この記事で分かること
- シャオミとは:2010年創業の中国の高いコストパフォーマンスが特徴である総合テクノロジー企業です。スマートフォンで世界トップクラスのシェアを持ち、最近では電気自動車(EV)事業にも参入し、事業を拡大しています。
- 過去最高利益となった背景:電気自動車(EV)を含むイノベーション事業が売上高約199%増と急成長し、四半期で初の営業黒字を達成したことです。加えて、スマートフォン事業の出荷台数増と平均販売価格(ASP)の上昇も貢献しました。
- シャオミのEVの特徴:ポルシェに匹敵する高性能・長航続距離と、高いコストパフォーマンスが特徴です。独自OS「HyperOS」で、スマートフォンや家電とシームレスに連携するスマートな体験を提供します。
シャオミの過去最高利益
中国のシャオミ(Xiaomi)が発表した2025年第3四半期の決算では、調整後純利益が前年同期比で約81%増という大幅な伸びを記録し、過去最高を更新しました。
https://jp.reuters.com/markets/world-indices/RLO6DC6WJFKIHDRUUMDMKUFZ7Y-2025-11-18/
シャオミは従来の主軸であるスマートフォン事業の堅調さに加え、EVをはじめとする新しい戦略的事業が収益化段階に入ったことで、全体の大幅な増益につながっています。
シャオミはどんな企業なのか
シャオミ(Xiaomi、中国語名:小米集団)は、中華人民共和国北京市に本社を置く総合テクノロジー企業です。
2010年4月6日に連続起業家の雷軍(Lei Jun)氏らによって設立され、「Innovation for everyone(あらゆる人々にイノベーションを)」をビジョンに掲げています。
主な事業内容と特徴
シャオミの事業は、主に以下の3つの柱で構成されています。
1. スマートフォン事業
- 創業の核: 2011年に初のスマートフォン「Xiaomi Mi 1」を発表し、高い価格性能比(コスパ)で世界的なメーカーに急成長しました。
- グローバルシェア: 現在、スマートフォンの出荷台数で世界トップ3に入る大手メーカーです(Apple、Samsungに次ぐ)。
- 販売戦略: 創業初期はオンライン販売を主力とし、開発費に注力する戦略でコストを抑えていました。
2. IoT (Internet of Things) およびライフスタイル製品事業
- 幅広い製品群: スマートウォッチ、スマートバンドなどのウェアラブル製品のほか、スマートTV、ロボット掃除機、調理家電など、幅広いカテゴリーのスマートホーム製品を開発・販売しています。
- エコシステム: これらの製品を接続し、ユーザーに包括的でシームレスな体験を提供するための巨大なIoTプラットフォームを構築しているのが特徴です。
3. EV(電気自動車)事業などのイノベーション事業
- 新規参入: 2024年3月には、初の電気自動車(EV)である「SU7」を発売し、大きな話題となりました。
- 高い性能: SU7の上位車種は、テスラの高級車種に匹敵するか、一部上回る高い基本性能を持っていると評価されています。
- 収益の柱へ: 最新の決算(第3四半期)では、このEVを含むイノベーション事業が大幅な増収と初の営業利益達成に貢献し、今後の成長の牽引役として注目されています。
企業の特徴
- キャッチコピー: 「Just For Fans」(為發燒而生)。ファンとのコミュニティを重視し、ユーザーの意見を取り入れて製品を改善していくスタイルが特徴です。
- 成長速度: 創業後わずか5年で売上高1兆円を達成するなど、非常に速いスピードで成長した企業として知られています。
- グローバル展開: 中国国内市場だけでなく、インドやヨーロッパなど世界100以上の国と地域で製品を展開し、収益における海外市場の比率を高めています。
シャオミは、単なるスマートフォンメーカーから、IoT、EVへと事業領域を拡大し続ける総合テクノロジー企業として進化しています。

シャオミは、2010年創業の中国の総合テクノロジー企業です。スマートフォンで世界トップクラスのシェアを持ち、スマートテレビやロボット掃除機などのIoT製品も幅広く展開しています。最近では電気自動車(EV)事業にも参入し、事業を拡大しています。高いコストパフォーマンスが特徴です。
利益増加の理由は何か
シャオミの2025年第3四半期における調整後純利益が81%増となった最大の理由は、EV(電気自動車)事業を中心とするイノベーション事業の急成長と初の営業黒字化です。
利益増加の主要な要因
- EV・AI事業の貢献(最大の牽引役):
- 売上高の急増: EV、AI、その他の新規事業を含むイノベーション事業の売上高が前年同期比で約199%増の290億元に急増しました。特にEVの売上高は197.9%増となりました。
- 初の黒字達成: EVとAIを含むこのイノベーション事業セグメントが、四半期ベースで初めて営業利益(7億元)を達成し、全体の利益率を大きく押し上げました。
- 規模の経済とASP上昇: 車両の納入台数が過去最高を記録し、生産規模の拡大によるコスト削減(規模の経済)が進んだこと、および高価格帯モデルの構成比が高まり平均販売価格(ASP)が上昇したことが収益性改善に寄与しました。
- スマートフォン事業の堅調:
- 出荷台数の増加: スマートフォンの出荷台数が9四半期連続で前年比増加を記録し、世界トップ3の地位を維持しました。
- ASPの上昇: 製品構成の改善により、スマートフォンの平均販売価格(ASP)も上昇し、収益に貢献しました。
- IoT・生活家電事業の成長:
- スマート家電などのIoT製品の販売も好調を維持し、全体の売上高を支えました。
シャオミは、創業以来の主軸であるスマホ事業の安定性を維持しつつ、EVという新たな収益源が本格的に立ち上がり、利益率の高い段階に入ったことが、過去最高益更新の決定的な要因となりました。

