この記事で分かること
・ABFとは何か:ABF(Ajinomoto Build-up Film)は、味の素が開発した半導体パッケージ用の絶縁材料で、ABF市場で、ほぼ100%のシェアを占めています。
・半導体パッケージとは何か:半導体パッケージは、半導体チップを保護し、電気的に接続し、放熱を管理する重要な技術です。
なぜ、圧倒的なシェアを持っているのか:長年の技術的優位性、特許、安定供給体制、競合技術の不在、そして半導体メーカーとの信頼関係などによって圧倒的なシェアを達成しています。
味の素株式会社によるABF製造設備投資
味の素株式会社は、半導体パッケージ用絶縁材料「味の素ビルドアップフィルム®(ABF)」の需要増加に対応するため、設備投資を前倒しし、さらに投資額の増額も検討しています。https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC278BP0X20C25A3000000/
ABFは、パソコンの中央演算処理装置(CPU)向けに広く採用されており、パソコン向けシェアはほぼ100%とされています。
ABFとは何か
ABF(Ajinomoto Build-up Film)は、味の素が開発した半導体パッケージ用の絶縁材料です。主に高性能半導体の基板(パッケージ基板)に使われ、CPUやGPU、AI向けのチップなどの製造に不可欠な材料です。
ABFの役割
半導体チップは、微細な回路を持つシリコン基板の上に形成されますが、それを基板に固定し、外部と接続するためにパッケージ化する必要があります。ABFはそのパッケージ基板の中で、配線の絶縁層として機能します。
ABFの特徴
- 高い絶縁性
- 微細な配線を保護し、信号の干渉を防ぐ。
- 低熱膨張性
- 熱による膨張が少なく、高精度な回路形成が可能。
- 微細配線対応
- 次世代半導体向けにより細かい配線(サブミクロンレベル)を実現できる。
なぜABFが重要なのか?
近年、AI、5G、クラウドコンピューティングなどの発展により、より高性能な半導体の需要が急増しています。特に、CPUやGPUでは微細配線技術が求められ、ABFのような高度な絶縁材料が必要不可欠になっています。
味の素の圧倒的シェア
味の素は、このABF市場でほぼ100%のシェアを占めており、IntelやAMD、NVIDIAなどの大手半導体メーカーが採用しています。そのため、半導体業界の成長とともにABFの需要も増え、味の素はこの分野で大きな成長を遂げています。
今後の展望
半導体のさらなる微細化が進む中、ABFの改良や新素材の開発が求められています。味の素はこの分野への投資を強化し、ABFの生産能力拡大に向けた設備投資を進めています。
ABFは、食品メーカーとして知られる味の素が半導体材料の分野で世界をリードするという意外性のある製品でもあります。

ABF(Ajinomoto Build-up Film)は、味の素が開発した半導体パッケージ用の絶縁材料で、ABF市場で、ほぼ100%のシェアを占めています。
なぜABFのシェアが圧倒的なのか
味の素のABF(Ajinomoto Build-up Film)は以下のような理由から圧倒的なシェア(ほぼ100%)を誇っています。
1. 先行開発と特許による技術的優位性
味の素は1990年代に食品研究から派生した技術を応用し、独自のアミノ酸誘導体をベースとした高性能絶縁材料を開発しました。
- その結果、ABFは従来のポリイミド系材料よりも加工が容易で、微細配線に適していることが分かり、Intelが2000年代初頭から採用。
- 以降、多くの半導体メーカーがABFを標準材料として採用し、業界標準になりました。
- 味の素はこの技術に関する多数の特許を取得し、他社が容易に参入できない状況を作り出しました。
2. ABFに代わる競合技術が存在しない
- 半導体の進化とともに、配線の微細化(10nm以下)が進みましたが、ABFはその要求に適合していました。
- 競合する材料(例えばポリイミド系や他の樹脂系材料)は、加工性や絶縁性でABFに劣るため、十分な代替技術が確立されていません。
- その結果、IntelやTSMC、Samsung、AMD、NVIDIAなど、主要な半導体メーカーがABFを標準材料として使用し続けています。
3. 大規模な生産体制と供給能力
味の素は、ABFの専用製造ラインを持ち、安定供給が可能です。
- 半導体業界は、供給の安定性を最優先するため、新しいメーカーが代替品を開発しても、実績のない材料に切り替えるリスクを避ける傾向があります。
- これにより、味の素はすでに確立されたサプライチェーンの中で強固なポジションを維持しています。
4. 半導体メーカーとの長年の信頼関係
- Intelをはじめとする主要半導体メーカーと20年以上の取引実績があり、評価と信頼を得ている。
- 半導体製造には、材料の品質安定性や長期供給保証が求められるため、実績のある味の素からの供給が優先される。
- ABFは半導体メーカーの製造プロセスに組み込まれているため、他社の材料に置き換えるには多大なコストとリスクが発生する。
5. 味の素の積極的な設備投資と技術改良
- 味の素はABFの生産能力を拡大し続けており、現在も新たな投資(250億円超)を進めている。
- 次世代の半導体技術(AIチップ、5G、HPC向け)に適応する新しいABFの開発も進めており、今後も市場を独占する可能性が高い。

