この記事で分かること
- タタ・エレクトロニクスとは:インド最大の財閥タタ・グループの電子機器・半導体メーカーです。iPhoneの製造受託やインド初となる半導体工場の建設を主導し、設計から製造までを一貫して担うインド半導体産業の旗振り役として急成長しています。
- 協業の内容:ロームの技術とタタの後工程能力を組み合わせ、インドでパワー半導体の製造・販売体制を構築する協業です。
- 協業の目的:急成長するインド市場での「地産地消」体制の構築と、グローバルな供給網の安定化が目的です。ロームの設計技術とタタの製造能力を融合させ、車載・産業分野での市場シェア拡大と次世代技術の開発を目指します。
ロームとタタ・エレクトロニクスのパワー半導体分野での協業
ロームは2025年12月22日、インドのタタ・グループ傘下であるタタ・エレクトロニクス(Tata Electronics)と、パワー半導体分野における戦略的パートナーシップを締結したことを発表しました。
この提携は、成長著しいインド市場でのサプライチェーン構築と、世界市場への供給力強化を目的とした非常に重要なステップとみられています。
協業の内容は何か
ロームとタタ・エレクトロニクスの協業は、単なる「工場での委託生産」にとどまらない、設計から販売までを網羅した包括的な戦略的パートナーシップです。具体的には、以下の3つの柱で構成されています。
1. インド発・パワー半導体の製造(後工程)
今回の協業の核心は、ロームのデバイス技術と、タタがインドで構築中の後工程(組み立て・テスト)インフラを組み合わせることです。
- 最初の製品: インドで設計された車載用パワー半導体(100V / 300A の Si MOSFET)。
- パッケージング: 放熱効率に優れた「TOLL(TO-Leadless)パッケージ」を採用。
- 役割分担: ローム: チップの設計およびプロセス技術の提供。
- タタ: インド国内(アッサム州やカルナータカ州の拠点)での組み立て・テスト(OSAT事業)。
- スケジュール: 2026年までに量産出荷を開始する計画です。
2. 次世代パッケージ技術の共同開発
将来的な展開として、より付加価値の高い次世代のパッケージング技術を共同で開発することが合意されています。
これにより、EV(電気自動車)のさらなる小型化・高能率化に対応する製品群の拡充を目指します。
3. 販売・市場開拓での連携
製造だけでなく、両社のネットワークを活かしたマーケティングでも協力します。
- 市場: インド国内市場だけでなく、グローバル市場への供給も視野に入れています。
- 販路: 両社が持つ販売チャネルや顧客基盤(タタ・グループの自動車事業など)を相互に活用し、新しいビジネスチャンスを創出します。
この提携は、ロームにとっては「インドでの地産地消サプライチェーンの構築」、タタにとっては「日本の高度な半導体技術の導入」という、極めてwin-winな関係です。
特にタタ・グループは、傘下に「タタ・モーターズ」という巨大な自動車メーカーを抱えているため、ロームにとっては製造パートナーであると同時に、巨大な「出口(顧客)」を確保したとも言えます。

ロームの技術とタタの後工程能力を組み合わせ、インドでパワー半導体の製造・販売体制を構築する協業です。具体的には、インドで設計した車載用MOSFETの組み立てをタタが行い、2026年の量産を目指します。
タタエレクトロニクスはどんな企業か
タタ・エレクトロニクス(Tata Electronics)は、インド最大の財閥であるタタ・グループにおいて、半導体や電子機器製造を担う中核企業です。
「インドを半導体大国にするための国家プロジェクトを主導する、タタ・グループの戦略会社」で以下のような特徴を持っています。
1. タタ・グループの「成長の柱」
タタ・グループはIT(TCS)、自動車(タタ・モーターズ)、鉄鋼などを展開する巨大コングロマリットですが、タタ・エレクトロニクスは、今後成長が見込まれる半導体やハイテク製造業を専門とするために設立されました。
2. インド初の半導体製造を主導
これまで半導体を輸入に頼ってきたインドにおいて、国内初の本格的な工場(ファブ)建設を次々と進めています。
- 前工程(ウェハ製造): 台湾のPSMCと提携し、グジャラート州に巨大工場を建設中。
- 後工程(OSAT): アッサム州などに、チップの組み立て・テストを行う大規模拠点を構築中。
3. Apple(iPhone)の製造パートナー
電子機器の受託製造(EMS)としても急速に成長しており、インド国内でiPhoneの組み立てを行っています。台湾企業以外でiPhoneの製造を担える数少ない企業の一つとして注目されています。
4. 日本企業との深い関係
ローム以外にも、東京エレクトロンや富士フイルムなど、日本の主要な半導体関連企業と相次いで提携を結んでおり、日本の技術を導入して自国のエコシステムを構築しようとしています。
タタ・グループ全体としては自動車事業(タタ・モーターズ)が非常に強いため、「自分たちの工場で半導体を作り、自分たちの車(EV)に載せる」という垂直統合的な強みを持っています。

インド最大の財閥タタ・グループの電子機器・半導体メーカーです。iPhoneの製造受託やインド初となる半導体工場の建設を主導し、設計から製造までを一貫して担うインド半導体産業の旗振り役として急成長しています。
協業の目的は何か
ロームとタタ・エレクトロニクスの協業の目的は、主に以下の3点に集約されます。
1. インド国内でのサプライチェーン構築(地産地消)
インド政府の「Make in India」政策に沿い、インドで設計し、インドで製造する体制を整えることが最大の目的です。急成長するインドのEV(電気自動車)市場や産業機器分野に対し、国内生産された半導体を安定供給できるネットワークを構築します。
2. 世界市場への供給力とレジリエンス(強靭性)の強化
インドを新たな製造拠点に加えることで、地政学リスクを分散し、グローバルな供給網の信頼性を高める狙いがあります。インド国内だけでなく、世界市場への輸出拠点としても活用し、双方のビジネス機会を拡大します。
3. 技術と販路の相乗効果(シナジー)
- 技術面: ロームの高度なデバイス設計技術と、タタの先端的な後工程(組み立て・テスト)技術を組み合わせ、付加価値の高い次世代パッケージを共同開発します。
- 販路面: 両社の持つ販売ネットワークを相互利用し、インド国内の幅広い顧客層へアプローチします。

急成長するインド市場での「地産地消」体制の構築と、グローバルな供給網の安定化が目的です。ロームの設計技術とタタの製造能力を融合させ、車載・産業分野での市場シェア拡大と次世代技術の開発を目指します。

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