主な理由は、電気自動車(EV)を含むイノベーション事業が売上高約199%増と急成長し、四半期で初の営業黒字を達成したことです。加えて、スマートフォン事業の出荷台数増と平均販売価格(ASP)の上昇も貢献しました。
シャオミのEVの特徴は何か
シャオミが初めて市場に投入した電気自動車(EV)である「SU7」(Speed Ultra 7)は、その高性能と、同社の強みであるスマートデバイスのエコシステムとの融合が最大の特徴です。
主な特徴と注目ポイントは以下の通りです。
1. 圧倒的なパフォーマンスと航続距離
- 高性能・高加速: 最上位モデルの「SU7 Ultra」は、0-100km/h加速が2.78秒と、ポルシェ・タイカンやテスラの上位モデルに匹敵、あるいは凌駕する高い運動性能を持っています。
- ロングレンジ: 最長で700km〜800km超(CLTCモードやモデルによる)という、クラス最高レベルの長い航続距離を実現しています。
- 高電圧プラットフォーム: 800Vの高電圧バッテリープラットフォームを採用し、急速充電性能にも優れています。
2. スマートフォン・IoTとのシームレスな連携
- 独自OS「Xiaomi HyperOS」搭載: 車載システムには、スマートフォンや他のIoT製品にも搭載されている「Xiaomi HyperOS」を採用しています。
- エコシステム構築: これにより、車がシャオミの巨大なIoTエコシステムに組み込まれ、スマートフォンから家電までをシームレスに接続するユーザー体験を提供します。
- スマートフォンを車に接続して操作したり、車内の大型ディスプレイ(16.1インチ)で連携操作が可能です。
- 高性能SoC: インフォテインメントシステムには、クアルコムの高性能車載SoC「Snapdragon 8295」を搭載し、充実したエンターテインメントを提供します。
3. デザインと空力性能
- スポーティなデザイン: ポルシェ・タイカンを彷彿とさせる、流線型のスポーツセダンデザインが特徴です。
- 低い空気抵抗: エアロダイナミクスを徹底的に追求し、空気抵抗係数(Cd値)はわずか0.21と、世界トップクラスの低さを誇ります。
4. コストパフォーマンス(コスパ)
- 戦略的な価格設定: ベースグレードの価格(中国国内)は、高性能ながらテスラ・モデル3など競合車種に比べて競争力のある価格に設定されており、「爆コスパEV」として大きな話題を呼びました。
シャオミのEVは、単なる乗り物ではなく、巨大な「ガジェット」として、同社の強みであるデジタル技術と価格競争力を最大限に活かした製品と言えます。

シャオミEV「SU7」は、ポルシェに匹敵する高性能・長航続距離と、高いコストパフォーマンスが特徴です。独自OS「HyperOS」で、スマートフォンや家電とシームレスに連携するスマートな体験を提供します。
テスラとの具体的な比較は
シャオミのEV「SU7」とテスラの「Model 3」の具体的な比較は、主に「サイズ・性能」、「価格競争力」、「デジタル連携」の3点に集約されます。
1. サイズとパフォーマンス
| 項目 | シャオミ SU7 | テスラ Model 3 | 結論 |
| 全長 | 約4,997 mm | 約4,720 mm | SU7が一回り大きく、ゆったりしている。 |
| ホイールベース | 3,000 mm | 2,875 mm | SU7が長く、より広い室内空間に寄与。 |
| 加速性能 | 0-100km/hが約3.24秒(高性能モデル) | 0-100km/hが約6.1秒(RWD) | SU7の基本性能が高く、加速に優れる。 |
| デザイン | スポーティなスポーツセダン型。 | シンプルでモダンなデザイン。 |
2. 価格と競争戦略
| 項目 | シャオミ SU7 | テスラ Model 3 | 結論 |
| 価格 | 競争力のある設定 | 競合の中でも低価格帯を維持 | SU7は大型・高性能ながら戦略的な価格でテスラを意識。 |
| コスパ | サイズと性能を考慮すると非常に高い。 | 成熟した生産体制による製造コストの低さが強み。 |
3. デジタル・エコシステム連携
| 項目 | シャオミ SU7 | テスラ Model 3 | 結論 |
| OS / 連携 | HyperOS搭載。スマホ、タブレット、スマート家電とのシームレスな連携が最大の強み。「走るスマホ」と言える。 | 独自OS。車載機能に特化し、シンプル。 | デジタル連携の幅でSU7が優位。 |
| 自動運転 | Xiaomi Pilot。高性能センサーを搭載。 | Autopilot (FSD)。業界トップクラスの走行データと実績を持つ。 | 実績とデータの蓄積でテスラが優位。 |
まとめ
- シャオミ SU7の強み:より大きな車体サイズ、優れた加速性能、そしてシャオミの巨大なIoTエコシステムとの深い連携によるスマート機能の付加価値です。
- テスラ Model 3の強み:EV市場における確立されたブランド力、自動運転技術(Autopilot/FSD)の成熟度、そして大量生産による製造の効率性と実績です。
シャオミは、テスラに比べて劣る「ブランド力と実績」を、「高性能・高コスパ」と「IoT連携」という独自の付加価値で補い、市場を奪いにきています。

SU7はModel 3より大型で加速性能に優れ、スマホとの連携(HyperOS)で差別化。テスラは自動運転の実績や生産の効率性で優位性があります。SU7は高コスパでテスラを追撃しています。

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