ディスコのグラインダー装置 グラインダー装置とは何か?高い均一性を持つ理由は何か?

この記事で分かること

  • グラインダーとは:半導体ウェーハの裏面を削り、チップを極限まで薄く平らに仕上げる精密加工装置です。回転するダイヤモンド砥石を用い、ミクロン単位の精度で削ることで、チップの積層化や放熱性の向上を実現します。
  • ディスコが高い均一性を実現できる理由:装置・砥石・加工ノウハウを自社で一貫して開発・最適化しているからです。高速回転でもブレない超精密な回転軸(スピンドル)と、加工中に厚みをリアルタイムで計測・補正する高度な制御技術が、ナノ単位の平坦さを可能にしています。

ディスコのグラインダー装置

 2024年3月、日本格付研究所(JCR)は半導体製造装置大手であるディスコの長期発行体格付を、これまでの「A+(シングルAプラス)」から「AA(ダブルA)」へ1段階引き上げました。格付の見通しは「安定的」としています。https://www.nikkei.com/article/DGXZNSD5ICP01_S5A221C2000000/

 ディスコは、生成AIブームの「隠れた主役」とも言えるポジションを確立しており、今回の格上げはその事業モデルの強固さが改めて公的に証明された形と言えます。

HBM製造でディスコの装置はどのように使われるのか

 DRAMを何層も積み上げるHBMでは、1枚ずつのチップを驚異的な薄さに削るグラインダ(研削機)が不可欠です。また、削る際にウェーハが割れないよう縁を加工する「エッジトリミング」や、回路を傷つけず切り分けるダイシングソー(切断機)も、歩留まり向上の鍵として世界シェアの大半を占めています。

グラインダーとは何か

 半導体業界におけるグラインダーとは、シリコンウェーハの裏面を削り、「極限まで薄く、平らに仕上げる装置」のことです。

 ディスコなどの企業が提供するこの装置は、皆さんが想像する一般的な研磨機とは比較にならないほどの超精密機械です。


1. 主な目的:ウェーハの薄化(バックグラインディング)

半導体チップは、製造の最終段階で積み重ねたり、小さなパッケージに収めたりする必要があります。

  • 薄層化: もともと0.8mmほどあるウェーハを、0.01mm〜0.05mm(髪の毛の太さ以下)まで削ります。
  • 放熱性向上: チップが薄いほど熱が逃げやすくなり、スマートフォンの発熱抑制などに貢献します。

2. 基本構造

 装置は主に以下の3つの要素で構成されています。

  1. チャックテーブル: ウェーハを真空吸着して固定し、高速回転させる土台。
  2. スピンドル: ダイヤモンド砥石を取り付け、超高速で回転させる軸。
  3. ダイヤモンド砥石(ブレード): 実際にウェーハを削る「刃」。ディスコはこの消耗品でも世界トップです。

3. なぜ「ディスコのグラインダー」が凄いのか

 ただ削るだけなら簡単そうに見えますが、半導体用には「究極の精度」が求められます。

  • ナノ単位の平坦さ: 巨大なウェーハを、どこを測っても誤差がないほど真っ平らに削る技術。
  • ダメージレス: 削る際の衝撃で回路を壊さないよう、非常に繊細な力加減で加工します。

 グラインダーは、半導体チップをより薄く、より高性能にするために、ウェーハをミクロン単位で正確に削り取る装置です。

グラインダーとは、半導体ウェーハの裏面を削り、チップを極限まで薄く平らに仕上げる精密加工装置です。回転するダイヤモンド砥石を用い、ミクロン単位の精度で削ることで、チップの積層化や放熱性の向上を実現します。

