この記事で分かること
- 二酸化炭素で吸血行動へのモチベーションが上がる理由:蚊は呼吸によって排出される二酸化炭素(CO₂)を、遠くから獲物を探すための手がかりとして使います。CO₂濃度が上がると、蚊の脳が活性化し、他の匂いや視覚情報に対する反応が鋭敏になるため、刺す意欲が高まります。
- 視覚や嗅覚を高める理由:その信号が蚊の脳内の感覚情報処理を司る中枢に送られ、視覚や嗅覚への注意力を高めます。これにより、普段なら見過ごすような低コントラストの物体や、遠くにある微量な匂いにも敏感に反応するようになります。
蚊の吸血行動と二酸化炭素
花王などの研究結果で、蚊が人間や動物を「刺したい」と感じる度合いは、周囲の二酸化炭素(CO₂)濃度によって大きく左右される仕組みが明かになっています。
https://www.kao.com/jp/newsroom/news/release/2025/20250820-001/
CO₂濃度が高まると、蚊は吸血行動へのモチベーションが上がり、刺す意欲が強まることが研究で明らかになっています。
なぜ、二酸化炭素で蚊が刺したくなるのか
蚊は、二酸化炭素(CO₂)を感知する能力が非常に発達しており、これを主な手がかりとして吸血源を探します。人間や動物は呼吸によって常にCO₂を排出しているため、蚊にとってCO₂は「近くに獲物がいる」という強いサインになります。
CO₂が蚊を惹きつけるメカニズム
蚊の触角にはCO₂受容器という特殊な器官があり、空気中のわずかなCO₂濃度の変化を捉えることができます。大気中のCO₂濃度は約0.04%ですが、人の呼気には1~10%ものCO₂が含まれています。蚊はこの濃度の違いを敏感に察知し、CO₂の濃度が高い方向へ向かって飛んでいきます。
CO₂は遠くまで届くため、蚊はまずCO₂の匂いを頼りに獲物の大まかな位置を特定します。その後、獲物に近づくにつれて、体から出る乳酸やオクテノールなどの匂い、体温、そして視覚情報(特に黒っぽい色)などを組み合わせて、最終的に吸血対象を特定し、刺す行動に移ります。
CO₂が「刺す意欲」を上げる理由
最近の研究では、CO₂は単に獲物を見つけるための手がかりであるだけでなく、蚊の吸血行動そのもののモチベーションを高める効果があることがわかってきました。CO₂を感知すると、蚊は視覚や他の匂いに対する反応が鋭敏になり、より活発に獲物を追いかけるようになります。
たとえば、CO₂を嗅がせると、蚊は通常なら追いかけないような速い動きや、見えにくいコントラストの低い物体でも追跡するようになります。つまり、CO₂は蚊の「獲物を探す」という意欲をブーストさせ、吸血行動を促進するのです。

蚊は呼吸によって排出される二酸化炭素(CO₂)を、遠くから獲物を探すための手がかりとして使います。CO₂濃度が上がると、蚊の脳が活性化し、他の匂いや視覚情報に対する反応が鋭敏になるため、刺す意欲が高まります。これは、CO₂が「近くに獲物がいる」という強いサインとなるためです。
なぜ、吸血行動そのもののモチベーションを高まるのか
二酸化炭素(CO₂)が蚊の吸血行動へのモチベーションを高めるのは、CO₂が蚊の脳内で感覚の感度を上げ、獲物への追跡行動を強化する信号として機能するためです。
CO₂が脳に与える影響
蚊は、CO₂受容器を持つ触角でCO₂を感知します。このCO₂の刺激は、蚊の脳の感覚情報処理を司る領域に直接作用します。具体的には、CO₂を感知することで、以下の2つの効果が確認されています。
- 視覚・嗅覚の感度向上: CO₂があると、蚊は通常よりも速く動く物体や、コントラストが低い(見えにくい)物体でも追跡できるようになります。これは、CO₂が蚊の脳の視覚・嗅覚系の注意機能を高め、獲物を見つける能力を劇的に向上させていることを示唆しています。
- 追跡行動の強化: CO₂を感知すると、獲物の匂いに対する反応が強まります。例えば、人の匂いを嗅がせた場合、CO₂があるとより積極的にその匂いの方へ向かっていきます。これは、CO₂が単なる「目印」としてだけでなく、吸血という最終目標に向けた行動を継続させるための「モチベーション」として働いていることを意味します。
これらのメカニズムを通じて、CO₂は蚊の「刺したい」という本能的な欲求を直接的に刺激し、獲物への探求心と行動力を劇的に高めているのです。

