アプライド・マテリアルズへの中国企業による提訴 提訴の内容は?

この記事で分かること

  • 提訴の内容:半導体ウェハのプラズマ源および表面処理に関する技術の営業秘密侵害を巡るものです。アプライド・マテリアルズが、元従業員を通じて同社の技術を不正に取得し、特許出願に利用したと主張されています。
  • どんな技術に関するのか:訴訟の対象となっているのは、半導体ウェハの表面を洗浄・改質する際のプラズマ技術です。特に、ウェハ表面の微細な不純物や欠陥を除去するためのプラズマ源と、そのプロセスに関する営業秘密が争点となっています。

アプライド・マテリアルズへの中国企業による提訴

 北京屹唐半導体科技(Beijing E-Town Semiconductor Technology)が、米国の半導体製造装置大手アプライド・マテリアルズ(Applied Materials)を提訴したという情報が報じられています。

 具体的には、屹唐半導体科技とマットソン・テクノロジー(Mattson Technology)が持つ技術ノウハウが、アプライド・マテリアルズが中国国家知識産権局に申請した特許に漏えいしていると批判しています。 

 この件は、米中間の技術覇権争いが激化する中で、知的財産権を巡る対立が顕在化した事例として注目されています。

どんな技術についての提訴なのか

 北京屹唐半導体科技がアプライド・マテリアルズを提訴した件は、プラズマ源およびウェハ表面処理に関する技術の営業秘密侵害を巡るものです。具体的には、北京屹唐半導体科技の主張は以下の通りです。

  • 技術内容: 半導体ウェハの表面処理プロセスに使用される、プラズマ源に関する中核的な技術。
  • 不正取得の経緯: アプライド・マテリアルズが、北京屹唐半導体科技の子会社であるマットソン・テクノロジー(Mattson Technology)の元従業員2人を雇用した。この2人は、マットソン社の独自技術にアクセスできる立場にあった。
  • 営業秘密の侵害: アプライド・マテリアルズは、この元従業員2人を主要な発明者として、中国で特許を出願した。この特許出願に、北京屹唐半導体科技とマットソン社が共同で保有する機密情報や技術ノウハウが含まれていた。
  • 法的根拠: この行為は、中国の反不正競争法に違反し、営業秘密を侵害している。

 この訴訟は、米中間の技術競争が激化する中で、知的財産権を巡る対立が法廷に持ち込まれた事例として注目されています。アプライド・マテリアルズは、この件についてまだ公式なコメントを発表していません。

米国の半導体製造装置大手アプライド・マテリアルズが、中国の北京屹唐半導体科技に提訴された件は、半導体ウェハのプラズマ源および表面処理に関する技術の営業秘密侵害を巡るものです。アプライド・マテリアルズが、元従業員を通じて同社の技術を不正に取得し、特許出願に利用したと主張されています。

ウエハのどの表面処理でのプラズマ技術なのか

 北京屹唐半導体科技がアプライド・マテリアルズを提訴した件は、半導体ウェハのプラズマ源およびウェハ表面処理に関する技術を巡るものです。具体的には、プラズマ技術を用いたウェハ表面の洗浄や改質のノウハウが不正に利用されたと主張されています。

プラズマ技術と半導体製造

 半導体製造において、プラズマ技術は非常に重要な役割を果たします。プラズマとは、固体・液体・気体に次ぐ物質の第四の状態であり、電離した気体です。このプラズマのエネルギーを利用して、ウェハの表面に様々な処理を行います。

 プラズマ技術の主な用途は以下の通りです。

  • エッチング: ウェハ表面の不要な部分をプラズマの力で削り取る微細加工技術です。
  • 成膜(CVD): プラズマを利用して、ウェハ表面に薄い膜を形成する技術です。
  • クリーニング: プラズマの化学反応でウェハ表面の微細な不純物や有機物を除去する技術です。

 今回の訴訟は、これらのプラズマ技術の中でも特に「プラズマ源」と、それを用いた「ウェハ表面処理」に関する営業秘密が侵害されたとされています。

訴訟の対象となっているのは、半導体ウェハの表面を洗浄・改質する際のプラズマ技術です。特に、ウェハ表面の微細な不純物や欠陥を除去し、次の工程に適した状態に整えるためのプラズマ源と、そのプロセスに関する営業秘密が争点となっています。

洗浄にプラズマを利用する理由は何か

 半導体製造における洗浄にプラズマを利用する主な理由は、乾燥状態で微細な不純物を効率よく除去できるからです。


プラズマ洗浄の利点

 プラズマ洗浄は、従来の湿式洗浄(化学薬品を使った液体洗浄)に比べて多くのメリットがあります。

  • ドライプロセス: 液体を使わないため、洗浄後の乾燥工程が不要です。これにより、プロセス時間の短縮や、液体によるウェハ表面へのダメージ(ウォーターマークなど)を防げます。
  • 高い洗浄能力: プラズマに含まれる活性種(イオンやラジカル)が、ウェハ表面の有機物や微細なパーティクルと反応し、ガスとして除去します。これにより、従来の洗浄では難しい、微細な凹凸部分の不純物も効果的に取り除けます。
  • 環境負荷の低減: 液体洗浄で使われる大量の化学薬品や純水が不要なため、環境への負荷を減らせます。
  • 低ダメージ: 低温・低圧下で処理ができるため、ウェハへの熱的・物理的なダメージを抑えられます。これは、より微細な回路パターンの保護に重要です。

 これらの利点から、プラズマ洗浄は、回路の微細化が進む現代の半導体製造において不可欠な技術となっています。

洗浄にプラズマを利用する主な理由は、乾燥状態で微細な不純物を効率よく除去できるためです。液体を使わないので、洗浄後の乾燥が不要になり、回路パターンへのダメージや水滴跡(ウォーターマーク)を防ぎます。

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