、顧客数の増加につながっています。

3. コスト削減と効率化

　近年、人員削減や不動産の整理といったコスト削減策を講じており、利益率の改善に寄与しています。これにより、市場はアルファベットの経営効率が向上していると評価しています。

　これらの要因が複合的に作用し、投資家からの期待が高まり、株価の上昇と時価総額3兆ドル突破につながっています。

今後の予測はどうか

　アルファベットの今後の見通しについては、複数の要因からポジティブな予測が多く見られます。

ポジティブな要因

• AIへの期待: 生成AI「Gemini」をはじめとするAI技術への積極的な投資が、今後の成長を牽引すると見られています。特に、検索、クラウド、広告などの主力事業にAIが深く統合されることで、新たな収益源の創出や、既存事業の効率化が進むと予測されています。
• Google Cloudの成長: 企業向けクラウドサービス「Google Cloud」は、AIインフラの需要増加を背景に、売上を大きく伸ばしています。アマゾンやマイクロソフトといった競合との競争は激しいものの、AI技術の強みを活かし、今後も成長が期待されています。
• 独占禁止法訴訟への決着: 長期にわたる独占禁止法訴訟において、Googleが有利な判決を得たことで、事業運営における不確実性が減少しました。これにより、投資家はより安心して長期的な成長を見込めるようになりました。
• 「Other Bets」の潜在力: 自動運転車の「Waymo」や生命科学の「Verily」など、現在は赤字の「Other Bets」事業も、中長期的な視点では大きな収益源となる可能性があります。これらの事業が実用化・収益化に成功すれば、株価をさらに押し上げる要因となり得ます。

リスク要因

• 規制リスク: 独占禁止法訴訟は有利な決着となりましたが、世界各地でテクノロジー企業に対する規制の動きは続いており、引き続きリスク要因となります。
• AI開発のコスト: AI開発には莫大な投資（データセンターやカスタムチップなど）が必要であり、これが今後もコスト増につながる可能性があります。
• 広告市場の動向: 経済情勢の変動は広告市場に直接影響するため、景気後退などが起きれば、主力である広告事業の収益が伸び悩む可能性があります。

　これらの要因を総合すると、専門家の間ではアルファベットの成長見通しは依然として非常に強いという意見が多数を占めています。

　アナリストの目標株価は概ね上昇傾向にあり、中長期的に株価はさらに上昇する可能性があると予測されています。