化学.40 高分子の合成

この本や記事で分かること

・高分子の重合にはどのような種類があるのか

・ラジカル重合、イオン重合、逐次重合はどのように進行するのか

・反応性に低いモノマーの重合はどのように行うのか

高分子の重合にはどんな種類があるのか

 高分子はモノマーが連なることで生成されますが、連なる際の反応は大きく2種類に分けることができます。

 ラジカル重合やイオン重合などによって、連続的に重合が起きる「連鎖重合」と反応性を持つ末端の官能基同士が反応することで、重合が起きる「逐次重合」の二つが存在しています。

 連鎖重合では、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリスチレンなどが、逐次反応ではポリエステルやナイロンなどの物質が合成されます。

ラジカル重合とは何か

 連鎖重合にも様々な反応の様式が存在しています。

 ラジカル重合は工業的な高分子の生産でも最も多用されている重合反応となります。

 ラジカルは不対電子を持つ化合物のことで、反応性が非常に高いため、連鎖重合を起こすことが可能です。

 まず、重合開始剤とモノマーの2重結合が反応する「開始反応」が発生します。開始反応で二重結合が開裂し、モノマーの末端にラジカルが移動します。

 モノマーの末端のラジカルが別のモノマーと反応し、また末端にラジカルが生成、次のモノマーと繰り返し反応する「成長反応」が発生し、高分子が生成されます。

 ラジカル同士が反応や水素を引きぬきによる不均一化などが起きるとラジカルが消滅し、「停止反応」となり、重合反応が停止することとなります。

イオン重合とは何か

 イオン重合はカチオン重合とアニオン重合に分けることができます。

 カチオン重合では酸が触媒となり、ビニルモノマーの端にカチオンを生成します。カチオンは次のモノマーの末端に移るため、重合反応を起こすことが可能です。

 カチオンを安定化させるために、ビニル化合物の置換基は電子を供与する官能基である必要性があります。

 アニオン重合では塩基性の求核剤がビニル基の二重結合と結合し、モノマーの端にアニオンを生成します。このアニオンが次々に移動することで重合反応が進行します。

 アニオン重合では、末端のアニオンは失活剤が添加されない限りは、機能を失うことがありません。

 そのため、ある程度重合が進んだ高分子の末端にアニオンがあれば、別のモノマーと反応させることも容易となるためブロック共重合体の生成に利用されています。

ポリエチレンはどのように合成されるのか

 エチレンは二重結合の極性が小さく反応性が小さいため、高分子量のポリエチレンを作り出すために、触媒が利用されています。

  塩化チタン(TiCl4)とアルキルアルミニウム(Al(CH2CH3))からなる触媒がエチレンやプロピレンなどの重合しにくいモノマーの重合に利用されています。

 この触媒には欠陥が生じており、その欠陥に炭素‐炭素二重結合が配位することで、活性化されます。その後、Tiに配位していたアルキル基が新しく配位したアルケンに移動し、新しい結合を生成します。

 配位していた部分に欠陥が生じるため、再びこの欠陥に炭素‐炭素二重結合が配位し、また新しい結合を生成するという順序で重合が進行していきます。

逐次反応とは何か

 逐次反応の中には、重縮合と重付加二つの反応があることが知られています。

 重縮合は二つの分子が反応して、一つの分子になり、水などの副生成物を発生させます。

 代表的な重縮合として、カルボン酸とアミンによるポリアミドの生成が挙げられます。ポリアミドの代表例としては、ナイロン66などがあります。

 ナイロン66はアジピン酸とヘキサメチレンジアミンとの重縮合で合成されています。

 重付加の例としては、ジイソシアネートとジオールからできるポリウレタンがあります。重付加では水などの副生成物は発生することはありません。

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