太陽誘電株式会社の新たなパワーインダクターを商品化 インダクターとは何か?どのように部品に利用されているのか?

この記事で分かること

・インダクターとは:電流が流れることで磁場を生じさせ、電流の変化を抑える働きをする電子部品

・どのように部品に利用されるか:電源回路、ノイズフィルター、無線通信、モーター制御、オーディオ機器、自動車など、幅広い分野で使われています。特に、高周波回路や電力変換システムでは欠かせない部品です。

太陽誘電株式会社の新たなパワーインダクターを商品化

 太陽誘電株式会社が新たなパワーインダクターLCQPBシリーズを商品化したことを発表しています。

 https://www.yuden.co.jp/jp/news/category/lcqpb.html

 今回新たにLCQPBシリーズを追加することで、材料や構造などのバリエーションを増やし、お客様の設計自由度向上に貢献できるしています。

インダクターとは何か

 インダクター(Inductor)は、電流が流れることで磁場を生じさせ、電流の変化を抑える働きをする電子部品です。一般的にはコイルとも呼ばれます。


インダクターの基本原理

 インダクターに電流を流すと、その周囲に磁場が発生します。

 電流が変化すると、この磁場も変化し、それによって自己誘導(Self-Induction)と呼ばれる現象が起こります。この現象により、電流の変化を妨げる方向に電圧が生じます(レンツの法則)。


インダクターの主な役割

  1. ノイズ除去(フィルタリング)
    • 高周波ノイズを除去するため、電源ラインや信号ラインに使用されます。
  2. エネルギー蓄積と放出
    • スイッチング電源などで、電流を蓄えて放出することで電圧を安定化させます。
  3. 共振回路(チューニング)
    • コンデンサと組み合わせることで、特定の周波数に共振する回路を作れます。

インダクターの種類

1. 巻線型インダクター
  • フェライトコア型(高インダクタンス、低周波向け)
  • 空芯コイル(高周波向け)
2. 積層型インダクター
  • チップ型(表面実装向け、スマートフォンなどに使用)
3. パワーインダクター
  • DC-DCコンバータや電源回路で使用される、大電流対応のインダクター

インダクター(Inductor)は、電流が流れることで磁場を生じさせ、電流の変化を抑える働きをする電子部品で、電子回路に欠かせない部品であり、用途に応じてさまざまな種類が存在します。

自己誘導とは何か

 自己誘導(Self-Induction)とは、コイル(インダクター)に流れる電流が変化したときに、その変化を打ち消すような起電力(電圧)が発生する現象のことです。これは、ファラデーの電磁誘導の法則とレンツの法則に基づいています。

自己誘導の仕組み

  1. 電流が増加する場合
    • コイルに流れる電流が増えると、周囲に磁場が強くなります。
    • 磁場の変化によって、元の電流の増加を妨げる向きに逆起電力(逆方向の電圧)が発生します。
  2. 電流が減少する場合
    • コイルに流れる電流が減ると、磁場が弱くなります。
    • このとき、磁場の変化を打ち消すように、元の電流を維持しようとする方向に起電力が生じます。

 このように、自己誘導によって電流の急激な変化が抑えられます。



自己誘導の応用例

1. スイッチング電源

 スイッチが開閉すると電流が急変しますが、自己誘導によって電圧スパイクが発生するため、保護回路やフリーホイールダイオードが使われます。

2. インダクター(コイル)を使ったノイズ除去

 電源ラインのノイズ(高周波成分)は自己誘導の効果で減衰され、安定した電圧供給が可能になります。

3. モータやリレー

 コイルを使ったモータやリレーでは、自己誘導によりスイッチオフ時に高電圧が発生するため、サージ電圧対策が必要です。

自己誘導とは、インダクターに流れる電流が変化したときに、その変化を打ち消すような起電力(電圧)が発生する現象です。自己誘導をうまく利用することで、電源回路の安定化やノイズ低減が可能になります。

インダクターはどんな部品に使われているか

 インダクターは、電流の変化を抑えたり、ノイズを除去したりする役割を持つため、さまざまな電子機器に使用されています。以下、代表的な用途を紹介します。


1. 電源回路(DC-DCコンバータ、スイッチング電源)

  • 用途: 安定した電圧を供給するために使われる
  • 使用例:
    • スマートフォンやPCの電源回路
    • 車載用電源(EVやハイブリッド車のDC-DCコンバータ)
    • 産業用機器の電源モジュール

 インダクターは、エネルギーを蓄えて放出することで電圧を安定化し、効率の良い電源変換を実現します。


2. ノイズフィルター(EMI対策)

  • 用途: 電源ラインや信号ラインのノイズ除去
  • 使用例:
    • ACアダプターやUSB充電器
    • オーディオ機器(ノイズ低減)
    • 産業用機器の信号ライン

 コモンモードチョークコイル(ノイズフィルター用インダクター)を使用すると、不要な高周波ノイズを除去できます。


3. 無線通信機器(高周波回路)

  • 用途: 共振回路やインピーダンス整合
  • 使用例:
    • スマートフォンやWi-Fiルーター
    • Bluetoothデバイス
    • RFIDやNFCモジュール

 高周波回路では、インダクターとコンデンサを組み合わせて特定の周波数に共振させることで、アンテナの性能を向上させます。


4. モーターやリレー

  • 用途: スイッチング時の電圧スパイク吸収
  • 使用例:
    • 車載用モーター(EV・ハイブリッド車)
    • 家電製品のモーター(エアコン・冷蔵庫)
    • 産業用ロボット

 リレーやモーターにはコイルが使われており、自己誘導により高電圧スパイクが発生するため、保護用のインダクターやダイオードが使われます。


5. オーディオ機器(スピーカー・クロスオーバーネットワーク)

  • 用途: 特定の周波数帯域の音声信号を分離
  • 使用例:
    • 高級オーディオシステム
    • カーオーディオ
    • スピーカーシステム

 インダクターを使ったクロスオーバーネットワークは、低音・高音を適切に振り分け、音質を向上させます。


6. 自動車(車載用インダクター)

  • 用途: ECU(電子制御ユニット)や電源ラインのノイズ除去
  • 使用例:
    • ADAS(先進運転支援システム)
    • EV・ハイブリッド車のインバーター回路
    • カーインフォテインメントシステム

車載用インダクターは、高温・高振動環境に耐えられるよう設計されています。

インダクターは、電源回路、ノイズフィルター、無線通信、モーター制御、オーディオ機器、自動車など、幅広い分野で使われています。特に、高周波回路や電力変換システムでは欠かせない部品です。

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