最高の体調 鈴木裕 CROSSMEDIA PUBLISHING 要約

文明が発展した現代でも、体調不良に悩まされる人は多い これらは現代の環境と遺伝子レベルのミスマッチで起こる文明病といえる

 うつ、肥満、散漫な集中力、慢性疲労、不眠など現代の人々に抱える問題は文明病という考え方につながる。進化論をベースにした科学的な根拠の元、文明病から脱却する方法がかかれている。

 文明の発展にもかかわらず、幸福とは遠い場所にいる人は多い。体調の悪さ、やる気のでなさ、仕事の効率の低さ、これらの多くは自分のせいではなく文明病が原因になっている。

 文明病とは近代社会の変化によって引き起こされる現代に特有の病気や症状。これらは人類に備わり、遺伝してきた生存システムと現代の環境のミスマッチで発生する。

文明病を解決するにはどこにミスマッチがあるかを知ることが重要

文明病を解決するには
1.どこに遺伝のミスマッチがあるか特定する。
2.ミスマッチしている環境を遺伝に沿うように修正する。

の2段階を踏めば多くの場合、改善が可能。

ミスマッチは以下の3種類に分類される。
1.古代に少なかったものが多すぎる
2.古代に少なかったものが少なすぎる
3.古代には存在しなかったものが、近代になって表れた

多すぎるカロリー、少なすぎる睡眠、存在しなかったトランス脂肪酸などがミスマッチの原因となる。

現代の炎症は長期的で徐々に体の不調につながる

 長寿の人ほど体内の炎症が少ないことが知られている。炎症は人体を守るための免疫システムで、短中期的な炎症は怪我や発熱など身体を守るために必要。

 長期的な炎症は免疫システムの過剰防衛でおきているため、徐々に体の不調につながる。

長期的な不安も古代にはほとんどなかった

 不安にはぼんやりしたものとはっきりしたものがある。不安は生存の危機を察知し、対処するために進化し、喜びや楽しさといったポジティブな感情に比べ役に立つため、より効果的に働く。

 古代の不安は一時的なものだが、現代のぼんやりした不安は長期間にわたり続くため、脳のパフォーマンスを低下させる。
 農耕の始まりで、未来のことを考える必要が出てきたが、人類の遺伝子に未来を考えるシステムがないため、不安のシステムを使っていることでミスマッチが発生したと考えられている。実際、狩猟採集民は未来を考えることが極めて少ない。

環境の変化は腸内細菌の乱れにもつながる

 腸内細菌の乱れも慢性的な不調につながる。
・抗生物質による腸内細菌の死亡
・抗菌などの過度な衛生的な環境による菌の減少
・腸内細菌のエサとなる食物繊維の減少
が腸内細菌の乱れの原因となる。

 発酵食品、プロバイオティクス、食物繊維の摂取の効果が大きい。

環境面でも古代とのミスマッチは多い 特に自然とのふれあいの減少と孤独の影響は大きい

環境でも古代と現代のミスマッチは多く存在する。

人口密度や大気汚染は多すぎるミスマッチ
微生物とのふれあいや対人関係は少なすぎる
ビルやスマホなどの電子機器は新しすぎる

 特に多くの影響を与えるのが自然と友人。自然との触れ合いは副交感神経を活性化させ、気持ちを穏やかにする。

 人間には興奮、満足、驚異の感情システムを持っていて、自然は3つをバランスよく刺激するため自然との触れ合いは大きな効果を生む。

 人類の寿命に影響を大きな影響を与えるのは良好な社会関係。孤独は様々な不調の原因となる。

 古代ではごく近い人たちと深い関係を結んでいたが。現代では不特定多数の人とSNS等で友人を作ることはあるが、親密な人間関係を築きにくい。

 親密な関係を築くには多くの時間触れ合い、行動を共にし、信頼しあうことを意識するとよい。

長期的なストレスも古代にはなかったもの

 ストレスホルモンを分泌し、心拍数を上げ、外敵の襲撃に備えることで古代では危機に対応していた。この仕組みは短時間で対応し、危機が去るとすぐに元に戻る。
 現代のストレスは長期にわたることが多く、ストレスホルモンの分泌が 止まらなくなると徐々に免疫系が暴走し、心疾患、肥満、老化の促進につながる。

睡眠
 睡眠不足も多くの健康被害につながる。日中、日をあびることで睡眠の質を高めたり昼寝で足りない睡眠を補いことが確認されている。
 
超正常刺激
 自然界に存在しないものに本能が反射的に作動してしまう状態。ジャンクフード、ポルノ、スマホなどから抜け出せないのは本能的な反応。

未来と現在を近付けることで不安を感じにくくできる

 ぼんやりとした不安は未来を考えるようになって生まれている。この不安を消すには、未来を今日に近付けることが大事になる。現在と未来のギャップを消すには価値観を持つことが有効。
古代の価値観は苛酷な環境を生き抜き、次世代を育てることがメインだったが、現代は価値観も多様化しており、より不安を持ちやすい。

 使いきれないほどのお金を手にし、理想の仕事につき、誰からも尊敬されていたとして、どのように行動するか。この行動が本当の価値観になる。
 
 価値と目標は異なる。目標は未来に達成すべきゴールだが、価値は常に現在のプロセスで終わりがない。価値観を意識すると未来を現在進行系に置き換えることができ、不安を減らすことにつながる。

多くの人に共通する価値観は以下の4つ。
自治:人生を自由コントロールできるか。
多様性:仕事や人間関係に多彩さがあるか。
困難:人生のタスクに適度な難しさがあること。
貢献:他者の役に立っているかどうか。献の影響は非常に大きい。

死の不安を減らすには畏敬と観察が有効

 死への不安は人類が常に持っているもの。死に不安を減らすキーワードは畏敬と観察。

 畏敬とは自分の梨花を超えるものに触れた際に湧き上がる鳥肌立つような感覚。畏敬を感じると炎症レベルが下がる、親切な行動をとりやすいなどのメリットがある。
 息の長い自然や芸術に触れることは過去、現在、未来が現在の一つに感じられるため、未来を現在に近付けることができる。

 観察、特に自己観察にはマインドフルネスが有効となる。マインドフルネスは特殊な精神状態ではなく、今の感情を把握し、今の状況に集中し、自覚的に作業を行うこと。食事や家事をじっくり行うことでもマインドフルネスは可能。

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