この記事で分かること
・プラスチックごみの増加理由は何か:プラスチック消費の拡大・不適切な廃棄・自然界での分解の困難さが主な原因です。
・マイクロプラスチックとは何か:イクロプラスチックはサイズが5mm以下の微小なプラスチック粒子のことで、自然環境、特に海洋環境に広く拡散しており、生態系や人体への影響が懸念されています。
・なぜ海洋のプラスチックが問題になりやすいのか:自然分解のされにくさ、野生動物への悪影響や生態系汚染などの問題があるためです。
日本の海洋におけるプラスチックごみ増加
日本の海洋におけるプラスチックごみの問題が、近年再び深刻化しています。特に過去10年間でその量が急増しているとの報告もあります。

2050年までに海洋への追加的なプラスチック汚染をゼロにするためには、2035年までに2019年比で32%の削減が必要とされています。
マイクロプラスチックとは何か
マイクロプラスチック(Microplastics)とは、サイズが5mm以下の微小なプラスチック粒子のことです。自然環境、特に海洋環境に広く拡散しており、生態系や人体への影響が懸念されています。
マイクロプラスチックの種類
- 一次マイクロプラスチック
- 最初から微小なサイズで製造されたもの。
- 例:洗顔料や歯磨き粉のスクラブ剤、衣類の合成繊維(洗濯時に流出)、工業用マイクロビーズ。
- 二次マイクロプラスチック
- 大きなプラスチック製品が劣化・破砕してできたもの。
- 例:ペットボトル、ビニール袋、漁網、発泡スチロールなどが紫外線や波の影響で細かく砕けたもの。
マイクロプラスチックの問題点
- 生態系への影響
- プランクトンや魚が誤って摂取し、それを食べる大型魚や鳥類に蓄積される(生物濃縮)。
- 海洋生物の消化器官を詰まらせ、餓死の原因になる。
- 人体への影響
- 海産物や飲料水を通じて人間も摂取する可能性がある。
- 一部のマイクロプラスチックには有害な化学物質(フタル酸エステル、ビスフェノールAなど)が含まれており、内分泌かく乱作用(ホルモン異常)を引き起こす可能性が指摘されている。
- 環境中での分解が困難
- 自然環境ではほとんど分解されず、数百年以上残存する可能性がある。
対策と取り組み
洗濯時のマイクロファイバー対策:
洗濯時の繊維流出を防ぐフィルターの導入や、合成繊維の代替素材利用。
規制の強化:
例)EUやアメリカではマイクロビーズを含む化粧品の製造・販売を禁止。
リサイクルとごみ削減:
プラスチックの使用量を減らし、適切な廃棄・リサイクルを推進。
代替素材の開発:
生分解性プラスチックや紙製品への置き換え。

マイクロプラスチックはサイズが5mm以下の微小なプラスチック粒子のことで、自然環境、特に海洋環境に広く拡散しており、生態系や人体への影響が懸念されています。
なぜ海洋のプラスチックが特に問題なのか
海洋のプラスチックが特に問題視される理由はいくつかあります。
1. 自然分解されにくい
プラスチックは自然界で分解されにくく、海に流出すると数百年以上残存することがあります。
特に海洋環境では、紫外線や波の影響で劣化・細分化はしますが、完全に分解されることはほぼありません。これにより、プラスチックごみが永続的に蓄積してしまいます。
2. 海洋生物への影響
海洋に流出したプラスチックごみは、生物に様々な悪影響を与えます。
- 誤飲・誤食:
海洋生物(魚、カメ、クジラ、鳥など)はプラスチックを餌と間違えて飲み込むことがあり、消化器官が詰まって餓死することもあります。 - 有害物質の吸着:
プラスチックは有害な化学物質(PCB、DDTなど)を吸着しやすく、それを食べた生物の体内に蓄積されます(生物濃縮)。 - 漁業・水産業への影響:
漁網に絡まる「ゴーストフィッシング」や、魚介類の体内にマイクロプラスチックが蓄積されることで、水産資源に悪影響を及ぼします。
3. マイクロプラスチックによる生態系汚染
プラスチックは波や紫外線の影響で細かく砕け、マイクロプラスチック(5mm以下) になります。この微小なプラスチックは、プランクトンや魚が摂取しやすく、食物連鎖を通じて高次の生物へと蓄積(生物濃縮) されます。最終的に、人間も摂取するリスクがあり、健康への影響が懸念されています。
4. 景観の悪化と観光業へのダメージ
海洋ごみが浜辺に流れ着くと、観光地の景観が損なわれます。特に日本のように観光業が重要な国では、海岸の汚染は経済的損失にもつながります。
5. 気候変動との関係
- プラスチックの大半は石油由来であり、その製造・廃棄時にCO₂を排出します。
- また、海に浮かぶプラスチックが海面を覆うことで、海洋の炭素吸収能力の低下につながる可能性があります。
6. 国境を超える問題
海洋のプラスチックごみは一国だけの問題ではなく、地球規模の課題です。
- 海流によって遠くの国まで漂流し、海外の海岸にも影響を与えます。
- 「太平洋ごみベルト」など、海流の影響でプラスチックが集積する巨大なごみの渦も形成されています。
対策
- リサイクルの推進:適切な廃棄と資源循環。
- プラスチック削減:使い捨てプラスチックの利用削減、代替素材の活用。
- 国際協力:国際条約や政策による規制強化。
- 個人の意識向上:エコバッグやマイボトルの使用、適切なごみの分別など。

