この記事で分かること
・EX-Fusionの概要:日本発のレーザー核融合スタートアップで、ファインレーザーという異なるアプローチで低コスト・高効率なレーザー核融合を開発している企業です。
・核融合とは何か:軽い原子核が融合してより重い原子核になる際に大量のエネルギーを放出する反応のこと。人工的に発生させることができれば、究極のエネルギー源であるとされている。
・レーザー核融合の特徴:超高出力のレーザーを使って燃料を瞬間的に高温・高圧に圧縮し、核融合反応を引き起こす技術。問題もあるが、安全性、エネルギー密度の高さ、CO₂を排出せず、放射性廃棄物も少ないという特徴がある。
EX-Fusionがベンチャープラザに新たな研究拠点を開設
EX-Fusionが、京都市内の京大桂ベンチャープラザに新たな研究拠点を開設したことがニュースになっています。
https://optronics-media.com/news/20250324/98555/
この施設では、最新鋭のハイパワーファイバーレーザー設備を導入し、レーザー核融合エネルギー実現に必要な基盤技術の研究を進めています。
核融合とは何か
核融合(Nuclear Fusion)は、軽い原子核が融合してより重い原子核になる際に大量のエネルギーを放出する反応のことです。これは太陽や恒星が輝き続ける原理でもあります。
1. 核融合の基本原理
核融合では、通常 水素の同位体(重水素・三重水素) などの軽い元素が融合し、 ヘリウム などの重い元素に変わります。この過程で、質量の一部がエネルギー(E=mc²)に変換され、莫大なエネルギーを放出します。
2. 核融合のメリット
- クリーンなエネルギー源
- 二酸化炭素(CO₂)を排出しない → 地球温暖化の原因にならない
- 燃料が豊富
- 重水素は海水に豊富に含まれているため、枯渇の心配が少ない
- 安全性が高い
- 核分裂(原子力発電)と違い、暴走やメルトダウンの危険性が低い
- 放射性廃棄物が少ない
- 核分裂に比べて長寿命の放射性廃棄物が発生しにくい
3. 核融合技術の主な方式
(1) 磁場閉じ込め方式(トカマク方式など)
- 国際熱核融合実験炉(ITER) で採用
- 強力な磁場で高温プラズマを閉じ込め、核融合を起こす
- 代表例:JET(イギリス)、ITER(フランス)
(2) 慣性閉じ込め方式(レーザー核融合)
- 強力なレーザーを燃料ペレットに照射し、圧縮・加熱して核融合を起こす
- 代表例:NIF(アメリカ)、EX-Fusion(日本)
(3) 直接エネルギー変換方式(パルスパワーなど)
- 革新的なアプローチとして研究中
- 例:ヘリカル方式(LHD)、Zピンチ方式
4. 核融合の課題
- 超高温環境(1億度以上) の維持が必要
- 材料の耐久性(中性子による損傷の問題)
- 商業化には高コストと長い開発期間
- エネルギー収支の改善(供給エネルギーよりも得られるエネルギーを増やす必要)
5. 核融合発電の実用化の見通し
現在、ITER をはじめとする国際的なプロジェクトが進行中で、2050年ごろの商業運転 を目指しています。近年、EX-Fusion や Helion Energy(米国) などの民間企業も参入し、実現が加速しています。

