この記事で分かること
・スーパーコンピューターとは何か:極めて高い計算能力を持つコンピュータのことを指し、大規模な科学技術計算やデータ解析などに利用されます。
・設置場所に必要なものは何か:電力供給、冷却設備、通信環境、耐災害性、研究機関との連携など、さまざまな要素が求められます。
「富岳NEXT」のポートアイランドへの整備
理化学研究所(理研)は、スーパーコンピューター「富岳」の後継機である「富岳NEXT」を、現在の「富岳」が設置されている神戸市・ポートアイランドの隣接地に整備すると発表しました。この新システムは2030年頃の運用開始を目指しています。
https://www.kobe-np.co.jp/news/society/202503/0018804368.shtml?utm_source=chatgpt.com
富岳NEXTとは何か
「富岳NEXT」は、現在運用中のスーパーコンピューター「富岳」の後継機であり、2030年頃の運用開始を目指して開発が進められています。理化学研究所(理研)が中心となり、神戸市ポートアイランドの「富岳」設置地の隣接地に整備される予定です。
特徴と性能向上
- 計算能力の大幅向上
- シミュレーションの実効性能は「富岳」の5~10倍
- AIの学習・推論性能において世界最高水準を目指す
- AIとシミュレーションの融合
- 「AI for Science」を推進し、科学的な発見を加速
- AIによるデータ解析と従来の数値シミュレーションを組み合わせ、新たな研究手法を確立
- エネルギー効率の向上
- 省エネルギー化を進めつつ、ハイパフォーマンスを維持
- カーボンニュートラル対応の技術導入も検討
期待される応用分野
- 気候変動・防災:気象予測、地震シミュレーションの高精度化
- 医療・創薬:タンパク質解析、新薬開発の加速
- 産業技術:次世代材料、エネルギー開発の最適化
- 基礎科学:宇宙物理学、素粒子研究など
開発の進捗
- 現在、「富岳NEXT」の基本設計が進行中
- 国内外の研究機関・企業と連携し、プロトタイプの開発を進める
- 2025年以降に詳細な仕様が決定し、本格的な開発フェーズに入る見込み

富岳NEXTは現在運用中のスーパーコンピューター「富岳」の後継機であり、AIとスーパーコンピューターの融合による次世代の計算基盤として、日本の科学技術の発展に大きく貢献すると期待されています。
スーパーコンピュータとは何か
スーパーコンピュータ(スーパーコン)は、極めて高い計算能力を持つコンピュータのことを指し、大規模な科学技術計算やデータ解析などに利用されます。通常のPCやサーバーとは桁違いの性能を持ち、数千万~数十億個の計算コアを備えた並列処理能力が特徴です。
主な特徴
- 超高速な計算能力
- 一般的なPCの数万~数百万倍の計算速度を誇る
- 性能は「FLOPS(Floating Point Operations Per Second)」で測定され、現在はエクサスケール(ExaFLOPS)級の計算機が登場(1エクサFLOPS=100京回/秒の計算能力)
- 大規模な並列処理
- 数百万個のプロセッサが並列で動作し、複雑な計算を分担
- 高速ネットワーク技術でノード間の通信を最適化
- 高い電力消費と冷却技術
- 膨大なエネルギーを消費するため、水冷や液浸冷却などの特殊な冷却システムを採用
主な用途
スーパーコンピュータは、科学研究や産業分野の発展に不可欠な技術であり、以下のような用途で活用されています。
1. 気象・環境シミュレーション
- 台風や豪雨予測、気候変動のシミュレーション
- 地球温暖化の影響評価
2. 医療・創薬
- 新薬の候補化合物の解析
- 遺伝子解析や個別化医療
3. 物理・宇宙研究
- 宇宙誕生のシミュレーション(ビッグバンの解析など)
- ブラックホールや素粒子物理の研究
4. 産業技術・製造
- 自動車・航空機の設計最適化
- AIによる製造プロセスの効率化
5. 人工知能(AI)と機械学習
- 大規模データ解析(ビッグデータ)
- AIの学習や推論の高速化