長年の技術的優位性、特許、安定供給体制、競合技術の不在、そして半導体メーカーとの信頼関係などによって圧倒的なシェアを達成しています。
半導体パッケージとは何か
半導体パッケージ(Semiconductor Package)とは、シリコンウェハーから作られた半導体チップ(ダイ)を保護し、外部と電気的に接続するための構造のことです。半導体チップは非常に小さく壊れやすいため、パッケージが必要になります。
半導体パッケージの主な役割
- チップの保護
- 半導体チップは衝撃・湿気・熱に弱いため、パッケージで覆って外部環境から守る。
- 電気的接続
- 半導体チップの微細な配線を、プリント基板(PCB)や他の部品と接続する。
- 放熱(熱管理)
- 高性能チップは動作時に熱を発生するため、パッケージには放熱性を高める設計が求められる。
半導体パッケージの構造
パッケージの内部には、次のような部品が含まれています。
- 半導体チップ(ダイ)
- シリコン基板上に作られた演算回路やメモリ。
- リードフレーム / 配線基板
- チップと外部端子を接続するための金属配線や基板。
- ABF(Ajinomoto Build-up Film)は、この配線基板の絶縁層として使われる。
- 封止材(モールド樹脂)
- チップを保護するためのエポキシ樹脂。
- 外部端子(ボール、ピンなど)
- パッケージを基板に接続するための接点。BGA(Ball Grid Array)などの方式がある。
主なパッケージの種類
半導体パッケージには、用途に応じてさまざまな種類があります。
種類 | 特徴 | 主な用途 |
---|---|---|
DIP(Dual In-line Package) | 端子が左右に並ぶ古典的な形 | 家電、低コストIC |
QFP(Quad Flat Package) | 端子が4辺にある薄型パッケージ | マイコン、ASIC |
BGA(Ball Grid Array) | 裏面にボール状の端子を配置 | CPU、GPU、メモリ |
FCBGA(Flip Chip BGA) | 高密度・高性能なBGAパッケージ | ハイエンドCPU、AIチップ |
SiP(System in Package) | 複数のチップを1つに統合 | スマホ、ウェアラブル |
Chiplet(チップレット) | 小さなチップを複数組み合わせる新技術 | 最新のGPU、サーバー向けCPU |
最新のトレンド:ABFと半導体パッケージの関係
近年、高性能CPUやAI向けチップでは、より複雑で微細な配線が必要になっています。そのため、半導体の進化=ABFの需要増という構図になり、味の素の市場優位性が高まっています。
ABF(Ajinomoto Build-up Film)は、FCBGA(Flip Chip BGA)などの高度なパッケージ技術で使用され、微細配線の絶縁層として不可欠な材料となっています。

半導体パッケージは、半導体チップを保護し、電気的に接続し、放熱を管理する重要な技術です。
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