軽い原子核が融合してより重い原子核になる際に大量のエネルギーを放出する反応のことで人工的な核融合発電が実現できれば、地球に無限に近いエネルギーをもたらす「究極のエネルギー源」になると期待されています。
レーザー核融合とは何か
レーザー核融合(Inertial Confinement Fusion, ICF)は、超高出力のレーザーを使って燃料(重水素・三重水素のペレット)を瞬間的に高温・高圧に圧縮し、核融合反応を引き起こす技術 です。
1. 仕組み
レーザー核融合では、主に以下のようなプロセスで核融合が発生します。
- 燃料ペレットの照射
- 直径数mmの燃料ペレット(重水素・三重水素) に複数の強力なレーザービームを一斉に照射する。
- ペレットの圧縮と加熱
- レーザーのエネルギーでペレットの外側が急激に蒸発し、その反動で内側に圧力がかかる(爆縮)。
- ペレット内部は1億度以上の超高温と1,000億気圧以上の超高圧になり、プラズマ状態になる。
- 核融合の発生
- プラズマ状態になった燃料の原子核が高速で衝突し、核融合反応が発生。
- 反応により莫大なエネルギーが放出される。
- エネルギーの回収
- 核融合によって放出される高速中性子のエネルギーを回収し、発電に利用する。
2. 特徴
メリット
✔ 超高密度なエネルギー源
– 小さな燃料ペレットから莫大なエネルギーを得られる。
✔ 即時停止が可能で安全性が高い
– 燃料が一瞬で消費されるため、暴走やメルトダウンの危険がない。
✔ クリーンエネルギー
– CO₂を排出せず、放射性廃棄物も少ない。
課題
⚠ レーザー技術の高コスト
– 超高出力のレーザーを安定して供給するのが難しい。
⚠ エネルギー収支の問題
– 供給エネルギー以上のエネルギーを得るための効率化が必要。
3. 世界のレーザー核融合研究
(1) アメリカ:NIF(国立点火施設)
- 2022年12月、人類初の「核融合による純エネルギー増加」 を達成。
- 2023年にも再現実験に成功し、商業化に向けた研究が進む。
(2) 日本:EX-Fusion
- 世界初のレーザー核融合スタートアップ(2021年設立)。
- ファイバーレーザーを活用した低コスト・高効率の方式を開発中。
(3) フランス:LMJ(メガジュールレーザー)
- ヨーロッパ最大級のレーザー核融合研究施設。
4. 商業化の展望
近年、技術革新により 2030〜2040年ごろに実用化の可能性 が出てきています。特に EX-Fusion のような企業が参入したことで、コスト削減や技術の加速が期待されています。
レーザー核融合が実用化すれば、クリーンで無限に近いエネルギーを供給できる未来が訪れるかもしれません

レーザー核融合は、超高出力のレーザーを使って燃料を瞬間的に高温・高圧に圧縮し、核融合反応を引き起こす技術です。
EX-Fusionとはどんな会社なのか?
EX-Fusion は、日本発のレーザー核融合スタートアップで、世界初のレーザー核融合の商業化を目指す企業 です。2021年に設立され、ファイバーレーザー技術を活用した低コスト・高効率なレーザー核融合 を開発しています。
1. EX-Fusionの基本情報
- 設立:2021年
- 本社:日本(京都)
- 創業者:荒川貴大(京都大学出身、レーザー核融合研究者)
- 事業内容:レーザー核融合技術の開発・商業化
2. 目指す技術:ファイバーレーザー核融合
(1) 仕組み
EX-Fusionは、従来の大型レーザーではなく、ファイバーレーザー を活用することで、コストを大幅に削減しつつ核融合を実現しようとしています。
- 燃料ペレット(重水素・三重水素) に対し、数百本の小型高出力レーザー を同時に照射
- 爆縮させて超高温・超高圧のプラズマ状態 を作り、核融合反応を発生
(2) ファイバーレーザーの強み
- 従来のレーザーに比べて低コスト・高効率
- 出力の制御が容易で精密な照射が可能
- 量産が容易でスケールアップがしやすい
3. 最近の動向
(1) 資金調達
- 2024年11月:プレシリーズAで11億円を調達
- 投資家:三菱UFJキャピタル、グローバル・ブレインなど
- 資金用途:レーザー核融合の研究開発と実証実験
(2) 研究施設の開設
- 2025年3月:京都にレーザー核融合実証施設を開設
- 最先端のハイパワーファイバーレーザー設備を導入
- 核融合実現に必要なレーザー照射技術の開発を加速
(3) 技術提携
- 2024年12月:ジェイテックコーポレーションと「高性能反射鏡」の開発 を開始
- レーザーの精密制御に不可欠な光学技術を強化
4. EX-Fusionの目標
EX-Fusionは、2030年代前半の核融合発電の実現 を目標に掲げています。特に、従来の大型レーザー技術とは異なる革新的なアプローチ により、小型・低コストなレーザー核融合、安定したエネルギー供給の実現を目指しています。

EX-Fusionは日本発のレーザー核融合スタートアップで、ファインレーザーという従来の大型レーザーことは異なるアプローチで低コスト・高効率なレーザー核融合を開発している企業です。
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