イサハヤ電子株式会社の半導体分野における高度人材の育成 どの様な育成を行っているのか? なぜ半導体人材の育成が重要なのか?

この記事で分かること

・イサハヤ電子はどのような育成を行うのか:コンソーシアムへの参加、教員向けの研修、産学連携での人材育成を行っている。

・なぜ半導体人材の育成が重要か:市場の拡大と国内での開発、製造能力強化が求められるにもかかわらず、技術者の高齢化や若手人材の不足が問題視されているため、高度人材の育成が非常に重要になっています。

・なぜ、人材が不足するのか:日本では、近年の半導体市場の縮小で人材が大きく不足、大学での半導体分野も減少したことで、人材が不足しています。

イサハヤ電子株式会社の半導体分野における高度人材の育成

  イサハヤ電子株式会社が、長崎総合科学大学と協力し、半導体分野における高度人材の育成に取り組んでいることがニュースになっています。

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また、イサハヤ電子は「ながさき半導体産学コネクト」に参加し、半導体関連企業と大学等との共同研究や生産における課題解決を通じた人材育成および連携交流を促進するなど半導体分野の人材育成に積極的です。

イサハヤ電子はどんな企業なのか

 イサハヤ電子株式会社は、1973年に設立された半導体メーカーで、本社は長崎県諫早市です。

 同社は、小信号トランジスタを中心とした半導体デバイスや電源製品の設計・開発・生産・販売を一貫して行っており、これらの製品は家庭用電化製品や自動車、産業機器、再生可能エネルギー分野など、幅広い用途で使用されています。

 特に、小信号トランジスタにおいては国内トップ3のシェアを持ち、国内唯一のアナログ半導体専業メーカーとして、電源制御用小型トランジスタやパワー半導体用モジュールを製造しています。

 また、太陽光や風力発電などのインバータ回路用IGBTドライバでは国内トップシェアを誇ります。

 同社は、設計・開発部門を本社に、量産工場を中国とフィリピンに、販売拠点を大阪、香港、シンガポールに展開し、グローバルに事業を展開しています。2023年には創立50周年を迎え、長崎大学との産学共同研究開発を開始するなど、技術革新にも積極的に取り組んでいます。

イサハヤ電子はどのように育成を行う予定なのか

 イサハヤ電子株式会社は、半導体分野の高度人材育成に向けて、以下のような取り組みを行っています。

1. 九州半導体人材育成等コンソーシアムへの参加

 イサハヤ電子は、九州経済産業局が主導する「九州半導体人材育成等コンソーシアム」に参加しています。このコンソーシアムは、半導体関連企業や教育機関、行政機関などが連携し、半導体人材の育成と確保、企業間取引やサプライチェーンの強化、海外との産業交流促進を目的としています。

2. 教員向け研修会の実施

 同コンソーシアムの活動の一環として、教員向け研修会が開催されています。これは、学生の進路選択に影響を与える教員を対象に、半導体関連企業での研修や卒業生との座談会を通じて、半導体産業の理解を深めてもらうことを目的としています。

 イサハヤ電子も、これらの研修会に協力し、教育現場との連携を強化しています。

3. 産学連携によるカリキュラム開発

 イサハヤ電子は、産学連携を通じて、半導体教育カリキュラムの構築にも取り組んでいます。これは、工業高校や高等専門学校、大学の電気電子工学科だけでなく、機械科や理学部、さらには文系学生も対象に、半導体の横断的教育を提供することを目指しています。

 具体的には、「半導体工学概論」や「半導体デバイス工学」といった講座を実施し、学生の専門知識を深めるとともに、クリーンルーム内でのものづくり体験などの実習講座も提供しています。

 これらの取り組みにより、イサハヤ電子は、地域の教育機関や他の企業と協力しながら、半導体分野の高度人材育成を推進しています。

コンソーシアムへの参加、教員向けの研修、産学連携での人材育成を行っています。

半導体の高度人材の育成がなぜ重要なのか

半導体の高度人材育成が重要な理由は、次のような点にあります。

1. 半導体は現代社会の基盤技術

 半導体は、スマートフォン、家電、自動車、医療機器、AI、IoT、5G、量子コンピュータなど、あらゆる分野で不可欠な存在です。そのため、半導体技術の発展と安定供給が社会全体に大きな影響を与えます。

2. 供給網の安定化と経済安全保障

 近年、米中貿易摩擦や地政学リスクによって、半導体のサプライチェーンが不安定になっています。日本政府も「経済安全保障」の観点から、国内での半導体開発・製造能力の強化を進めています。そのためには、高度な技術を持つ人材が不可欠です。

3. 技術革新と国際競争力の維持・向上

 半導体業界は技術進歩が速く、微細化、低消費電力化、高性能化が求められます。AIや量子コンピュータなどの新技術にも対応できる高度な知識を持つ人材が必要です。特に日本は、かつて半導体分野で世界をリードしていましたが、現在は台湾・韓国・米国などが優勢です。国際競争力を維持・強化するためには、高度人材の育成が急務です。

