水が危ない!消えない化学物質「PFAS」から命を守る方法　原田 浩二　要約

本の要点、概要

　日本語では、ペル/ポリフルオロアルキル物質と呼ばれるフッ素を多く含む有機フッ素化合物はPFASと呼ばれています。

　PFASは水をはじく、熱や薬品に強いという性質を持ち、水や油をはじく必要のある製品で利用されています。

　一方で、非常に安定な構造であり、水にも溶けやすいため、知らないうちに摂取し、体内に蓄積してしまうことがあります。

　蓄積したPFASの一部で発がん性が認められるなど、その健康被害も少しずつ明らかになり始めています。

　多くの人がPFASについての知識を深めることができる本になっています。

この本や記事で分かること

PFASとは何か

　PFASはPer-and polyFluoroAlkyl Substancesのことで、日本語では、ペル/ポリフルオロアルキル物質と呼ばれる有機フッ素化合物と呼びます。

　有機化合物の水素をフッ素に置き換えた有機フッ素化合物は天然には存在せず、人工的に作り出された化学物質です。

　有機フッ素化合物の中でも特に、フッ素の数が多い化合物がPFASと呼ばれます。

PFASにはどんな特徴があるのか

　炭素とフッ素が多く結合すると、その物質はとても壊れにくく、化学的に安定になります。そのため、水をはじく、熱や薬品に強いという性質を持ち私たちの身の回りでも、以下のようなものに利用されています。

・レインウェアやスキーウェア
・防水スプレー
・化粧品
・フッ素加工のフライパン
・ハンバーガーなどに利用される包装紙

　産業でも半導体製造や消火剤など産業用途でも幅広く、利用されています。

PFASの懸念点は何か

　PFASは分解されにくく、拡散しやすいため、環境中に広がり残留してしまいます。また、水によく溶け、体内に残りやすいため、気づかない間に体内に入り、人体に蓄積していきます。

　蓄積したPFASの及ぼす健康被害も明らかになり始めています。

　特にPFASの一種である、PFOA:ペルフルオロオクタン酸はWHOによって、発がん性がある物質であると認定されています。

PFASにはどんな健康被害があるのか

　健康被害報告の増加に伴い、各国や地域でPFASに対する規制がされ始めています。

　具体的には、血中のPFAS濃度が高いほど、コレステロールの増加、腎臓がん、精巣がん、潰瘍性大腸炎、妊娠高血圧症候群、甲状腺疾患などになる確率が高いなどの報告がなされています。

　また、赤ちゃんの出生体重の減少や免疫機能の低下も懸念されています。

PFASとどう向きあうべきか

　因果関係など不明な部分もありますが、悪影響の可能性がある時点から対策することが求められています。

　また、多く人がPFASに対する知識を深めることで、PFASを避けるようにしたり、消費者として厳しい目を持つことで、PFASを使用する企業が自主的に変化していくことも重要なことです。

PFASはどのように体内に蓄積するのか

　PFASが身体に入ってくる最も大きな要因は口からの取り込みです。

　特に水に溶けやすいため、水道水などに注意が必要です。廃棄物にPFASが含まれていると、水に溶けだしてしまい、その水が処理され、水道水として利用されることもあります。

　PFASは熱に強いため、煮沸程度の温度での除去効果は小さいですが、活性炭による浄水器では、除去が可能です。

　また、魚にやや多く、肉は少ない、土壌が汚染されていると野菜にも影響が出ることが知られています。

　食品以外では、化粧品や撥水加工を施した衣料品などや防水スプレーなどにも注意が必要です。　

　防水機能が必要な場合には、シリコン系の製品を使用できないか検討してみる手もあります。

　フッ素のイメージの強いフライパンは、煮沸よりかなり高い温度で処理されていることもあり、検出されていません。

世界と日本のPFASに関する姿勢はどう違うのか

　欧州やアメリカではすでに脱PFASが進んでいますが、日本では対応を先送りしたり、水道水の検査結果の報告を避けるなど本格的な取り組みは進んでいません。

　グローバルな脱PFASが進めば、日本も対応せざるをえなくなることは明らかです。

　多くの人がPFASに対する理解を深めていくことが重要になっていきます。

本の要約