二酸化炭素(CO₂)は、蚊の脳の感覚情報処理を司る領域に直接作用します。これにより、蚊は視覚や嗅覚が鋭敏になり、獲物への注意機能が高まります。CO₂は「近くに獲物がいる」という強いサインとして、吸血という最終目標に向けた探求心と行動力を直接的に高めているのです。
どうやって視覚・嗅覚の感度が向上しているのか
二酸化炭素(CO₂)が蚊の視覚・嗅覚の感度を向上させるのは、CO₂を感知した信号が、脳内の感覚情報処理を司る中枢に直接送られ、他の感覚への注意力を高めるように働くためです。
脳内での情報統合
蚊は、CO₂を受容器で感知すると、その信号が脳の嗅覚中枢(触角葉)に送られます。この嗅覚中枢は、CO₂の情報だけでなく、人の体臭(乳酸、オクテノールなど)といった他の匂いの情報も処理しています。さらに、この中枢は視覚情報を処理する脳の領域とも密接に連携しています。
CO₂の信号が脳に届くと、以下の反応が起こると考えられています。
- 感覚ゲートの開放: CO₂は、まるで「獲物がいるぞ!」という警告信号のように働き、視覚や他の匂いに対する神経回路の感度を上げると考えられています。これにより、通常では反応しないような弱い視覚刺激(低コントラストの物体)や、遠くにある微量な匂いにも気づきやすくなります。
- 行動の選択と強化: CO₂の存在は、蚊の脳内で「吸血」という行動目標を最優先させ、それに必要な感覚情報の処理を最適化します。これにより、蚊は獲物の追跡行動がより正確かつ執拗になります。例えば、CO₂があると、速く動く物体でも追いかけることができるようになります。
このように、CO₂は単なる誘引物質ではなく、蚊の感覚と行動を根本からコントロールする司令塔のような役割を果たしているのです。

CO₂を感知すると、その信号が蚊の脳内の感覚情報処理を司る中枢に送られ、視覚や嗅覚への注意力を高めます。これにより、普段なら見過ごすような低コントラストの物体や、遠くにある微量な匂いにも敏感に反応するようになります。
蚊に刺されるのを防ぐ方法
CO₂が蚊を惹きつけるメカニズムを理解することで、蚊に刺されるのを防ぐための効果的な方法が見えてきます。
1. CO₂の排出量を減らす・拡散させる
蚊はCO₂濃度が高い場所を好むため、以下の方法でCO₂の影響を減らしましょう。
- 換気: 室内では、定期的な換気で空気の流れを作り、CO₂を外に排出することが重要です。特に、就寝中は人の呼気でCO₂濃度が上昇しやすいため、寝室の換気を心がけましょう。
- 扇風機やサーキュレーター: 扇風機で風を送ることで、人の周囲のCO₂や体臭を拡散させ、蚊がターゲットを特定しにくくなります。また、蚊は風に弱いため、物理的に近づきにくくする効果もあります。
- 激しい運動や飲酒を控える: 運動や飲酒はCO₂の排出量を増やすため、蚊が多い場所では避けるのが賢明です。
2. 蚊の感覚を妨害する
CO₂が蚊の感覚を研ぎ澄ませることを逆手に取り、感覚を妨害する対策も有効です。
- 虫よけスプレー: 虫よけスプレーに含まれる「ディート」や「イカリジン」などの成分は、蚊の嗅覚を麻痺させ、CO₂や体臭を感知できなくする効果があります。肌の露出部分にむらなく塗布しましょう。
- 蚊取り器・殺虫剤: 蚊取り線香や電子蚊取り器は、蚊の神経系に作用して活動を停止させたり、CO₂への反応を鈍らせたりします。
3. その他
こまめな汗拭き: 汗に含まれる乳酸などの成分も蚊を惹きつけます。汗をかいたらこまめに拭き取ることで、体臭による誘引を防ぐことができます。
服装: 蚊は黒や紺などの濃い色を好む傾向があります。明るい色の服を着用することで、視覚的に蚊から見つかりにくくする効果が期待できます。

換気や扇風機でCO₂を拡散させ、蚊がターゲットを特定しにくくする。また、虫よけスプレーで蚊の嗅覚を麻痺させ、CO₂を感知する機能を妨害する。これらの方法で、CO₂が蚊の「刺す意欲」を高めるのを防ぎます。
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