海洋のプラスチックが特に問題視される理由は自然分解のされにくさ、野生動物への悪影響や生態系汚染などの問題があるためです。
マイクロプラスチックはなぜ増加しているのか
マイクロプラスチックは以下のような要因が複雑に絡み合い増加しています。
1. プラスチック生産量の増加
プラスチックの生産量は年々増加しており、1950年代からの70年間で約200倍にもなりました。特に、食品包装・日用品・衣類などの分野で使い捨てプラスチックの消費が拡大し、それに伴って廃棄されるプラスチックも増えています。
2. 廃棄プラスチックの不適切な処理
- リサイクル率の低さ:世界的に見ると、廃プラスチックのリサイクル率は約9%程度と低く、大半は埋立てや焼却、または不適切に廃棄されています。
- 不法投棄・ポイ捨て:街や川に捨てられたプラスチックが、風や雨によって海に流れ込みます。
- 排水システムからの流出:洗濯機や下水処理施設を経由して微細なプラスチックが海に流出することもあります。
3. 大型プラスチックごみの劣化・破砕
- プラスチック製品は、海や川に流れ込むと紫外線・波・温度変化によって劣化し、細かく砕けてマイクロプラスチック化します。
- 例えば、ペットボトルやビニール袋、漁網が海に漂いながら崩れていくことで、どんどん微小な粒子になります。
4. 生活排水からの流出(一次マイクロプラスチック)
- 合成繊維の衣類(ポリエステル、ナイロン、アクリルなど)の洗濯時に、マイクロファイバーが流出。これは世界の海洋マイクロプラスチック汚染の約35%を占めるとされています。
- 化粧品や歯磨き粉のスクラブ剤に含まれるプラスチックマイクロビーズも問題視されており、一部の国では使用禁止になっています。
5. 自動車のタイヤ摩耗粉
- 自動車のタイヤには合成ゴム(プラスチック成分を含む)が使われており、走行中に少しずつ削れた微細な粒子が発生します。
- これが雨とともに道路の側溝や川を通じて海に流れ込むことで、マイクロプラスチックの一因となっています。
6. 大気中の拡散
- プラスチック粒子は風で運ばれ、降雨とともに河川や海へと流れ込みます。
- 研究によると、標高の高い山岳地帯からもマイクロプラスチックが検出されており、これは風によって運ばれていることを示しています。
7. 世界的な規制の遅れ
プラスチックごみの国際的な処理ルールが十分に整備されておらず、途上国では不適切な廃棄が続いている地域もあります。
EUやアメリカでは化粧品のマイクロビーズを禁止する動きがありますが、その他の国では規制が緩く、いまだに大量に生産・使用されているケースが多いです。

マイクロプラスチックの増加は、プラスチック消費の拡大・不適切な廃棄・自然界での分解の困難さが主な原因です。
どのような対策が考えられているのか
マイクロプラスチック問題を解決するために、さまざまな対策が考えられています。以下に主な取り組みを紹介します。
1. プラスチックの使用削減
- 使い捨てプラスチックの禁止・規制
- EUやアメリカでは、プラスチック製ストロー、カトラリー(フォーク・スプーン)、レジ袋などを禁止または制限。
- 日本でもレジ袋の有料化や、企業による代替素材(紙ストロー、生分解性プラスチック)の導入が進行中。
- 詰め替え・リフィル商品の推進
- シャンプーや洗剤の詰め替えパック利用を推奨し、プラスチック容器の廃棄量を減らす。
2. マイクロプラスチックの流出防止
- 合成繊維の流出対策
- 洗濯時に繊維フィルターを設置することで、マイクロファイバーの流出を防ぐ。
- 天然素材の衣類(綿・麻・ウールなど) の利用促進。
- 化粧品・歯磨き粉のマイクロビーズ禁止
- EU、アメリカ、日本の一部メーカーがすでに廃止。
- 代替素材として天然由来のスクラブ(くるみ殻、塩、砂糖など) を採用。
- 自動車のタイヤ摩耗対策
- 耐摩耗性の高いタイヤの開発や、道路の排水システムを改善し、削れた粒子が河川に流れ込むのを防ぐ。
3. リサイクルの強化
- プラスチックのリサイクル率向上
- 日本のリサイクル率は高いが、多くが「サーマルリサイクル」(焼却してエネルギー利用)であり、再資源化の比率を上げることが課題。
- EUではプラスチックボトルのリサイクル義務化が進行中。
- 生分解性プラスチックの開発
- 海や土壌中で自然分解される**PHA(ポリヒドロキシアルカン酸)、PLA(ポリ乳酸)**などの研究が進む。
4. 国際協力・政策
- 国際条約の整備
- 「プラスチック条約(UNEP主導)」 により、国際的なルール作りが進行中。
- 先進国から途上国への廃プラスチック輸出の規制強化。
- 海洋ごみの回収プロジェクト
- オランダ発の「The Ocean Cleanup」 など、海洋プラスチックを除去する国際的な取り組みが活発化。
5. 企業・技術開発
- プラスチック代替素材の開発
- バイオプラスチック(トウモロコシ由来のプラスチックなど) や、海藻・キノコ由来の包装材の研究。
- 紙製・竹製ストロー などの普及。
- 持続可能な包装技術
- 水溶性パッケージ(食べられる包装材)や、再利用可能な容器システムを導入。

マイクロプラスチック問題は、個人・企業・政府・国際社会が協力して取り組むべき課題です。プラスチック使用の削減、適切なリサイクル、環境に優しい技術の開発が重要です。
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