北陸電力の木質バイオマスの混焼比率引き上げ 混焼とは何か?バイオマス普及への課題は何か?

この記事で分かること

  • 木質バイオマスとは:植物から得られる有機性の資源のことであり、植物が成長過程でCO2を吸収するため、燃焼時にCO₂を排出しても「カーボンニュートラル」とみなされる燃料です。
  • 混焼とは:異なる種類の燃料を同時に燃やすことです。バイオマスの混焼比率が高くなると技術的調整が難しくなる一方、環境効果が大きくなります。
  • バイオマス普及への課題:経済性・技術的課題・持続可能性のバランスをどう取るかが今後の普及の課題となります。

北陸電力の木質バイオマスの混焼比率引き上げ

 北陸電力は、2025年4月21日より、石川県七尾市にある七尾大田火力発電所2号機において、木質バイオマスの混焼比率を従来の1%から15%に引き上げた発電を開始しました 。

 https://www.rikuden.co.jp/press/attach/25042101.pdf

 七尾大田火力発電所2号機では、2010年9月から石炭の一部を木質バイオマスで代替する混焼発電を実施してきました 。

 今回の混焼比率の拡大は、CO₂排出量の削減と電源の脱炭素化を目指す取り組みの一環で、カーボンニュートラルの実現に向けた重要な一歩として位置づけられています。

木質バイオマスとは何か

 木質バイオマスとは、木材や木材由来の廃材、間伐材、製材残材、木質チップ、木質ペレットなど、植物(主に樹木)から得られる有機性の資源のことであり、以下のような特徴があります。

  1. 再生可能エネルギー
    植物は成長過程でCO₂を吸収するため、燃焼時にCO₂を排出しても「カーボンニュートラル」とみなされます(大気中のCO₂の総量を増やさないとされる)。
  2. 種類
    • ホワイトペレット:樹皮を除去した木材を乾燥・圧縮して作られる
    • ブラックペレット:ホワイトペレットを加熱処理し炭化したもの(耐水性や燃焼効率が高い)
    • チップ:木材を細かく砕いたもの
  3. 用途
    • 発電(バイオマス発電)
    • ボイラー燃料
    • 家庭用ストーブ

 七尾大田火力発電所では、石炭とこの木質バイオマスを混焼することで、従来の石炭単独燃焼に比べてCO₂排出量を削減する取り組みが行われています。

木質バイオマスとは植物(主に樹木)から得られる有機性の資源のことであり、植物が成長過程でCO2を吸収するため、燃焼時にCO₂を排出しても「カーボンニュートラル」とみなされる燃料です。

混焼とは何か

 混焼とは、異なる種類の燃料を同時に燃やすことを指します。

 今回の七尾大田火力の事例では、石炭と木質バイオマスを一緒に燃焼させる「バイオマス混焼発電」が行われています。

混焼の目的

  1. CO₂排出削減
    → 石炭の一部をカーボンニュートラルなバイオマスに置き換えることで、実質的なCO₂排出量を削減。
  2. 既存設備の活用
    → 石炭火力発電所の既存ボイラーや発電設備を改造・調整するだけで利用でき、新たな発電所建設が不要。
  3. 再生可能エネルギー比率の向上
    → 再エネの一種であるバイオマス利用により、電力会社の再エネ比率を増加。

混焼の課題

  • 燃料の物理的・化学的特性の違い(燃焼温度、発熱量、灰分の性質)があるため、燃焼効率や設備への影響を考慮する必要がある。
  • 燃料供給の安定性コスト(特に輸入バイオマスの価格や輸送)が課題となる。

混焼率

 七尾大田火力では、以前は1%程度だった混焼比率を15%にまで引き上げています。一般的には、混焼比率が高くなると技術的調整が難しくなる一方、環境効果が大きくなります。

混焼とは、異なる種類の燃料を同時に燃やすことであり、今回の件では、石炭と木質バイオマスを一緒に燃焼させています。混焼比率が高くなると技術的調整が難しくなる一方、環境効果が大きくなります。

木質バイオマスの課題は何か

 木質バイオマスの利用にはさまざまな利点がありますが、以下のようにいくつかの課題も指摘されています

1. 燃料供給の安定性

  • 国内資源の限界:日本国内では、林業の衰退や収集・運搬コストの高さから、必要量を安定して供給するのが難しい。
  • 輸入依存:北米や東南アジアからの輸入に頼る場合、輸送コスト、為替リスク、国際需給の変動などのリスクがある。

2. 燃料品質のばらつき

  • 含水率、粒径、発熱量、灰分などの性質が石炭と異なるため、燃焼効率や設備の耐久性に影響を与える可能性がある。
  • 異物混入や品質管理の不十分さによるトラブルのリスク。

3. 発電効率の低下

  • 一般に木質バイオマスの発熱量は石炭より低いため、同じ発電量を得るために多くの燃料が必要となり、運搬・貯蔵スペースの増加が必要になる。

4. CO₂排出のカウントと持続可能性

  • バイオマスはカーボンニュートラルとされるが、伐採・加工・輸送時の温室効果ガス排出を含めると、必ずしもCO₂排出がゼロとは言えないという指摘もある。
  • 持続可能性を担保するために、森林管理や合法性証明(FSC認証など)が求められる。

5. 設備投資と運用コスト

  • 混焼のためにサイロ、燃料搬送設備、燃焼システムなどの改修が必要。
  • バイオマス燃料は石炭に比べて単価が高いことが多く、発電コスト増加につながる。

6. 灰や副産物の処理

  • バイオマス特有の灰の性質(融点が低い、腐食性の高い成分を含む)により、ボイラー内のスラグ付着や腐食が問題になることがある。

経済性・技術的課題・持続可能性のバランスをどう取るかが今後の普及の課題となります。

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