世界最高峰の研究者たちが予測する未来　山本康正　要約

本の概要

この本や記事で分かること

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本の要約

なぜ、テクノロジーを学ぶことが必要なのか

　テクノロジーの進化はビジネスや私たちの生活を大きく変化させるため、テクノロジーを学ぶことで、ビジネスの変化の本質を知ることができます。

　現代社会では、テクノロジーに全く関係のない仕事はありえませんが、日本の経営層はテクノロジーに精通していません。

　若いビジネスパーソンにとって、テクノロジーを学ぶことは必須であり、スキルとして身に着けていかなければ徐々に淘汰されてしまいます。

　また、テクノロジーは単なる業務効率化の道具ではなく、ビジネスモデルそのものを変えるイノベーションに満ちたものです。

　テクノロジーによってどのような変化が今起きているのかを知り、できればサービスを利用し、意識改革を起こす必要があります。

AIは今後どのように進化していくのか

　これまでAIは主に、データから規則性やパターンを検出し、正解不正解を見分けるなど何かを識別する用途で利用されてきました。

　それに対して、生成AIは与えられたデータを学習し、人間が指示を出すとテキストや画像、動画などを作成するものです。　

　コンテンツを生み出す力と簡単に利用できることから大きな注目を浴び、マイクロソフトを中心に開発競争が続いています。

　エンターテインメント業界はAI、特に生成AIによって、大変動が起き、業界の様相が大きく変わる可能性の高い業界です。

エンターテインメント業界は生成AIでどう変化するのか

　エンタメ業界での生成AIは以下のような利用が予測されています。

・生成AIによる絵本や漫画の創作

・小説の作成

・映画におけるCGによる背景

・亡くなった人のコンテンツを学習させ、質問に応対させたり、会話を行う

　ほかにも、音楽、ゲームなど領域で生成AIが用いられることが予測されます。

　ただし、現在の生成AIはあくまでも指示されたことをこなすだけですし、０から何かを生み出すことはできません。決定権は使用する人間にあり、補助的なツールとしての利用にとどまります。

　また、アシスタントのような立場の人の仕事は減る可能性がありますが、生成AIに正確な指示、プロンプトを送るような業務は人にしかできないため、仕事を完全に奪うわけではないと思われます。

　簡単に誰もが使えることが特徴であるため、大勢に人にチャンスが広がるため、まずは使ってみることが必要です。

金融業界はテクノロジーでどう変わるのか

　金融業界の変動はアップルが牽引しています。

　アップルはアメリカで銀行サービス、口座の開設をはじめています。4.15%という高い金利や口座開設の簡単さから、多くの人が利用し始めています。

　アップルが高利率にできるのは、iPhoneを継続利用してもらうためのサービスの一環であり、金利の差で儲ける必要性が他社よりも低いためです。

　利益率の高いiPhoneを継続的に使ってもらえれば、金融での利益が大きくなくても問題ないと考えています。

　口座の開設が簡単なのは、iPhoneの中にすでに情報が入っていることが大きな要因です。今後はあらゆる金融サービスがスマホに取り込まれていくことになります。

　iPhoneの使用者の多い日本への上陸も十分にあり得ます。そうなれば証券、保険など単体で金融関連サービスを行っている企業は厳しくなります。

　手数料で儲ける必要のないアップルが手数料を無料にしたサービスを展開すれば多くのユーザーが利用する可能性があります。

　アップル以外にもグーグルやアマゾンも参入を狙っています。

　様々なデータを保有し、コアとなる事業が高い利益を出しているビックテックが複数産業の役割を担うようになれば、1つの領域でのみ戦ってきた企業は押しつぶされてしまうリスクがあります。

製造業はテクノロジーでどう変化しているのか

　製造業に大きな変化をもたらすのは、AI関連技術とロボティクスの二つです。

　AIはデザイン、素材生成、生産ラインの最適化、在庫管理など製造業のあらゆる場面で利用が進んでいきます。

　また、ロボティクスの技術が進化すれば、生産ラインの自動化が進み、人間が担っていた業務をロボットが行うようになります。

　生産ラインや現場が変化するだけでなく、製造するものにも大きな変化訪れます。

　自動運転車のように、これまで以上にソフトウェアの重要性が増すことも間違いありません。

　雇用の減少を指摘する声もありますが、この領域でも自動化の監視のような新しいカテゴリーの仕事が創出される可能性は充分にあります。

注目される製品、サービスにはどのようなものがあるのか

　スマホはあらゆるサービスが進化し、キーデバイス、インフラとしての存在感を高めていきますが、ゴーグル型の端末が操作性良く、使用しても疲れなくなれば大きく普及する可能性があります。

