化学 6.1 合金

6.人類の歴史と化学(火、金属、錬金術)

この本や記事で分かること

・合金とは何か

・合金にはどんなものがあるのか

・合金はどんな構造をしているのか

人類は金属をどのように利用されているのか

 人類は長い間石器を使い続けてきましたが、青銅や鉄器など金属を使用するようなったことで、人類の文明は大きく発展しています。

 金属は石器と比較し、強度が強く、薄く延ばすことができるなど加工性にも優れていることもあり、装飾品、武器、農具など様々なものに利用されています。

 現代でも、鉄は私たちの人類に欠かすことができず、鉄の生産量は今でも増加する傾向がみられています。

なぜ、合金を利用するのか

 人類は単体の金属を利用してきましたが、金属に1種類以上の他元素を混ぜた合金も利用してきました。

 合金は単体の金属とは異なる特徴を持つものが多く、組み合わせ方(比率や製造の方法)によって性能を変えることができることもあり、幅広く利用がされてきました。

鋼はどんあ合金なのか

 鋼は炭素を含んだ鉄のことであり、炭素を入れることで、強度が増すため、機械の材料、建築材などとしても利用されています。

 炭素が増えるほど強度は増しますが、靭性(金属材料の粘り強さ、外からの衝撃への強さ)は低下してしまうため、適切な量の炭素を含ませることが重要となります。(一般的な鋼の炭素の含有量は2%以下程度)

 鋼は現代においても、非常に重要な素材であり、鋼の使用量を見れば、その国の経済状況が確認できるともいわれています。

ブロンズとは何か

 青銅(ブロンズ)は銅とスズからなる合金のことです。

 スズの導入によって、加工性を維持したまま、銅の柔らかさという欠点を克服できることや、沸点が比較的低く、原始的な炉でも融解させることができたことなどから早くから利用されてきました。

 食料の保存や装飾品、武器など幅広く利用され、鉄を利用できる前に人類が多く利用した合金であり、石器、鉄器に並ぶ重要な材料とされています。

合金はどんな構造をしているのか

 合金は金属に他元素を混ぜたものであり、元の金属の構造を維持したまま、他元素が置換、侵入した構造を取っています。このような状態を固溶とよび、合金は固溶体とも呼ばれます。

 その構造は主に以下の2つになります。

1.元の金属の骨格の空いた空間に入り込む形=侵入型固溶体

2.他元素が元の金属と置換された形=置換型固溶体

 金属と他元素の原子半径や結晶構造が近い場合には、置換型固溶体に、小さな原子の場合には、侵入型固溶体になりやすい傾向となります。

 また、元の金属の構造とは異なる結晶構造を持つ場合には、金属間化合物と呼ばれ、合金の仲間ではありますが、元の金属と大きく異なる性能を示すものも少なくありません。

ステンレス鋼とは何か

 ステンレス鋼は鉄にクロムが一定以上含まれたものを指します。

 耐食性に優れるクロムを混ぜることで、表面に耐食性に優れた薄い皮膜が作られることで、素材である鉄が腐食しにくくなっています。

 国際的にはクロムの含有量10.5%以上、炭素の含有量が1.2%以下のものをステンレス鋼と呼ぶこととなっています。

 クロム以外にもマンガンやニッケルが混ぜられることもあり、その組成比によって性能を変えることができるため、様々なステンレス鋼が存在し、様々な用途で利用されています。

その他にはどんな合金があるのか

 黄銅、真鍮は、銅と亜鉛の合金です。融点の低さ、延びやすさによる加工のしやすさなどで古くから利用されてきました。

 金に似た光沢から古くから宝飾品、仏具や金管楽器に利用され、5円玉硬貨も黄銅製です。

 鉛とスズの合金ははんだと呼ばれ、低い融点もあり、半田づけで電子部品の基板への取り付けなどで利用されています。

 鉛の有害性から現在は、鉛の含有量を少なくした鉛フリーはんだも利用されています。

 ジェラルミンケースなどで知られるジェラルミンはアルミニウム、銅、マグネシウムによるアルミニウム合金の一種です。

 強度と軽さに優れるため、航空機の部品などにも利用されています。

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