本の概要
北極海に大きな注目が集まっています。
温暖化によって、氷が薄くなったり解けることで航海がしやすくなったことで、軍事的な重要性が増しています。
また、資源の埋蔵量も多く、各国が争って影響力を高めようとしています。
特に、ウクライナ侵攻など強硬姿勢のロシアの影響もあって、軍事的な緊張が増しています。
なぜ、北極海が軍事的に重要なのか、北極海にはどのような歴史があるのか、どうやって平和を維持していくべきなのかなどを知ることができる本になっています。
この本やこの記事で分かること
・なぜ、北極海に注目が集まっているのか
・北極海をめぐる争いの状況
・どうやって協調していくべきなのか
本の要約
ロシアによるウクライナ侵攻と地球温暖化による危機、この異なる要因によって北極海の緊張が高まっています。
アメリカーロシア間では北極の上空を飛行するルートが最短となるため冷戦の時代から北極海は核兵器を搭載した爆撃機や潜水艦が作戦していました。
冷戦後はソ連の脅威が薄れたこともあり、北極圏の軍備も縮小していきました。
しかし、温暖化で北極海の氷が解けたことで、航海がしやすくなったことやロシアの軍事行動の多発、石油や天然ガスの埋蔵量の多さなどから再び、北極海をめぐる争いが起きています。
海は陸地と比べ世界での統一されたルールが存在せず、各国の解釈に任される部分が多いことのあり、主張が競合しやすく争いが起きやすい環境にあります。
また、海路での運送は陸路に比べて、圧倒的に効率が良いため、交易、貿易に有利となり、大きな経済的発展をした例は大英帝国をはじめ多く見られることも争いを激化させている理由の一つです。
さらには、北極圏に未発見の石油の13%、天然ガスの30%が眠っているなど資源の面からも注目度が集まっています。
プーチン大統領の就任以来、大国ロシアの復活を掲げ、多くの軍事的行為を行っています。この流れの中で北極圏に近いノルウェー、フィンランド、スウェーデンなどがNATOへの加盟を進めていることも、北極圏の軍備が進む理由の一つです。
中国も軍艦の派遣や資源採掘のための海洋調査、軍事演習などを行っています。
中国は一帯一路政策の下、強引ともいえるインフラ整備をおこない、中国への債務が膨大になった国が債務軽減と引き換えに自国の設備の運営権を中国に渡してしまう問題を起こしてきました。
アイスクリームやグリーンランドにも中国は関与を強めており、同じような問題が起こる可能性が指摘されています。
国家間の対立が続いていますが、北極をめぐっては、話し合いと協調の場でもあります。
北極域での気候変動の影響に対処するための科学研究の促進や船舶や資源輸送に関する安全対策など多国間の利害の調整をおこなってきた北極協議会のような例もあります。
日本も、ホッキョクグマの保護活動や先住民の生活、環境保護など多くの科学者による研究が行ってきました。
国際協調、人間の安全保障重視の姿勢をもって取り組むことも有効な方法です。
北極海がなぜ注目されているのか
ロシアによるウクライナ侵攻と地球温暖化による危機、この異なる要因によって地政学的な緊張が急激に高まってい地域が北極海です。
温暖化で北極の氷が解けたことで、北極海の航海がしやすくなり、軍事的な意味も大きくなっており、北極海をめぐる争いにつながってしまうことが懸念されています。
温暖化で北極の氷が解けたことで、北極海の航海がしやすくなったことで、各国が北極海に注目しています。
北極海をめぐる争いの特殊な部分はどこか
陸地であれば、どこかの国の領土であり、その国家の主権のもと法や制度が施行されます。しかし、海は海域によって沿岸国の権利が異なるっています。
統一されたルールも検討されてきましたが、解釈が各国の行動の積み重ねにゆだねられている部分が大きいことも北極海の問題につながっています。
北極海には、排他的経済水域の範囲を決める大陸棚が競合している部分があり、ロシア、カナダ、デンマーク(グリーンランド)の主張が競合しています。
北極海は陸地ではなく、海であるため、沿岸国ごとにルールが異なるため、主張が競合しやすくなっています。
温暖化は北極海にどのくらい影響を与えいているのか
北極海の氷は温暖化の影響で溶けています。氷の面積が減少しているだけでなく、夏の間も解けない多年氷が急速に減少しています。
北極海の温暖化はほかの地域の4倍速で進行し、2050年までには北極海の海氷が消滅することが確実視されています。
北極海の中央を横断することができれば、航程を大きく短縮することができるため、新たな海上輸送における選択肢として関心が高まっています。
北極海航路は横浜からドイツまで、マラッカ海峡やスエズ運河を通るルートに比べて、6割に短縮することが可能です。
北極海の温暖化はほかの地域の4倍速で進行し、2050年までには北極海の海氷が消滅することが確実視されています。
北極海の中央を横断することができれば、航程を大きく短縮することができるため、新たな海上輸送における選択肢として関心が高まっています。
航路以外に北極海で争う理由は何か
北極の上空を経由して飛行するルートが最短となるため、冷戦期の北極海は核兵器を搭載した爆撃機やミサイル搭載潜水艦が作戦する海域でした、
