この記事で分かること
トヨタのEV車種
専用モデルの「bZ4X」や、その航続距離を最適化した「bZ4Xツーリング」があります。また、軽商用車の「ピクシス バン」やレクサス「RZ」「UX300e」を展開中。2026年以降は次世代モデルの投入でラインナップが急拡大する予定です。
CATLと提携する理由
世界最大の生産規模とコスト競争力を活用し、電動車普及を加速させるためです。インドネシアの豊富なニッケル資源を背景に、現地のサプライチェーンを早期確立し、関税回避や安定調達を実現する戦略的な狙いもあります。
CATLのエコシステム
電池の原料採掘から製造、利用、リサイクルまでを網羅する循環型モデルです。圧倒的なコスト競争力、電池交換サービス、99%超の再資源化技術を軸に、電池のライフサイクル全体で価値を最大化し、安定供給を実現する体制を指します。
トヨタとCATLの提携発表
トヨタのインドネシア法人(TMMIN)が、中国の電池最大手CATL(寧徳時代)と電池生産で提携したことを発表しています。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGM211VG0R20C26A4000000/
この提携は、インドネシアを東南アジアにおける電動化車両(xEV)のハブとするトヨタの戦略において、極めて重要なステップとなっています。
トヨタのEVにはどんな車種があるのか
2026年4月現在、トヨタの電気自動車(BEV:ガソリンを使わず電気のみで走る車)の主なラインナップは以下の通りです。
トヨタは「マルチパスウェイ(全方位)」戦略をとっているため、純粋な電気自動車(BEV)だけでなく、プラグインハイブリッド(PHEV)も「電動車」の有力な選択肢として広く展開しています。
1. 純電気自動車(BEV)
ガソリンエンジンを搭載しない、100%電気で走るモデルです。
- bZ4X(ビーズィーフォーエックス): トヨタのBEV専用ブランド「bZシリーズ」の第1弾となるミディアムSUVです。スバルと共同開発され、高い走行性能と長い航続距離(FWD車で最大約746km)が特徴です。
- bZ4X Touring: 2025年後半から2026年にかけて展開されている、より実用性や航続距離を最適化したバリエーションモデルです。
- ピクシス バン(EVモデル): 軽商用EVとして、配送などのビジネス用途向けにラインナップされています。
- レクサス UX300e / RZ: トヨタグループの高級ブランド「レクサス」からも、SUVタイプのEVが発売されています。
2. プラグインハイブリッド車(PHEV)
日常の移動は電気(EVモード)で、長距離はガソリン(HVモード)で走れる「EVに近いハイブリッド車」です。
- プリウス PHEV
- クラウン(スポーツ / エステート)PHEV
- ハリアー PHEV
- RAV4 PHEV
- アルファード / ヴェルファイア PHEV
- センチュリー(新モデル)PHEV
今後の展望
トヨタは2026年中に次世代BEVの投入を計画しており、さらなるラインナップの拡大が予定されています。特に、アジア市場向けに開発されている「アーバン・クルーザー(仮称)」などの小型SUVや、より効率的なバッテリーを搭載した新型モデルの動向が注目されています。
インドネシアでのCATLとの提携も、こうした多様な電動車ラインナップに対して、安価で高性能な電池を安定的に供給するための重要な布石となっています。

トヨタのEV(BEV)には、専用モデルの「bZ4X」や、その航続距離を最適化した「bZ4Xツーリング」があります。また、軽商用車の「ピクシス バン」や、レクサスブランドの「RZ」「UX300e」も展開中です。2026年以降は、航続距離1,000kmを目指す次世代EVや小型SUVの投入も予定されています。
トヨタのEV比率はどれくらいか
2025年の販売実績(2026年1月発表)に基づくと、トヨタ(レクサス含む)の販売総数に占める電気自動車(BEV)の比率は、グローバル約1.9%です。
トヨタは「マルチパスウェイ(全方位)」戦略をとっているため、電動車全体で見ると比率は非常に高いですが、その内訳はハイブリッド車が中心となっています。
2025年 販売実績の内訳
- 販売総数(トヨタ・レクサス): 約1,050万台(過去最高)
- 電気自動車(BEV)比率: 約1.9% (約19.9万台)
- 前年比で約42%増加していますが、全体に占める割合はまだわずかです。
- 電動車全体の比率: 約48% (約499万台)
- ハイブリッド車(HEV)が約443万台と、電動車販売の大部分を占めています。
地域別の特徴
- 欧州: 電動車比率が非常に高く、販売の約77%が電動車です。BEVの伸びも他地域より顕著です。
- 北米: ハイブリッド車を中心に好調で、電動車比率は約50%に達しています。
- 日本: 国内販売のBEVはわずか数千台にとどまっており、依然としてハイブリッド車が主流です。
今後の目標
トヨタは2026年に年間150万台のBEV販売を目標として掲げています。これが実現すれば、EV比率は現在の約2%から15%程度まで一気に跳ね上がることになります。インドネシアでのCATLとの提携などは、この急拡大を支えるための重要な施策です。