4. 人材不足の深刻化

 半導体産業では、技術者の高齢化や若手人材の不足が問題視されています。専門知識を持つ人材の育成と確保ができなければ、国内の半導体産業の発展が難しくなります。そのため、大学や企業が連携して教育プログラムを強化することが重要です。

5. 半導体技術の裾野の広がり

 半導体技術は、AI、バイオテクノロジー、再生可能エネルギー、宇宙開発などの先端分野とも密接に関係しています。そのため、半導体の高度人材を育成することは、他の最先端技術の発展にもつながります。

市場の拡大と国内での開発、製造能力強化が求められるにもかかわらず、技術者の高齢化や若手人材の不足が問題視されているため、高度人材の育成が非常に重要になっています。

なぜ半導体分野の人材が不足しているのか

 半導体分野の人材が不足している理由はいくつかあります。

1. 技術の高度化と専門性の高まり

 半導体技術は急速に進化しており、微細化技術(例:3nmプロセス)、AI向けチップ、量子コンピュータ向け半導体など、最先端分野では高度な知識が求められます。そのため、一般的な理系スキルでは対応できず、専門的な教育を受けた人材の供給が追いついていません。

2. 半導体産業の再興による急な需要増

かつて日本は半導体産業で世界をリードしていましたが、1990年代以降、台湾(TSMC)、韓国(Samsung)、米国(Intel, NVIDIA)が主導権を握るようになりました。しかし、近年の経済安全保障やサプライチェーン強化の動きの中で、日本でも再び半導体産業の復活が進んでいます。
TSMCの熊本工場の新設、Rapidusの設立、国内の半導体工場拡充 などの影響で、人材需要が急激に高まった一方、供給が追いついていない状況です。

3. 人材育成の遅れ(大学・専門教育の不足)

 過去20~30年の間、日本では半導体産業の縮小とともに、大学や専門機関での半導体関連の教育が縮小していました。その結果、若手の技術者が育たず、専門知識を持つ人材の層が薄くなっています。現在、政府や企業が大学と連携し、半導体人材の育成を強化していますが、即戦力を確保するには時間がかかります。

4. グローバル競争による人材流出

 半導体技術者は、世界的に需要が高い職種です。特に台湾や米国では、高額の給与や待遇を提供する企業が多く、日本の技術者が海外企業に引き抜かれるケースが増えています。そのため、日本国内での人材確保が難しくなっています。

5. 技術者の高齢化

 日本の半導体業界では、1990年代に活躍していた世代が高齢化し、定年退職を迎えるケースが増えています。しかし、次世代の技術者が十分に育っておらず、世代交代がスムーズに進んでいないのが現状です。

6. 半導体業界のイメージの問題

 半導体業界は「地味」「専門性が高すぎる」「製造業でありエンジニアリングの魅力が薄い」といったイメージがあり、若手の理系人材がITやAI、バイオ分野などに流れやすい傾向があります。特に、ソフトウェアエンジニアの需要が高まる中、半導体分野への志望者が減少していることが課題です。

日本の半導体産業が再び世界で競争力を持つためには、持続的に高度人材を育成することが不可欠です。

日本での他の人材育成例はあるのか

 日本では、半導体分野の高度人材育成に向けて、以下のような取り組みが進められています。

1. 九州半導体人材育成等コンソーシアムの設立

 九州経済産業局は、2022年3月に半導体関連企業や教育機関、行政機関などと連携し、「九州半導体人材育成等コンソーシアム」を設立しました。

 このコンソーシアムは、発足当初は42機関で構成されていましたが、2024年2月時点で104機関に拡大しています。主な取り組みとして、高専や工業高校での出前講義、教員向け企業研修会、企業の採用計画調査、学生や大学への意識調査などを実施し、半導体人材の育成と確保、企業間取引やサプライチェーンの強化、海外との産業交流促進に努めています。

2. 高等専門学校(高専)における半導体人材育成プロジェクト

 独立行政法人国立高等専門学校機構は、半導体分野での実践的かつ研究開発志向の人材を育成するプロジェクトを推進しています。

 このプロジェクトでは、数学や物理などの基盤学力と専門技術に加え、集積回路設計や半導体製造に関する基礎知識を習得し、これらを活用できる人材の育成を目指しています。

 具体的な取り組みとして、産学官連携による教育パッケージの作成、教育カリキュラムの体系化、教員向けの研修実施、学生のスキル評価などを行い、全国の高専での展開を図っています。

3. PwC Japanによる政策提言

 PwC Japanグループは、将来の不確実性が高まる「1対N時代」に備え、労働者が自律的にキャリアを形成できるよう、「生涯キャリアコンサルタント」の設置や「ハロープラットフォーム」の導入を提言しています。

 これらの施策は、半導体分野に限らず、広く高度人材の育成と活用を促進することを目的としています。「生涯キャリアコンサルタント」は、個人の職業人生全般にわたりサポートを行い、キャリアゴールの設定やスキル習得を支援します。

 「ハロープラットフォーム」は、企業主導型の社外インターンや行政主導型の副業・兼業マッチングを通じて、労働者が多様な能力開発機会を得られる仕組みを提供します。

コンソーシアムへの参加、高専でのプロジェクトなどでの育成が検討されています。

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