トヨタの新型ランドクルーザー“FJ”　ランドクルーザーの特徴は何か？

この記事で分かること

トヨタの新型ランドクルーザー“FJ”

　トヨタは、新型車「ランドクルーザー“FJ”」を2025年10月21日に世界初公開し、日本での発売を2026年年央頃と発表しました。

　https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFD192350Z11C25A0000000/

　この「ランドクルーザー“FJ”」は、ランドクルーザーシリーズの中で最もコンパクトなモデルで、「ランドクルーザー」が持つ信頼性・耐久性・悪路走破性に加え、「Freedom & Joy（自分らしく楽しむ自由）」という新たな価値を提供するエントリーモデルとして位置づけられています。

ランドクルーザーの特徴は何か

　ランドクルーザーの最大の特徴は、トヨタが長年にわたって追求し続けている「信頼性・耐久性・悪路走破性」という3つの核となる価値観にあります。

【ランドクルーザーの主な特徴】

1. 「どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ」という哲学
   • 1951年の誕生以来、世界中の過酷な環境で人々の生活や仕事を支え続けてきた歴史から生まれたコンセプトです。極限の状況下でも故障せず、無事に帰還できることが最重要視されています。
2. 伝統の「ラダーフレーム構造」
   • 現在の多くの乗用車がモノコック構造を採用する中、ランドクルーザーは頑丈な「はしご型フレーム（ラダーフレーム）」を継承しています。
   • この構造により、高い耐久性と、ボディのねじれに強い悪路走破性を確保しています。過酷なオフロード走行で下回りをヒットしても、車体全体へのダメージを抑えることができます。
3. 圧倒的な悪路走破性
   • フルタイムまたはパートタイムの4WDシステムを全モデルが採用しています。
   • 現行モデルでは、路面状況に応じて駆動力を最適化する「マルチテレインセレクト」や、極低速での走行をサポートする「クロールコントロール」などの先進技術も搭載され、岩場、砂地、雪道など、あらゆる地形を走破する能力を備えています。
4. 高い「信頼性」と「耐久性」
   • 過酷な地域での使用を前提として開発されており、シンプルな設計と堅牢な部品により、整備性が高く、長期間にわたって安心して使い続けることができます。これが、世界中で人道支援や災害対策、インフラの整備など、プロフェッショナルの現場で選ばれ続ける理由です。

　ランドクルーザーは、現在、主に以下の3つのシリーズで展開されており、それぞれに特徴があります。

シリーズ	特徴	位置づけ
300シリーズ	力強い走行性能と最上級の高級感・快適性を兼ね備えたフラッグシップモデル。	ステーションワゴン系（フラッグシップ）
250シリーズ	ランドクルーザーの原点回帰として、実用性と悪路走破性を追求した中核モデル。	ライトデューティー系（中核）
70シリーズ	変わらぬスタイルと極めて高いヘビーデューティー（頑丈さ・実用性）に特化したモデル。	ヘビーデューティー系

　「ランドクルーザー“FJ”」は、この信頼性・耐久性・悪路走破性を継承しつつ、よりコンパクトなサイズと「自分らしく楽しむ自由」という価値を加えたエントリーモデルとしてラインナップに加わる予定です。

ランドクルーザー“FJ”の特徴は何か

　トヨタが世界初公開した新型車「ランドクルーザー“FJ”」の主な特徴は、以下の通りです。

　パワートレインは、まず耐久性に実績のある2.7Lガソリンエンジン（2TR-FE型）が搭載されます（プロトタイプ時点）。

「Freedom & Joy」という新たな価値観

　従来のランドクルーザーの核である「信頼性・耐久性・悪路走破性」は継承しつつ、「自分らしく楽しむ自由（Freedom & Joy）」をコンセプトに、より多くの人が気軽にランクルを楽しめるエントリーモデルとして位置づけられています。

