この記事で分かること
・BYDとはどんな会社か:BYDは、中国の深圳に本社を置く電気自動車(EV)とバッテリーの大手メーカーであり、EV市場で急成長を見せている
・中国以外でも成功しているのか:2024年の海外販売台数は約50万台に達し、総販売台数の約14%を占めており、将来的には50%を目指しています。
BYDの売り上げがテスラ以上に
中国の電気自動車(EV)メーカー、比亜迪(BYD)が2024年の年間売上高が7770億元(約1070億ドル)に達し、同年のテスラの売上高977億ドルを上回ったことがニュースになっています。

BYDの急成長は、世界最大かつ最も競争の激しい中国のEV市場での成功によるものであり、今後の海外市場での展開にも注目が集まっています。
BYDはどんな会社なのか
BYD(比亜迪/BYD Company Limited)は、中国の深圳に本社を置く電気自動車(EV)とバッテリーの大手メーカーです。
1995年に設立され、当初は充電式バッテリーの製造を手掛けていましたが、その後、電気自動車や再生可能エネルギー関連事業へと事業を拡大しました。
BYDの特徴
- EV市場のリーダー
- 2024年、BYDは年間売上高1070億ドルを記録し、売上規模でテスラを超えました。
- EVとプラグインハイブリッド車(PHEV)の販売台数では、2023年にテスラを上回りました。
- 電池技術の強み
- BYDは独自の「ブレードバッテリー」を開発し、高い安全性と長寿命を実現。
- 自社でバッテリーを製造しており、コスト競争力が強い。
- 製造の垂直統合
- バッテリー、モーター、半導体などを自社で開発・製造し、サプライチェーンの効率化を実現。
- グローバル展開
- 中国国内だけでなく、ヨーロッパ、アジア、南米などで市場を拡大中。
- ドイツ、ブラジル、タイなどに生産拠点を設立。
- 幅広い製品ラインナップ
- 低価格の「Dolphin」や「Seagull」から高級EV「Yangwang U8」まで多様な車種を展開。
- 電気バスやトラックも製造し、公共交通向けにも進出。
今後の展望
- 海外市場の拡大:欧州や日本市場でのシェア拡大を目指す。
- EV技術の進化:急速充電技術や新型バッテリーの開発を継続。
- 低コスト戦略:より競争力のある価格設定で市場を席巻する戦略。
BYDは、今後も世界のEV市場で重要なプレイヤーとして成長を続けると見られています。

BYDは、中国の深圳に本社を置く電気自動車(EV)とバッテリーの大手メーカーであり、EV市場で急成長を見せている重要なプレイヤーです。
ブレードバッテリーとは何か
ブレードバッテリーは、BYDが開発した新しいタイプのリチウムイオンバッテリーです。このバッテリーの特徴は、その形状と安全性にあります。
特徴と利点
・コスト削減
このバッテリーの設計は、効率的なパッケージングと製造技術により、バッテリーの生産コストを下げることが可能です。
・形状
ブレードバッテリーは、その名の通り、薄くて長い「ブレード(刃)」のような形状をしています。この形状により、バッテリーセルを効率的に配置することができ、パッケージングがよりコンパクトになります。これにより、車両の床下スペースを最大限に活用でき、車両の全体的なデザインと効率性を高めます。
・安全性
ブレードバッテリーは、従来のバッテリーよりも安全性が高いとされています。特に、衝突時や過充電、過放電時に発生しやすい熱暴走(バッテリーが異常加熱すること)を抑える技術が搭載されています。これにより、バッテリーが炎上するリスクが大幅に低減します。
・エネルギー密度
ブレードバッテリーは、高いエネルギー密度を実現しているとされています。これにより、より長い航続距離を提供できるため、電気自動車(EV)の性能向上に寄与します。

