3分要約
なぜ礼儀正しさが重要なのか
周囲に礼節のある行動をとることは、周囲に良い影響を与えるだけでなく、自分にも良い影響を与える。チーム内に礼節が浸透していれば成果を上げることもできるようになっていく。
礼節を持つにはどうしたらよいか
無礼な言動をしてしまうのは悪いではなく、無知によるもの。無礼ながもたらすマイナスや周囲への悪影響や礼節のメリットを知ることで礼節を持ちやすくなる。
また、組織であれば、無礼な人を入れない、コーチングする、評価システムで礼節を重視するなども有効
無礼な言動の悪影響は何か?
1.同僚の健康を害す
2.仕事の時間の無駄、ストレスの増大などによって会社に損害を与える
3.周囲の人の思考能力や認知力を下げてしまう
4.無礼が伝播し、周囲に人を攻撃的にしてしまう
礼節のメリットは?
周囲の人に良い影響を与えることで個人だけでなく、組織の資質を向上させるなど人生に良い影響をもたらす。
1.仕事を頼まれやすく成長につながる。
2.人脈を広げやすい
3.出生しやすい
4.成果を挙げやすい、組織の創造性が高まり、ミスが早く見つかる
5.偏見を弱め、多様性の力を発揮する
どうすれば礼節を高められるのか
基本的な点は3つ
・笑顔でいる
・相手の存在を認め,尊重するために相手のことを知ろうとする
・人の話に耳を傾ける
まずは3つの意意識し達成できたら、さらに高いレベルに挑戦すると良い。
- 礼節を持つことは想像以上に良い効果がある
- 無知によって礼節は悪化している
- 無礼がもたらすコストを知れば、礼節を持ちやすい
- 礼節のもたらすメリット知ることも礼節を増加させる
- 無礼も礼節も周囲に伝播する
- 自分は無礼ではないと過大評価しやすいため、周囲からの客観的な評価が必要
- 笑顔、相手を尊重する、話を聞くの基本が大事
- 多様性が力を発揮するためには偏見をなくし、礼節を持つことが必要
- さらに高いレベルの礼節を持つと、周囲に良い影響を与える
- メールは特に無礼になっていないか注意が必要
- チームに礼節を広めるにはコツがある
- 無礼な相手には、改善しなければ損であると伝えることが改善のコツ
- 自分の気持ちの持ち方で無礼な人の影響を減らすことができる
- 礼節を持つことは何時からでもでき、確実に人生に良い影響となる
礼節を持つことは想像以上に良い効果がある
無礼な人が周囲に与える悪影響は多くのひとが思っている以上に大きい。また,礼儀正しい態度で周囲に接することは自分にもいいことがあることを理解している人も少ない。
筆者は20年にわたる何十万人に及ぶ世界中の人々への調査で仕事で成功するために最も重要なことは「自分がどういう人間になりたいか」と問いかけることと考えている。
礼節ある行為をとる方法やその効果について知ることで,正しくどういう人間になりたいかを考える助けになる。
無知によって礼節は悪化している
過去20年,人々の礼節は悪化し続けている。原因は様々だが,テクノロジーの発展などで職場環境と人間関係が大きく変化したことについていけないことが大きな原因。
礼儀が失われているのは,悪意のせいではなく主に無知であるため。他人を傷つけたいと思う人は少ないが、無礼と感じるのはされた側であり,相手がどう感じるかを考えられないことが増えている。
無礼がもたらすコストを知れば、礼節を持ちやすい
礼節を取り戻すには,まず無礼がもたらすコストを知ることが重要になる。無礼な人は周囲の人や会社に多くの悪影響を与えており,もたらすコストは非常に大きい。
1.同僚の健康を害する
仕事で受ける過剰なストレスは肥満や喫煙と同じくらい健康に大きな害を与える。仕事のストレスの原因の多くは無礼な人や行動が原因のため,無礼の健康に与えれる影響は大きい。
2.会社に損害をもたらす
職場のストレスによってかかるコストはアメリカ全体で年間5000億ドルとも言われている.医療費の増大や無礼な人への対応かかる無駄な時間,離職者の増加など多くの損失となる。また無礼な行為を見た顧客は対象が自分でなくてもその企業への印象を大きく悪化させる。
3. 周囲の思考能力を下げる
無礼な態度に接すると,認知のための資源が奪われ,能力や創造性が低下してしまう。
4.周囲の認知能力を下げる
無礼な態度に接するだけでなく,無礼な態度を連想するだけで認知能力は大きく低下し,意思の力で乗り越えることは不可能。本人も気付かぬうちに無礼な人に集中力を取られ,頭の働きに影響を与えてしまう。
5.周りの人を攻撃的にする
無礼な態度をとる人によって生じた悪感情は周囲に広がり,周りの人の態度も悪くしてしまう。
無礼なことをされても人間には立ち直る弾力性があると信じている人は多いが,努力で理不尽を乗り越えるのは難しく,どうしても集中力,注意力を削がれてしまう。