シリーズ最小のコンパクトサイズと高い機動性

　全長：4,575mm、全幅：1,855mm、ホイールベース：2,580mmという、シリーズの中で最も取り回しやすいボディサイズです。

　最小回転半径は5.5mを実現し、都市部での扱いやすさとオフロードでの優れた機動性を両立しています。

タフでヘリテージ感のあるデザイン

　「サイコロ」をモチーフとしたスクエアな直方体ボディが特徴で、歴代ランクルらしい力強さと楽しさを表現しています。

　角形のLEDヘッドライト（カスタムにより丸目も選択可能）や、張り出したフェンダーなど、タフなオフローダーとしての意匠が随所に見られます。

本格的な悪路走破性

　伝統のラダーフレーム構造を引き続き採用し、強靭なボディと高い操縦安定性を確保しています。

　地上高やアプローチアングルにも配慮され、パートタイム4WDシステムと組み合わせて、本格的な悪路走破性を実現しています。

実用性とカスタマイズ性

　フロントとリアのコーナーバンパーは分割タイプとなっており、破損した部分のみの交換が可能で、修理性に優れます。この分割構造は、多彩なカスタムパーツへの対応にも配慮されています

コンパクトな車体の新型を発売する理由は何か

　トヨタがランドクルーザー“FJ”というコンパクトな新型車を発売する主な理由は、以下の3つの戦略的な狙いがあるためです。

　コンパクトなサイズによる運転のしやすさ（機動性）、そして高いカスタマイズ性を提供することで、ユーザーのライフスタイルに寄り添い、よりカジュアルにランクルを楽しむ選択肢を提供します。

新規顧客層の獲得（エントリーモデルの投入）

　従来のランドクルーザー（300や250シリーズなど）は、サイズや価格帯から購入を躊躇していた、特に若い世代や初めてランクルを購入する層、都市部のユーザーなどをターゲットにしています。

　従来のラインナップよりも「手頃な価格帯」（最安値での販売を検討）かつ「取り回しの良いサイズ」で、ランドクルーザーブランドへの入口を広げる狙いがあります。

市場の「空白地帯」の開拓とグローバル需要への対応

　「本格的なオフロード性能を持つコンパクトSUV」という市場のニーズは世界的に高まっています。

　現行のランドクルーザーシリーズが大型化する中で、都市部や日本の道路事情にも適したコンパクトな本格オフローダーを投入することで、市場の隙間を埋め、グローバルでのラインナップを強化します。

　コンパクトでも悪路走破性は確保されており、北米、オーストラリア、日本など、様々な地域での需要に応えます。

「Freedom & Joy」という新たな価値の提供

　ランドクルーザーの核である「信頼性・耐久性・悪路走破性」をベースに、「自分らしく楽しむ自由」という新たなコンセプトを加えています。

ラダーフレーム構造とは何か

　ラダーフレーム構造とは、車の基本的な骨格となる「はしご（ラダー）状のフレーム」と、その上に乗せられる「ボディ」が別々になっている車体構造のことです。

【構造の仕組み】

• メインフレーム（骨格）: 左右に長く伸びる2本の梁（サイドメンバー）と、それらを繋ぐ部材（クロスメンバー）で構成される、頑丈なはしご型の骨格がまず存在します。
• 部品の搭載: エンジン、トランスミッション、サスペンションなどの走行に必要な主要部品は、このフレームに直接取り付けられます。
• ボディ: 走行に必要な機能を持ったフレームの上に、居住空間であるボディ（箱）が載せられます。

【主なメリット（ランドクルーザーが採用する理由）】

• 堅牢性と耐久性: 頑丈なフレームが独立して荷重や衝撃を受け止めるため、車体全体の耐久性が極めて高く、長期間の使用や酷使に耐えられます。
• 悪路走破性: 悪路で路面から大きな衝撃を受けても、ボディがねじれにくく、フレームがしなることで衝撃を吸収するため、高い走破性を維持できます。
• 修理の容易さ: ボディとフレームが別体のため、ボディが多少凹んでもフレームに損傷がなければ走行でき、修理やメンテナンスも比較的容易です。

　現在の乗用車の多くは、シャシーとボディを一体化した「モノコック構造」を採用していますが、ランドクルーザーやジムニー、大型トラックなど、高い耐久性と悪路走破性が求められる車種にラダーフレーム構造が採用され続けています。