そのため、アメリカなどの西側諸国はグリーンランドに大規模な基地を設置し、ソ連の爆撃機の撃墜やソ連からの攻撃に備えていました。
また、北極圏には未発見の石油の13%、天然ガスの30%が眠っているなど資源の面からも注目度が集まっています。
軍事的、資源的な観点方もそれぞれの大陸棚がどの国に帰属するのかは今後も大きな問題となることが予測されています。
北極の上空を経由して飛行するルートが最短となるため、軍事的な意味も大きいものです。
また北極圏には未発見の石油の13%、天然ガスの30%が眠っているなど資源の面からも注目度が集まっています。
海路の重要性はどこにあるのか
海路での運送は陸路に比べて、圧倒的に効率が良いため、交易、貿易で有利となり、それらの国が大きな経済的発展をした例は多く見られます。
大英帝国は海洋を支配していたため、大きく発展することができました。このような事実から海運を支える商船隊と港湾、それを保護する海軍を総称し、シーパワーという言葉が生まれています。
シーパワーの重要性がアメリカにも広がり、大陸国家と海洋国家群の対立という考え方が生まれ、地政学として発展していきます。
海路での運送は陸路に比べて、圧倒的に効率が良いため、交易、貿易に有利となり、大きな経済的発展をした例は大英帝国をはじめ多く見られます。
ロシアは北極海にどのような影響を及ぼしているのか
冷戦期のソ連と西側諸国との対立では北極海の軍備化が進みましたが、冷戦終了に伴い、ソ連の脅威は低下しました。
しかし、大国ロシアの復活を掲げるプーチン大統領はジョージアへの軍事介入、ウクライナへの介入、クリミナ半島併合などで緊張が増しています。
そのため、北極海でも脅威に対処すべき活動が活発化しています。NATOでもノルウェーがホスト国となり軍事演習などが行われています。
ノルウェー、フィンランド、スウェーデンはこれまで、NATOへの加盟に慎重などロシアに配慮してきましたが、近年のロシアの態度を考慮し、NATO加盟への申請を進めるなど、情勢に大きな変化が起きています。
ロシアもウクライナ侵攻と並行しながらも、北極圏の軍備強化を引き続き行っています。
ロシアの軍事的脅威が増すなかで、北極圏でも軍備強化を進めています。対抗としてNATOが北極海で軍事演習を実施したり、ノルウェー、フィンランド、スウェーデンがNATO加盟を進めるなど情勢に大きな変化が起きています。
中国は北極海にどのように関与しているのか
南シナ海で多くのトラブルを起こしてきた、中国も北極海への興味、関心を強めています。
軍艦の派遣や資源採掘のための海洋調査、軍事演習などを行っています。
中国は一帯一路政策の下、強引ともいえるインフラ整備をおこなってきました。当初民間用に整備したパキスタンの港を軍艦も利用するよう変更したり、中国への債務が膨大になったスリランカでは債務軽減と引き換えに港の運営権を譲渡されるなどの問題を起こしています。
アイスランドやグリーンランドにも中国が関与を強めており、同じような問題が起こる可能性が指摘されています。
中国も軍艦派遣や海洋調査を行うなど、北極海への興味、関心を強めています。
スリランカやパキスタンなどで一帯一路による強引なインフレ整備を行ってきましたが、沿岸国であるアイスランドやグリーンランドにも中国が関与を強めています。
北極海ではどのように協調を行ってきたのか
国家間の対立が続いていますが、北極をめぐっては、話し合いと協調の場もあります。
北極協議会は北極域での持続可能な開発や環境保護に関して、協力、交流を目指すもので、1996年に設立されています。
北極域での気候変動の影響に対処するための科学研究の促進や船舶や資源輸送に関する安全対策など多国間の利害の調整をおこなってきました。
一方で、メンバーの一つであるロシアによるウクライナ侵攻によって、話し合い場が持てなくなるなど、他地域での戦争や対立が北極域へも影響を与えてしまっています。
北極協議会以外にも、様々な協調の方法が模索されています。
北極協議会は北極域での持続可能な開発や環境保護に関して、協力、交流を目指すもので、1996年に設立されています。
これまで多国間の利害調整をしてきましたが、メンバーのロシアのウクライナ侵攻によって話し合いの場が持てなくなっています。
北極海はどのように平和を維持していくべきか
北極海は上空、海中ともに核戦力が直接対峙する東西冷戦期の最前線であり、ロシアとNATOのにらみ合いの場でもありました。
日本はこのような場でありながら、ホッキョクグマの保護活動や先住民の生活、環境保護など多くの科学者による研究が行ってきました。
安全保障であっても、すべてが軍事でないことは明らかです。国際協調、人間の安全保障重視の姿勢をもって取り組むことも有効な方法です。
安全保障であっても、すべてが軍事的問題になるわけではありません。
日本は冷戦期に最前線となっていた北極圏で、ホッキョクグマの保護活動や先住民の生活、環境保護なを行ってきました。
国際協調、人間の安全保障重視の姿勢をもって取り組むことも有効な方法です。
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