ギフティッドの子供たち　角谷詩織　要約

ギフティッド児とは「並外れた才能が潜在的にでもある子供」のことを指しますが、自分とは別世界の天才や発達障害というイメージを持つ人がほとんどです。実際には天才ではないや障害を持たないギフティッドも多く存在しています。

ギフティッドに対する理解が進んでいないことで、大変な思いをしている人も少なくありません。特に日本では、才能があるかではなく、子供を育てる過程で困難なことがあってからギフティッドであるかを、調べるケースが多くなっています。

ギフティッド児にとって不適切な教育環境にさらされ続けたことで、環境を適切にしていれば防げた精神疾患を背負うってしまうようなこともあります。

多くの人がギフティッドを少しでも理解することで、ギフティッドの子育てがしやすい状況をつくることができるようになっていきます。

ギフティッド＝知能の高い発達障害という誤解はギフティッド児の見せる様子が発達障害、ADHDなどの子と似ている点があるためです。

集中が散りやすく、授業中に座っていられないなどの症状は共通していますが、特定の教科や教師のときだけ座っていられない、能動的に思考しながらする活動であれば、45分以上集中できる場合などはギフティッドの可能性もあり、日常的な子供の様子を少しだけ注意深く見ることでこれらに当てはまるかは確認することができます。

また、近年では脳神経科学の発展でギフティッドの脳には可塑性が高いことが明らかになっており、今後より本質的なギフティッドの理解が進むことも期待されています。

また、多くのギフティッドは天才ではありませんし、子供ゆえに才能が顕在化していないだけの可能性もあります。メディアで取り上げるような子供だけがギフティッドと考えてしまうとギフティッド児に適切な環境を用意してあげられなくなってしまいます。

ギフティッドであるかどうかの判断は知能検査で行われますが、万能ではなく、本来ギフティッドである子がギフティッドであると判定されず、不適切な教育環境にさらされてしまう例も多くあります。

不適切な教育環境にさらされ続けてしまうことで、様々な精神疾患を背負ってしまうことも少なくありません。

日本にはギフティッドの測定制度や教育制度がないこともあり、多くの子供たちが深刻な問題に陥っていることが予測されています。

ギフティッド＝優等生というイメージもギフティッドの発見を妨げる要因です。学業成績は散々というギフティッドも存在します。

ギフティッドが必ずしも学業や社会で功績を上げるわけではありません。功績の有無にかかわらず、その子を丸ごと受け止めて認めることが大切です。

社会生活の中での困難からギフティッドの可能性に気づく場合には、以下のような社会的情緒特性を持っていると思われます。

・感情や身体感覚などの激しさ、繊細さ

・正義感の強さ、共感性の高さ

・完璧主義

・知的好奇心の強さ

これらの社会的情緒性は様々な過興奮性によってもたらされ、周囲の人からすると理解できないような言動につながりますが、その子の気持ちや感情が事実であるという前提で応じることが大切です。

自分の感情を受け入れてもらえたという経験を積み重ねることで自信が生まれていきます。

日本ではギフティッド教育の仕組みがないことが懸念されていますが、制度だけがあってもうまくいくとは限りません。

ギフティッドだけでなく、子供の選択を尊重したフレキシブルな教育環境を整えることが必要です。多くのギフティッド児は幼少期から自分が周囲とどこか違うことを敏感に感じています。

一人ではないというメッセージを受け取ることで見る見るうちに輝きをとり戻すこともギフティッド児の特性です。

ギフティッド児への関心が高まり、理解が進むことで、ギフティッド児が生きやすい社会へと変化していくはずです。