レーザーテック、業績予想を上方修正 どんな事業を行っているのか?マスク検査装置とは何か?

この記事で分かること

  • レーザーテックの事業内容:光応用技術を核とする半導体関連の検査・計測装置メーカーです。特に最先端のEUV露光に用いるマスク検査装置では世界シェア100%(独占)を誇り、AIチップ等の微細化を支える世界屈指の技術企業です。
  • マスク検査装置とは:フォトマスク(半導体回路の原版)の欠陥や異物を検知する装置です。原版に微細な傷があると量産品全てが不良品になるため、製造に不可欠です。同社は最先端のEUV光を用いる装置で世界シェアを独占しています。
  • なぜ微細な欠陥や異物を検知できるのか:短波長のレーザー光を照射し、表面の反射や散乱光を捉えることで微小な異常を可視化します。得られた画像を「隣り合う回路」や「設計図データ」と瞬時に比較・照合し、わずかな差異を欠陥として特定することで検知しています。

レーザーテック、業績予想を上方修正

 レーザーテックは、2026年1月30日の決算発表において、2026年6月期の通期連結業績予想を上方修正しました。

 https://jp.reuters.com/markets/world-indices/V6QPB3ZAZFLARJKUNXWJHD727U-2026-01-30/

 上方修正の要因として、円安進行ととともに、一部製品の顧客による検収(売上計上のタイミング)が、当初の想定よりも前倒しで進んだことが挙げられています。

レーザーテックの事業内容は何か

 レーザーテックは、「光応用技術」を核とした、半導体製造プロセスに欠かせない検査・計測装置を開発・販売している独立系メーカーです。

 目に見えないほど微細な半導体の回路に、傷や汚れがないかをチェックする究極の顕微鏡(検査装置を作っている会社です。


1. 半導体関連事業(主力事業)

 半導体を作るための「原版」であるフォトマスクや、その材料であるマスクブランクスの欠陥を検査する装置を世界中の半導体メーカーに提供しています。

  • 世界シェア100%の製品: 最先端の半導体(AI用チップや最新スマホ用)の製造に不可欠な「EUV(極端紫外線)露光」という技術があります。レーザーテックはこのEUVに対応したマスク検査装置で世界シェアほぼ100%(独占状態)を誇っています。
  • ウェハ検査: 回路が焼き付けられるシリコンウェハ自体の傷や膜厚を測る装置も手がけています。

2. FPD(フラットパネルディスプレイ)関連事業

 テレビやスマートフォンのパネル(液晶や有機EL)を製造する際に使われる、大型フォトマスクの検査装置を展開しています。この分野でも業界標準となる高いシェアを持っています。

3. レーザー顕微鏡事業

 光の干渉などを利用して、物体の表面を3次元で測定できる高精度な顕微鏡を販売しています。半導体分野だけでなく、材料開発やバイオなど幅広い産業の研究開発で使用されています。


レーザーテックの強みと特徴

  • 「世界初」へのこだわり: 「毎年一つは世界初の製品を開発しよう」というスピリットがあり、他社が真似できないニッチかつ高付加価値な市場(グローバルニッチトップ)を狙うのが得意です。
  • ファブライト経営: 自社で工場を大きく持たず、設計・開発に特化して製造の多くをパートナー企業に委託するスタイルです。これにより、社員の約7割がエンジニアという極めて高い技術集団となっています。
  • 圧倒的な収益性: 競合がいない独占製品を持っているため、製造業としては異例の高い営業利益率(40%前後)を誇ります。

 最近の業績好調は、ChatGPTなどの生成AIブームにより、最先端のAI半導体を作るためのEUV検査装置の需要が爆発的に増えていることが背景にあります。

レーザーテックは、光応用技術を核とする半導体関連の検査・計測装置メーカーです。特に最先端のEUV露光に用いるマスク検査装置では世界シェア100%(独占)を誇り、AIチップ等の微細化を支える世界屈指の技術企業です。

マスク検査装置とは何か

 マスク検査装置とは、半導体の製造に不可欠な「フォトマスク(回路の原版)」に、欠陥やゴミがないかを調べる装置のことです。


1. 「フォトマスク」は半導体のネガフィルム

 半導体は、シリコンウェハという板に光で回路を焼き付けて作ります。

 このとき、回路の設計図となる原版が「フォトマスク」です。写真でいう「ネガフィルム」、ハンコでいう「印面」のような役割を果たします。

2. なぜ「検査」が重要なのか

  • ミスの連鎖を防ぐ: 原版であるフォトマスクにたった一つでも小さな傷やゴミがあると、それを使って何千枚、何万枚と作られる半導体チップすべてが不良品になってしまいます。
  • 微細化の限界に挑戦: 近年の半導体は数ナノメートルという極限の細さで回路を描くため、目に見えないレベルのわずかな歪みも許されません。

3. レーザーテックの装置の特徴

  • 「究極の視力」を持つ: レーザーテックの装置は、最新の「EUV(極端紫外線)」という特殊な光を使い、従来の装置では見えなかった超微細な欠陥も見つけ出します。
  • 世界シェア100%の理由: この「EUVを使ったマスク検査」という非常に難易度の高い技術を実用化できているのが、世界でレーザーテック社だけであるため、最先端の半導体(iPhoneのCPUやAI用チップなど)を作るには、この装置が絶対に欠かせない存在となっています。

フォトマスク(半導体回路の原版)の欠陥や異物を検知する装置です。原版に微細な傷があると量産品全てが不良品になるため、製造に不可欠です。同社は最先端のEUV光を用いる装置で世界シェアを独占しています。

なぜ欠陥や異物を検知できるのか

 レーザーテックの装置が、ナノ単位の目に見えない欠陥を見つけ出せる理由は、主に「特定の波長の光」「高度な画像解析」の組み合わせにあります。大きく分けて2つの技術的ポイントがあります。


1. 短い波長の光(EUVなど)を使う

 物体を見るためには、その対象物よりも「波長」が短い光を当てる必要があります。

  • 原理: 従来の光では通り抜けてしまうような微細な傷も、非常に波長が短いEUV(極端紫外線)や深紫外線を当てることで、光が欠陥に当たり、「散乱」や「反射の乱れ」として捉えることができます。
  • レーザー技術: 自社開発の高性能レーザーを極限まで絞り込み、スキャンすることで、微細な異物を浮かび上がらせます。

2. 独自の画像比較アルゴリズム

 光を当てて得られた画像データから、以下の2つの方法で「異常」を判別します。

  • ダイ・ツー・ダイ比較: 隣り合う同じ回路パターン同士を撮影し、重ね合わせて比較します。片方にだけある影や歪みを「欠陥」として検出します。
  • ダイ・ツー・データベース比較: 撮影した画像と、もともとの「設計図データ」を照らし合わせます。設計図と1ミリの狂い(ナノ単位の狂い)があれば、即座にアラートを出します。

 暗い部屋で、滑らかな鏡の表面に非常に強力な懐中電灯(レーザー)を斜めから当てると、目に見えないほど小さなホコリでも光を反射してキラリと光ります。レーザーテックの装置は、その「キラリ」を究極の精度で捉え、設計図と一瞬で照合するシステムだと言えます。


短波長のレーザー光を照射し、表面の反射や散乱光を捉えることで微小な異常を可視化します。得られた画像を「隣り合う回路」や「設計図データ」と瞬時に比較・照合し、わずかな差異を欠陥として特定する仕組みです。

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