ブレードバッテリーは、BYDが開発した新しいタイプのリチウムイオンバッテリーでその名の通り、薄くて長い「ブレード(刃)」のような形状をしています。この形状により、バッテリーセルの効率的な配置が可能になることに加え、安全性やエネルギー密度も向上しているとされています。
BYDは中国以外でも売れているのか
BYDは近年、中国国外での販売を積極的に拡大しています。2024年の海外販売台数は約50万台に達し、総販売台数の約14%を占めました。
同社は、将来的に海外販売比率を50%近くまで引き上げることを目指しています。この目標達成のため、欧州、アジア、南米などでの生産拠点設立に数十億ドルを投資し、現地生産を強化しています。
具体的な取り組みとして、タイでは2024年に年間約15万台の生産能力を持つ工場を稼働開始し、東南アジア市場への供給を強化しています。

海外での販売台数も増加しており、将来的に海外販売比率を50%近くまで引き上げることを目標としています。
テスラはどのような会社なのか
テスラ(Tesla, Inc.)は、アメリカ・カリフォルニア州に本社を置く電気自動車(EV)メーカーであり、クリーンエネルギー事業も展開する企業です。2003年に設立され、2008年に初の量産EV「ロードスター」を発売。その後、「モデルS」や「モデル3」などの人気車種を生み出し、EV市場のリーダーとしての地位を確立しました。
テスラの特徴
- EV市場のパイオニア
- 量産EVの普及を牽引し、2023年には約179万台を販売。
- 2024年の売上高は約977億ドルで、BYDに売上規模で抜かれたが、依然として利益率は高い。
- 自社開発のバッテリー技術
- 4680バッテリー:エネルギー密度が高く、低コストで長寿命。
- メガパック:蓄電池システムを活用し、再生可能エネルギー事業にも進出。
- 高度なソフトウェア技術
- オートパイロット(Autopilot):自動運転支援システムを開発。
- フルセルフドライビング(FSD):完全自動運転を目指し、ソフトウェアアップデートで機能向上。
- 工場のグローバル展開(ギガファクトリー)
- アメリカ(ネバダ、テキサス)、中国(上海)、ドイツ(ベルリン)、メキシコなどに大規模な生産拠点を持つ。
- 中国市場での生産・販売が好調で、上海工場は世界最大級のEV工場の1つ。
- 幅広い製品ラインナップ
- 乗用EV:「モデルS」「モデル3」「モデルX」「モデルY」
- 商用EV:「セミトラック(Tesla Semi)」「サイバートラック(Cybertruck)」
- エネルギー事業:ソーラーパネル、蓄電池(Powerwall)なども展開。
今後の展望
- 次世代EVの開発:「Model 2(2万5000ドルの低価格EV)」の投入を計画。
- 自動運転の進化:FSDの精度向上と完全自動運転の実現。
- エネルギー事業の拡大:再生可能エネルギーと蓄電池システムの普及を加速。
テスラはEV業界の先駆者でありながら、BYDなどの競争相手とのシェア争いが激化しています。今後の戦略が市場に与える影響に注目が集まっています。