グラインダーの仕組みは

 ディスコが提供する半導体用グラインダー(研削機)は、主に「バックグラインディング」という工程で、ウェーハを裏面から極限まで薄く削るために使われます。

1. ウェーハの固定

 まず、回路が形成された表面を保護テープで覆い、ウェーハをチャックテーブルという台に真空吸着でしっかり固定します 。

 薄く削る際、ウェーハは非常に壊れやすくなるため、この固定技術が重要です。

2. ダイヤモンド砥石による研削

 回転するテーブルに乗ったウェーハに対し、同じく高速回転する「グラインディングホイール(ダイヤモンド砥石)」を押し当てて削ります。

  • 粗研削: まずは大きな粒子の砥石で一気に厚みを減らします。
  • 仕上げ研削: 次に非常に細かい粒子の砥石で、表面を鏡面のように滑らかに仕上げます 。

3. 薄化とダメージ除去

 HBM(高帯域幅メモリ)などの最新チップでは、チップを何枚も重ねるために、ウェーハを数十マイクロメートル(コピー用紙より薄いレベル)まで削り込みます 。

 単に薄くするだけでなく、削る際に出る目に見えない歪みやダメージを取り除き、チップの強度を高める処理も同時に行われます 。


ディスコの装置が「魔法」と言われる理由

  • 均一性: 直径30cmもあるウェーハを、どこを測っても誤差なく均一な薄さに仕上げる精度。
  • 割れない技術: 「エッジトリミング」といって、削る前にウェーハの縁を丸く加工しておくことで、ポテトチップスより脆くなったウェーハが割れるのを防いでいます 。

ディスコは、この「削る装置」「ダイヤモンド砥石(消耗品)」の両方を自社で最適に組み合わせて提供しているため、世界中で圧倒的なシェアを誇っています。

グラインダーは、回転するダイヤモンド砥石をウェーハに押し当て、表面を削り取る装置です。チャックテーブルで固定したウェーハと砥石を共に高速回転させ、水をかけながら極限まで薄く、鏡面のように平滑に仕上げます。

高い均一性を持つ理由は

 ディスコの装置が圧倒的な「均一性」を実現できる理由は、装置・砥石・加工条件の3要素を自社で完璧に統合(最適化)しているからです。単に良い機械を作るだけでなく、以下の3つの高度な技術が組み合わさっています。


1. 究極の低振動と高剛性

 削る軸(スピンドル)とウェーハを乗せる台(チャックテーブル)に、独自の精密技術を投入しています。

  • 高剛性スピンドル: 高速回転しても軸が全くブレないよう、剛性を極限まで高めています。
  • エアベアリング: 物理的な接触を避け、空気の膜で支えることで振動を最小限に抑え、ナノレベルの滑らかさを実現しています。

2. 「機械」と「砥石」のセット開発

 ディスコはもともと砥石メーカー(第一製砥所)として創業しました。

  • 自社製ダイヤモンド砥石: 削る対象(シリコンやSiCなど)に合わせ、ダイヤモンドの粒子の大きさや接着剤(ボンド)の硬さを微調整した最適な砥石を自社製造しています。
  • 相乗効果: 装置の回転速度と砥石の摩耗特性を完全に一致させることで、常に安定した深さで均一に削り続けることが可能です。

3. リアルタイムの計測と制御

 加工中にウェーハの厚みを常に測定し、その場でフィードバックをかけています。

  • 厚み計測: 加工中に非接触センサーなどで厚さを測り、わずかな誤差も見逃さず装置の動きを修正します。
  • レイアウト最適化: 砥石がウェーハに当たる位置や角度を計算し尽くし、ウェーハ内の厚みばらつき(TTV)を最小限に抑える設計がなされています。

 ディスコはこの3つの技術を「装置」「加工ツール(消耗品)」「アプリケーション(ノウハウ)」として一体化して提供しています。これにより、30cmの巨大な円盤を「5ミクロン(0.005mm)」まで削っても、全面を均一な厚さに保つことができるのです。

 この「均一性」が、HBMのようにチップを何層も重ねる最新の半導体製造において、ディスコが世界で独走している最大の武器となっています。

ディスコが高い均一性を実現できるのは、装置・砥石・加工ノウハウを自社で一貫して開発・最適化しているからです。高速回転でもブレない超精密な回転軸(スピンドル)と、加工中に厚みをリアルタイムで計測・補正する高度な制御技術が、ナノ単位の平坦さを可能にしています。

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