スーパーコンピュータ(スーパーコン)は、極めて高い計算能力を持つコンピュータのことを指し、大規模な科学技術計算やデータ解析などに利用されます。
スーパーコンピュータの設置場所に求められるものは何か
スーパーコンピュータの設置場所には、高性能な計算処理を安定して行うための環境が必要です。以下のような要素が求められます。
1. 電力供給の安定性
スーパーコンピュータは非常に多くの電力を消費するため、大規模な電力供給能力と安定した電力インフラが必要です。
- 高圧電力供給が可能な地域
- 停電対策(バックアップ電源、冗長化された電力供給)
- 再生可能エネルギーの活用(近年ではカーボンニュートラルを意識)
2. 効率的な冷却システム
スーパーコンピュータは動作時に大量の熱を発生させるため、適切な冷却設備が必要です。
- 水冷システムが利用できる水資源の確保
- 液浸冷却などの最新技術の導入
- 冷却効率の良い気候(寒冷地域は冷却コストが低減するため有利)
3. 広大な設置スペース
スーパーコンピュータは、数千~数百万個のプロセッサを搭載した大規模システムのため、設置には広大な物理スペースが必要です。
- データセンター用の建築基準を満たす施設
- 将来的な拡張を見越したスペースの確保
4. 通信ネットワークの高速化
スーパーコンピュータは、他の計算機や研究機関とデータをやり取りするため、超高速なインターネット回線が求められます。
- 低遅延・大容量のネットワーク環境(高速光ファイバー)
- 主要な研究機関や大学との接続性の確保
5. 地震や災害への耐性
スーパーコンピュータは継続的な稼働が求められるため、自然災害の影響を受けにくい場所が適しています。
- 地震が少ない地域、または耐震設計の建物
- 洪水・津波のリスクが低い場所
- 落雷対策や電磁波対策がされた環境
6. 研究機関・大学との連携
スーパーコンピュータは、研究機関・大学・企業との共同利用が想定されるため、適切なロケーションが求められます。
- 主要大学・研究機関に近い立地(アクセスのしやすさ)
- 産学連携が進めやすいエリア(科学技術特区、研究都市)
7. 法規制・運営コスト
- 電力・土地コストが適正な地域
- 政府の助成金や補助金の活用が可能な地域
- 国家機密レベルのデータを扱うため、セキュリティ基準を満たす場所

スーパーコンピュータの設置には、電力供給、冷却設備、通信環境、耐災害性、研究機関との連携など、さまざまな要素が求められます。
近年では、カーボンニュートラルやエネルギー効率の観点も重視され、寒冷地や再生可能エネルギーの活用が進む地域に設置される傾向があります。
なぜ、神戸ポートアイランドが選ばれたのか
ポートアイランドは、1966年に着工され、1981年に街開きが行われた日本初の都市機能を持つ人工島です。六甲山地の土砂を利用して埋め立てられ、完成当時は世界最大の人工島として注目されました。
以下の点がから、スーパーコンピューターの設置場所に選出されています。
1. 立地と交通アクセス
神戸は日本の主要な港湾都市であり、国際的な貿易や物流のハブとして重要な役割を果たしています。ポートアイランドは神戸港の近くに位置しており、国内外の輸送や物流に便利な立地です。
特に、海上交通と陸上交通の接続が良好で、神戸新交通ポートライナー(鉄道)や、道路網も発展しており、都市中心部へのアクセスが容易です。
2. 港湾と貿易の中心
ポートアイランドはその名の通り、神戸港に隣接した人工島であり、海上貿易の拠点として発展してきました。港に近いため、貿易・物流のためのインフラが整備されており、商業・製造業の拠点としても理想的な場所です。
3. 大規模な土地と開発可能性
ポートアイランドのような人工島は、大規模な土地が確保できるため、都市開発や施設設置に適しています。
神戸市の中心部では土地の制約がありましたが、ポートアイランドは広大な敷地を有しているため、企業の誘致や新たな施設、技術研究センターの設置が可能です。
4. 都市機能の拡充とイメージ向上
ポートアイランドは、神戸市の都市機能を拡充するために重要な場所とされました。
商業施設、観光施設(例えば、ポートピア博覧会)、教育機関や医療施設などが集積し、都市としてのイメージ向上にも貢献しました。また、未来的な都市開発の象徴として、国際的にも注目される地域となりました。
5. 産業と研究の拠点
ポートアイランドは、産業技術研究や新興産業の拠点としても発展しました。
例えば、神戸ポートアイランド内にある神戸医療産業都市や理化学研究所のような先端技術の研究施設が集まり、イノベーションを促進しています。

立地とアクセス、大規模な土地、産業や研究拠点が集まっていたことなどからポートランドが選ばれたものと思われます。
コメント