テスラはアメリカ・カリフォルニア州に本社を置く電気自動車(EV)メーカーであり、クリーンエネルギー事業も展開する企業で、EV業界の先駆者でリーダー企業の地位を確立しています。
なぜテスラのほうが利益が高いのか
以下のような理由からテスラの利益率はBYDより高くなっています。
1. 高価格帯の車種が多い
テスラの主力車種(モデルS、モデルX、モデル3、モデルY)は、主に中〜高価格帯に位置しています。例えば、
- モデル3:約3.5万~5万ドル
- モデルY:約4.5万~6万ドル
- モデルS/X:8万ドル以上
一方、BYDは低価格帯(約1.5万~3万ドル)の車も多く、単価が低いため、利益率が下がりやすいです。
2. ソフトウェア収益が大きい
テスラは「フルセルフドライビング(FSD)」などのソフトウェアを販売しており、これが利益の大きな柱になっています。
- FSDの価格は1万2000ドル~1万5000ドル(サブスクリプション型もあり)。
- 車両販売後も、ソフトウェアのアップグレードで継続的に収益を得られる。
BYDは主にハードウェア(車両販売)で利益を出しており、テスラほどソフトウェアでの収益が大きくありません。
3. 製造コストの最適化
テスラは「ギガファクトリー」による大規模生産と自動化を徹底しており、製造コストを抑えています。
- 例えば、上海工場は世界で最も効率的なEV工場の1つとされ、生産コストを低く抑えている。
- モデルYの生産コストは、2023年に約3万6000ドルまで削減されたと報告されている。
BYDもコスト競争力はあるものの、多車種展開の影響でコスト削減が難しくなっている部分があります。
4. マーケティングコストの削減
テスラは広告費をほぼゼロにしており、マーケティングコストを大幅に削減しています。
- ブランド力が高く、口コミやSNS(特にイーロン・マスクの影響力)によって宣伝が成り立つ。
- BYDは海外市場でのブランド認知度を上げるために、マーケティングに多額の投資をしている。
5. 充電ネットワークによる追加収益
テスラはスーパーチャージャーネットワークを展開し、テスラ車だけでなく他社EV向けにも開放しています。
- 充電サービスの利用料が新たな収益源となっている。
- BYDも充電インフラを整備しているが、テスラほどの影響力はない。
利益率の差の要因
- テスラは高価格帯&ソフトウェアビジネスが強み → 高い利益率
- BYDは低価格帯が中心&ハードウェア収益が主 → 利益率は相対的に低め

現時点ではテスラの方が収益構造の多様化とコスト最適化で優位に立っています。
テスラの懸念点は何か
テスラには強みがある一方で、いくつかの懸念点もあります。
1. EV市場での競争激化
- BYDや中国メーカーの台頭:BYDは低価格で高性能なEVを展開し、販売台数ではすでにテスラを超えつつある。
- 欧州や韓国メーカーもEV強化:フォルクスワーゲン、ヒョンデ、BMWなどもEV開発を加速し、競争が激化。
→ 低価格帯EV市場でのシェア確保が課題
2. 価格競争の激化による利益圧迫
- 2023〜2024年にテスラは複数回の値下げを実施し、利益率が低下。
- BYDや他のEVメーカーとの価格競争が続くと、今後も利益が減る可能性がある。
→ 価格戦略とコスト削減のバランスが必要
3. 自動運転技術(FSD)の規制と技術課題
- フルセルフドライビング(FSD)の進捗が遅れ気味:完全自動運転の実現にはまだ時間がかかる。
- 規制の壁:各国の交通ルールや規制が異なり、本格的な展開が難しい。
→ FSDの成長が遅れれば、ソフトウェア収益に影響
4. 中国市場のリスク
- 中国は最大のEV市場であり、テスラの売上の約25%を占めるが、BYDなどの地元メーカーの攻勢が強い。
- 米中関係の悪化:関税や規制強化によって中国市場でのシェア低下の可能性もある。
→ 上海工場への依存度を下げる必要がある
5. モデルラインナップの停滞
- 現在の主力モデル(S、3、X、Y)は発売から数年が経過し、新鮮味が薄れつつある。
- 低価格EV(Model 2)の開発が遅れており、競争力を維持できるか不透明。
→ 新モデルの投入が遅れると市場での優位性が低下
6. イーロン・マスクの影響
- マスク氏の発言や政治的スタンスがブランドイメージに影響を与えることがある。
- 2024年には「X(旧Twitter)」に注力しすぎて、テスラの経営に専念できていないとの批判もある。
→ 経営の安定性が問われる可能性
テスラの懸念点
- 競争が激化し、価格競争による利益圧迫の可能性
- FSDの開発遅れや規制による影響
- 中国市場のリスク(競争・規制)
- 新モデル投入の遅れによる成長鈍化
- イーロン・マスクの発言・行動が企業イメージに影響

テスラは依然としてEV市場のリーダーですが、競争の激化や中国市場での不振、イーロン・マスクの影響もあり、今後の戦略次第では成長の鈍化や競争力の低下もあり得ます。
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