礼節のもたらすメリット知ることも礼節を増加させる
無礼の行動はコストになるが,礼節は多くのメリットをもたらす。無礼でない=礼節があるではなく,礼節ある人と見られるにはそれ以上のことが必要。相手を丁重に扱い,尊重することが礼節につながる。
仕事では多少威圧的な方が効果があると思っていたり,優しさに漬け込まれるのでは?と思う人もいいが多くの調査で礼節のあるほうが結果を出しやすい(ただし企業が礼節を適切に評価していないことは多い)
礼節が個人にもたらすメリットは仕事が得やすいこと。人は能力が高い人より,礼節がある人に仕事を頼みたいため仕事の機会が増え成長しやすい。同様の理由で人脈が広げやすい,出世しやすいなどもメリットとなる。一方で無礼な態度は成果を上げる足枷になる。
礼節は企業や組織にも礼節あるリーダーは成果を上げやすいというメリットがある。
リーダーに礼節があると,創造性が高まる,ミスをしても早く見つかる,部下が安心感を感じるなどがことがわかっている。これらの要素は企業の業績に関連しており,多くの大企業が従業員の敬意と礼節を求め,評価している。
無礼も礼節も周囲に伝播する
無礼な態度はやりとりした当事者同士で完結すると思っている人は多いが,実際には周囲の人に伝染し悪影響を広げる。
直前に受けた経験は,人の判断に大きな影響を与えることがわかっている。無礼なことをされるだけでなく,無礼な言葉に触れるだけで,その後に自分も無礼な行動を取りやすかったり,攻撃的になってしまうことが知られている。
無礼な態度のよって生じた悪い記憶は残りやすく,少しのきっかけ(同じ場所に行く,態度の悪い人を見るなど)だけでその時の感情が蘇ってしまう。良くない環境にいれば,自分自身も周りの人にも悪い影響を与える。
一方で,礼節にも伝播力はあり,礼儀正しい態度に触れると,その後優しさや喜びを周囲に広げることができる。
自分は無礼ではないと過大評価しやすいため、周囲からの客観的な評価が必要
私たちは自分を過大評価してしまいがちで,偏った見方をしているため,自身の振る舞いに礼節があるか無礼でないかを知るにはすべきことがある。
客観的な意見を得る仕組みや環境、言語化、体調を整えるなどが重要。
1.他人からフィードバックをもらう
自分の言動について他者に評価をもらい,改善点を確認し,目標を立てる,立てた目標を相手に伝えることで再度フィードバックをもらうことで良い態度を取ることができる。
2.できるコーチの指導を受ける
3.チームで改善に取り組む
チームメイトのよくない点をカードに書いて伝えるなどフィードバックを仕組み化も有効。
4.360°フィードバックの利用
5.人の感情を読み取る訓練
他人の感情がわかるようになれば,必然的に態度も良くなっていく。
6.毎日日記をつけてみる
自分の言動がどこで良くなりやすいか,悪くなりやすいか知ることで対策を立てやすくなる。
7.食う・眠る・動くで自分を大切にする
運動不足,睡眠不足,栄養不足も礼節ある行動をとる足枷になる。
笑顔、相手を尊重する、話を聞くの基本が大事
礼儀正しくなる,礼儀を重んじる文化を組織に根付かせるには、まずは基本に目を向ける必要がある。誰もが子供の頃に教わったこと(周囲の人に気を配る,相手の立場で考える,笑顔でいる)だが大人になると忘れてしまう。
人間が好感を持つかどうかは,温かさと有能さの2つで決まることがわかっているが,温かさと有能さは相反するものと考えやすい。有能な人は冷たく,温かい人は無能と思いがちなため,もし有能であっても些細なことで無礼と感じさせると冷たく,無礼な人というイメージが長く残ってしまう。一方で,温かいが無能な人と判断されても,評価を有能に変えることはそれほど難しくない。
温かいという印象を与えるには3つの基本動作が重要となる。
・笑顔でいる
・相手の存在を認め,尊重するために相手のことを知ろうとする
・人の話に耳を傾ける 話すと聞くは1対2がベスト
多様性が力を発揮するためには偏見をなくし、礼節を持つことが必要
組織における多様性の重要性は増しているが,多様な人々が力を発揮するには,自分が尊重されていると感じる必要がある。尊重されていると感じるにも礼儀正しさが必要となるが,それを邪魔するのが,誰もが持っている無意識の偏見。
脳は大量の情報が入るため、認知できる量は限られる。そのため脳は多くの情報を無意識でステレオタイプに嵌め込むことで処理している。そのステレオタイプな判断が偏見につながる。
女性や老人など無意識の偏見によって正当に評価されない例は多い,人間に無意識の偏見があることは理解しても,自分は違うと思ってしまう人が多いこともその要因の一つ。無意識の偏見を抑えるために,偏見があることを認め,偏見をそれぞれで指摘し合うことが有効と言える。