トヨタの2025年実績では、販売総数に占めるEV(BEV)の比率はグローバルで約1.9%です。電動車全体では約48%と高い割合を占めますが、その大半はハイブリッド車が担っています。2026年以降は次世代モデルの投入により、この比率を大幅に引き上げる計画です。
なぜCATLと提携するのか
トヨタがインドネシアでの電池生産において、自社グループ内だけでなくCATL(寧徳時代)と提携するのには、以下のような地政学的な戦略と実利的なコストの両面からの理由があります。
1. 「地産地消」によるコスト削減と輸入依存の脱却
これまでトヨタのインドネシア工場では、ハイブリッド車(HEV)用の電池セルやモジュールを日本や中国から輸入していました。
- 物流コストの削減: 現地生産に切り替えることで、輸送費を大幅にカットできます。
- 輸入関税の回避: インドネシア政府は電動車(xEV)の普及に向けて現地調達率(LCV)の向上を求めており、提携によってこの基準をクリアし、税制優遇を受ける狙いがあります。
2. インドネシアの資源(ニッケル)の活用と垂直統合
インドネシアは電池の主要原料であるニッケルの埋蔵量が世界最大級です。
- CATLの強み: CATLは電池の製造だけでなく、リサイクルや原材料の調達まで含めた巨大な「エコシステム」をすでにインドネシア国内で構築し始めています。
- スピード感: トヨタがゼロから自社工場を建てるよりも、すでに現地でサプライチェーンを固めているCATLの施設内に専用ラインを置く方が、圧倒的に早く、かつ低リスクで安定供給を確保できます。
3. グローバル戦略における「リスク分散」
トヨタは特定の電池メーカーに依存しない「マルチ・ソーシング」戦略をとっています。
- 適材適所のパートナーシップ:
- 日本国内や次世代の全固体電池などは、パナソニック(プライム プラネット エナジー&ソリューションズ)と。
- 中国市場やアジア・グローバル市場でのボリュームゾーン向けには、圧倒的な生産規模とコスト競争力を持つCATL(およびBYD)と。
- このように使い分けることで、地政学的なリスク(中米対立など)を回避しつつ、世界各地で最適な価格の電池を調達できる体制を作っています。
トヨタにとってCATLは、単なる「サプライヤー」ではなく、「世界最大の生産規模」と「東南アジアでの強力な原材料ネットワーク」を借りるための戦略的パートナーです。
これにより、トヨタはインドネシアを単なる車両の組立工場から、ASEAN全域やグローバル市場へ電池・電動車を供給する「輸出ハブ」へと進化させようとしています。

トヨタがCATLと提携するのは、世界最大の生産規模とコスト競争力を活用し、電動車の普及を加速させるためです。また、インドネシアの豊富なニッケル資源を背景に、現地のサプライチェーンを早期に確立し、関税回避や安定調達を実現する狙いもあります。
CATLのエコシステムとはどんなものか
CATLの「エコシステム」とは、単に電池を製造して売るだけでなく、「資源採掘」から「製品製造」「利用(交換・蓄電)」「リサイクル」まで、電池のライフサイクルすべてを自社グループや提携先で完結させる循環型のビジネスモデルを指します。
具体的には、以下の4つの柱で構成されています。
1. 垂直統合型のサプライチェーン(上流)
電池の主要原料であるニッケル、リチウム、コバルトなどの資源確保を自社でコントロールしています。
- 直接投資: インドネシアでの約60億ドル規模の統合プロジェクトなど、世界各地で鉱山開発や精錬事業に出資しています。
- 安定調達: 原料の確保から自社で行うことで、価格変動の影響を受けにくく、競合他社よりも圧倒的なコスト競争力を維持しています。
2. 極限製造(製造)
世界で数少ない「灯台工場(Lighthouse Factory)」として認定された高度な自動化・デジタル化工場を運営しています。
- 圧倒的な生産性: AIやビッグデータを活用し、欠陥率を極限まで下げつつ、テラワット時(TWh)時代を見据えた超大量生産を実現しています。
3. 多様な利用プラットフォーム(下流・サービス)
電池を「製品」として売るだけでなく、「サービス」として提供する仕組みです。
- EVOGO(交換サービス): チョコバーのような形状の標準化された電池「Choco-SEB」を、わずか1分程度で交換できるステーションをグローバルで展開しています。
- 蓄電システム(ESS): 車載用だけでなく、再生可能エネルギー向けの大型蓄電システムでも世界トップシェアを誇ります。
4. 閉ループ・リサイクル(循環)
「使い終わった電池は新たな資源」と捉え、再資源化を徹底しています。
- リサイクル率: 子会社の「邦普循環(Brunp)」などを通じ、ニッケル、コバルト、マンガンで99%以上、リチウムで90%以上の回収率を達成しています。
- 持続可能性: 2025年までに中核事業でカーボンニュートラルを実現しており、環境規制が厳しい欧州市場などでも強い競争力を持っています。
トヨタとの関係における意味
インドネシアでの提携においても、このエコシステムが機能します。
- CATLが現地でニッケルを採掘・精錬する。
- その原料を使って、トヨタ専用ラインで電池を製造する。
- 将来的に使い古された電池をCATLが回収・リサイクルし、再び原料にする。
このように、CATLのエコシステムに乗ることで、トヨタは「安くてクリーンな電池」を安定して手に入れることができるのです。

CATLのエコシステムとは、電池の原料採掘から製造、利用、リサイクルまでを網羅する循環型モデルです。圧倒的なコスト競争力、電池交換サービス、99%超の再資源化技術を軸に、ライフサイクル全体で価値を最大化する体制を指します。

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