　エネルギー分野では大容量蓄電池の開発が進めば、発電した電気をためて起きやすくなります。太陽光、風力発電の発展と合わせて、自然エネルギーで発電した電力をためることで発電した電力を搭載したバッテリに充電し、別の場所に電力を届ける蓄電船も検討されています。

　ほかには宇宙旅行の低価格化と一般化、超音速旅客機のような革新的な次世代テクノロジーも検討されています。

不動産業界はテクノロジーでどう変化するのか

　不動産の業界でも、テクノロジーの活用がさらに進むものと思われます。

　これまでは借り手や買い手の希望を聞いて人間が物件を紹介していましたが、AIを利用すれば膨大なデータからより最適な物件を提案可能になります。

　不動産業者も良質な物件を人気のエリアに建てるだけでなく、顧客にニーズや体験をサポートするソフト面で価値を提供する必要性は増加していきます。

　ほかにも、賃貸契約がネットで簡単になれば、一日単位で物件を借りることが簡単になり、ホテルと賃貸物件の垣根がなくなっていきます。

　建築分野でも生成AIがインテリアをデザインしたり、利用者のデータから好みのデザインや雰囲気を判断する部分にもAIが利用されていきます。

　実際の建築分野も資材、人材、安全管理にAIや画像解析技術が導入され、効率化、高品質化につながっていきます。

　また、ロボタクシーや自動運転車が普及すれば、交通の便の悪い地域の価値が向上し、駅前が一等地という定説が崩壊する可能性があります。

　リニアなど高速に移動できる乗り物が開発されれば、地方から出勤することも当たり前になれば、地方の価値が上がり、地方の人にも大きなチャンスが巡ることとなります。

製薬業界はテクノロジーでどう変化するのか

　製薬業界はAIによって創薬の開発スピードを大きく向上させることができる可能性があります。

　優秀なAIを持っていることが重要になれば、従来の製薬会社ではないＡＩに強い会社が新しい薬品を生み出すようになる可能性もあります。

　医療の現場でも画像診断やロボティクスの導入が進めば、簡単な作業ルーティン的な仕事をAIに任せて、医師がより高度な業務に励むことができる可能性もあります。

　医療におけるテクノロジーの変化は幅広く、遠隔診療やデバイスによる健康状態の測定や転倒検出などのすでに実用化が進んでいるものから、人口の眼の開発、脳波によるデバイスの作動などSFに近いようなものも考えられています。

教育分野はテクノロジーでどう変化するのか

　教育分野でのテクノロジーによる変化は主に最適化が進むものと考えられます。

　多くの授業がオンラインで受けられるようになり、画一的な授業から各自個人に適切な授業を推奨できるようになります。

　また、教育を受ける側にどのような先生があっているかのマッチングもAIが得意な分野といえます。

　これまでの学校教育では得意なことは伸ばせず、苦手なことは苦手なままになってしまいがちでしたが、個々に最適な教育ができれば、大きな改善が期待できます。

AIの発展した社会で求められる能力は何か

　検索テクノロジーの台頭で、多くの情報を暗記している人が優秀という世界の常識がかわりました。

　生成AIで文章の要約や答えを導き出すことができるようになると人に求められるスキルは、以下の二つに変化します。

・出てきた回答が正しいかどうかの判断するスキル

・その結果を踏まえてどのような議論、結論が導き出せるか考えるスキル

　この二つのスキルを身に詰めるためには、以下の能力が必要です。

・ロジカルに伝えるコミュニケーション能力

・コンピュータサイエンスの能力

　最先端のテクノロジーでは、社会の構造が大きく変化するため、社会人でも学び直し、リスキリングを行うことも当たり前のものになっていきます。　

今後変化の大きい社会とどう向き合うべきか

　本書で紹介された様々な予想は当たるとは限りませんが、現在のビジネスにテクノロジーが欠かせないことは事実です。

　ビジネスは生き物のようなもので、どう変化するかは予想出来ないものです。

　だからこそ、現在のテクノロジーのトレンド、動向を学ぶことで、自分なりの予測、仮説を用意することを習慣化しておくことは重要です。

　これから先もテクノロジーが進化しても人間の仕事は亡くならない可能性は高いですが、テクノロジーを活用とした人はステップアップし、そうでない人はうまくいかないという状況は続くものと思われます。

　学ぶ→予測→仮説の振り返りを繰り返すことで、これからも続く激動の社会を乗り越えることができます。