この記事で分かること
・どのように再生可能エネルギー化したのか:非化石証書によって、再生可能エネルギーであることが証明された電力のみを利用することで再生可能エネルギー化を達成しています。
・非化石証書とは:「再エネ電力を使っている」ことを見える化・証明するための道具です
福島マツダの全店舗で使用する電力を100%実質再生可能エネルギー化
レジル株式会社は2025年4月8日、株式会社福島マツダとの電力供給契約を締結し、福島マツダの全店舗で使用する電力を100%実質再生可能エネルギー化したと発表しました。
レジル株式会社は、福島マツダの全店舗に対し、非化石証書を活用して実質的に再生可能エネルギー100%の電力を供給しています。
この取り組みにより、福島マツダは電力コストの削減とともに、Scope2排出量の大幅な削減を実現し、脱炭素化への貢献を果たすことができます。
レジル株式会社とはどんな起業か
レジル株式会社(Rezil Inc.)は、1994年11月21日に設立された日本の企業で、東京都千代田区丸の内に本社を構えています。 同社は2024年4月24日に東京証券取引所グロース市場に上場しています。
事業内容
- 分散型エネルギー事業:自社で分散型電源を設置し、蓄積されたデータとAI、IoTを活用してエネルギーの最適化を図っています。
- グリーンエネルギー事業:再生可能エネルギーの発電、運用、調達代行を行い、分散型エネルギーリソースのネットワーク化による仮想発電所(VPP)の構築を目指しています。
- エネルギーDX事業:エネルギー企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援し、業務改善やビジネスプロセスアウトソーシング(BPO)に加え、新サービスの構築もサポートしています。
同社は「無意識な脱炭素の実現」を目指すクライメートテックカンパニーとして、エネルギーの分散化・デジタル化を通じて脱炭素社会の実現に取り組んでいます。

レジル株式会社は分散型エネルギーやグリーンエネルギー事業などを通じて、無意識な脱炭素の実現を目指すことで、持続可能なエネルギー社会の実現を目指しています。
分散型エネルギーとは何か
分散型エネルギーとは、電力を一カ所の大規模発電所でつくって送るのではなく、需要地(使う場所)の近くに小規模な発電設備を分散して配置する仕組みです。
主な特徴
- 地産地消が可能:電力を使う場所の近くで発電するため、送電ロスが少なく効率的。
- 柔軟性が高い:再生可能エネルギー(太陽光、風力、バイオマスなど)との相性がよく、地域ごとの最適なエネルギー運用が可能。
- 災害時にも強い:一つの発電所に依存しないため、分散的に供給が維持されやすく、レジリエンス(回復力)が高い。
よく使われる分散型電源の例
- 太陽光発電(家庭用や工場の屋根など)
- 小型風力発電
- バイオマス発電
- 燃料電池(例:エネファーム)
- コージェネレーション(熱と電気を同時に供給)
仮想発電所(VPP)との関係
分散型エネルギーをITやAIでまとめて一つの「見えない発電所」として制御・管理する仕組みが「VPP(バーチャル・パワー・プラント)」です。これにより、全体最適なエネルギー運用が可能になります。

分散型エネルギーとは、電力を一カ所の大規模発電所でつくって送るのではなく、需要地(使う場所)の近くに小規模な発電設備を分散して配置する仕組みで、地産地消による効率化や柔軟性の高さ、災害への強さなどが利点です。
非化石証書とは何か
非化石証書とは、再生可能エネルギーや原子力といった「化石燃料を使わない電源(=非化石電源)」によって発電された電気の“環境価値”を切り離して証書化したものです。
ポイント
1. 「環境価値」とは
電気そのものはどの発電方法で作っても性質は変わりません。しかし「CO₂を出さずに作られた」という部分=環境への貢献度が重要視される時代になっています。
→ その“CO₂排出ゼロ”という価値だけを取り出して、証書にして売買するのが非化石証書。
2. なぜ使うのか
企業や団体が以下を目指すために使います。
- CO₂排出量(スコープ2)の削減
- 再エネ100%(RE100など)の達成
- ESGやSDGs対応(企業イメージアップにも)
3. 電力とセットでの利用が示すもの
たとえば、普通の電力会社から電気を買っても、その電気に非化石証書を組み合わせれば、「実質的に再エネ100%の電気を使っている」とみなされることになります。
4. どのような種類があるのか
- 再エネ指定の非化石証書:太陽光や風力などの再エネのみ対象
- 一般の非化石証書:原子力も含む(CO₂は出ないけど再エネではない)

非化石証書は「再エネ電力を使っている」ことを見える化・証明するための道具です。
レジルのような会社がこれを活用して、企業の脱炭素化を後押ししています。
非化石証書はどうやって取り引きされているのか
非化石証書の取引は、主に以下の方法で行われています。
市場取引(オークション)
日本卸電力取引所(JEPX)が運営する非化石価値取引市場で、非化石証書の売買が行われています。発電事業者は、非化石電源で発電された電力の環境価値を証書化し、この市場に供出します。
小売電気事業者や需要家は、オークション形式でこれらの証書を購入します。
相対取引(直接取引)
市場を介さず、発電事業者と小売電気事業者、または需要家が直接交渉し、非化石証書を売買する方法です。契約条件や価格を柔軟に設定できるメリットがありますが、取引相手の信用リスクや証書の調達量などを考慮する必要があります。
再エネ価値取引市場での購入
2021年11月に新設された市場で、需要家が直接、再生可能エネルギー由来の非化石証書を購入できるようになりました。これにより、企業が自社の再エネ利用率を高める手段として活用されています。

オークションや直接取引などで、企業や小売電気事業者は非化石証書を取得し、電力の環境価値を高めることで、脱炭素化や再生可能エネルギー利用の促進に寄与することが可能になります。
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