さらに高いレベルの礼節を持つと、周囲に良い影響を与える
礼儀正しい態度を取れるようになったら,一段上のレベルに進むことでさらに周囲に良い影響を与えることができる。
1.与える人になる
自分の持つ道具、知識、人間関係などのリソースは惜しむことなく他人と共有すべき。与える人でいることはただ善い人なだけでなく、長期的には独占するよりも生産性を向上させることができる。
2.成果を共有する
リーダーが謙虚で、成果を独占しないチームはチームへ貢献しようという傾向が強くなり、結果的により大きな成果を挙げやすい。
3.ほめ上手な人になる
ヒトは感謝されるとやる気が出て、よい行動をするように強く促される。よく感謝する人はそうでない人に比べ、収入が多く健康的であるとするデータもある。
4.フィールドバック上手になる
悪いことを適切にフィードバックすると能力を延ばし、良いところをフィードバックすると業績がよくなる。フィードバックの無いよう以上に伝え方が大きな意味を持つことを頭に入れておくべき。
5.意義を共有する
意義や使命を明文化、共有しておくと仕事に熱心に取り組み、幸福になりやすくなる。
メールは特に無礼になっていないか注意が必要
メールは情報の伝達が文章だけになり、口頭でのコミュニケーションに比べさらに伝えたいことが誤解されたり、うまく伝わらない可能性は高いため、より慎重に考え、細かい配慮をする必要がある。
特に、対面で伝えるべきでないかは常に考え、必要場合は必ず対面でのコミュニケーションを行うことが大事。
チームに礼節を広めるにはコツがある
礼節のあるチームを作るためにもコツ、方法がある。
1.無礼な人を入れない
面接などで過去の出来事にどのような対処したかを聞き、その言動が企業の価値観とあっているか、言動や態度に礼節があるかをチェックすると良い。本人だけでなく関係者の話を聞くことも効果的。また面接する側も礼節を持って対応しなければ、志望者に無礼と感じさせ、断られてしまう。
2.コーチング
礼節を重視していることを経営理念やビジョンに取り組むことも礼節を持つ組織を作り出すためには有効。
またリーダーが率先して、礼節を守り、繰り返し伝えていくことも重要。誰も自分の力だけで変わることは出来ないため、コーチングによる周囲の人たちの協力は欠かすことができない。
3.評価システム
評価の中に礼節の高さを評価する項目があることも重要。理念では礼節を重要視していても評価をする会社は意外と少ない。目立った貢献をするが礼節にかけた人を評価してしまえば、礼節の無い組織になってしまう。
なにをしたかだけでなく、どのようにしたかを評価することや、陰で貢献した人を評価することを制度化することで礼節ある行動を広げていくことができる。
無礼な相手には、改善しなければ損であると伝えることが改善のコツ
無礼な人の悪影響を考えれば、改善することにも大きな意味をもつ。改善には特別なフィードバックループが重要になる。
1.証拠を提示する
2.証拠の妥当性を確認する
3.悪い行動を続けた場合にどうなるかを伝える
4.改善を実行する
人間はこうすると損ということには得以上に強く反応する傾向があるため、行動を改めないと損をすると伝えるのが有効。改善度合いを評価する機会を作り、周囲の力を借りることで改善をすることが可能になる。
それでも態度を改めないようであれば、解雇も検討すべき。その場合も解雇する側は礼節をもっては話し合うことが重要。
自分の気持ちの持ち方で無礼な人の影響を減らすことができる
無礼な人と関係を持ってしまった時は距離を取ったりすることで対処すべき。自分が成功していると感じていると多少無礼な態度をとられても問題なく対処できる可能性は高くなる。
未来に目を向け、自分の成長に力を入れれば自信がつき少しのことでは動揺しなくなる。そのためには次のようなことを意識すると良い。
1.目標を定め進歩を実感する
2.成長させてくれるものを見つける
3.メンターの力を借りる
4.食事、睡眠、運動、マインドフルネスを活用する。
5.仕事に意味を見いだす
6.社内外で人良い間関係を築く
7.社外の活動で成功を目指す
これらは自分の力で動かすことができ、無礼な扱いで健康を害すことは少なくなる。
礼節を持つことは何時からでもでき、確実に人生に良い影響となる
礼節を身に着けるのに遅すぎるとことはなく、今からでも行うべき。周囲の感謝を伝えるなどして礼節をもつことは、確実に人生に良い影響をもたらす。
自分がどういう人間になりたいか考え、良くなろうと決意すればいつでも変わることができる。
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