ミツバのインドでの電動二輪車向け駆動システムの生産強化 どんな部品を生産しているのか?スターターモーターとは何か?

この記事で分かること

  • ミツバの生産製品:自動車・バイク向けの電装部品を幅広く製造しています。特に、ワイパーシステムやスターターモーター、パワーウィンドモーター、ルーフモーターなど、「モーター・制御・機構」を組み合わせた機電一体製品に強みがあり、電動二輪車向け駆動システムも強化しています。
  • スターターモーターとは:エンジンは、燃料を燃焼させることで動力を生み出しますが、停止している状態では自力でそのサイクルを始めることができません。スターターモーターは、エンジンを始動させるための電動モーターです。

ミツバのインドでの電動二輪車向け駆動システムの生産強化

 ミツバはインドでの電動二輪車向け駆動システムの生産を強化することがニュースになっています。ミツバは、主に自動車部品メーカーとして、多岐にわたる製品を製造・販売しています。特に、モーター技術制御技術に強みを持っているメーカーです。

 https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00754028

 ミツバは、二輪車の需要が高いインド市場を重要な拠点と位置づけ、電動化事業を加速させています。

ミツバばどんな製品を製造しているのか

 株式会社ミツバは、主に自動車部品メーカーとして、多岐にわたる製品を製造・販売しています。特に、モーター技術制御技術を強みとし、「機電一体」製品に力を入れています。

 主な製品カテゴリーは以下の通りです。

1. 四輪電装製品 (Automotive Products)

 自動車向けの電気部品が中心で、ミツバの主力事業です。

  • 視界系:
    • フロントワイパーシステム: 自動車のフロントガラスの視界を確保する装置。世界四大メーカーの一つです。
    • リアワイパーシステム: リアガラスの視界を確保する装置。
    • ウィンドシールドウォッシャーシステム: ウォッシャー液を噴射するシステム。
  • 利便快適系:
    • パワーウィンドモーター: 窓の開閉を行うモーター。
    • パワーシートモーター: シートの位置調整を行うモーター。
    • ルーフモーター: サンルーフなどの開閉を行うモーター。高級車などで幅広く使用され、四輪電装部門で世界シェアトップクラスです。
    • パワースライドドアドライブシステム: スライドドアの開閉を行うシステム。
    • パワーテールゲートドライブシステム: 電動リアゲートの開閉を行うシステム。
    • フューエルリッドオープナー: 燃料給油口の開閉装置。
    • ホーン: 警音器。ミツバはホーンの生産販売を1951年に開始しています。
  • エンジン補機・走行制御系:
    • スターターモーター: エンジン始動用モーター。
    • ファンモーター: 冷却ファン用のモーター。
    • 電動サーボブレーキ用モーター: 電動ブレーキシステム用のモーター。

2. 二輪電装製品 (Motorcycle Products)

 バイク向けの電気部品も製造しており、特にスターターモーターは世界トップシェアを誇ります。

  • スターターモーター: バイクのエンジン始動用モーター。
  • その他電装部品: ETC車載器、バイクセキュリティ、ホーン、バイク専用ドライブレコーダーなど。

3. 駆動モーター製品 (Driving Motor Products)

 電動化の進展に伴い、電動モビリティ向けの駆動モーター製品にも注力しています。

  • インダクションモーター
  • 扁平ブラシレスモーター
  • 電動二輪車向け駆動システム: 特にインド市場での生産を強化しています。

4. 小型モビリティ製品 (Micro Mobility Products)

 電動化モビリティニーズに対応した新規ビジネス領域として、小型モビリティ関連製品も手がけています。

5. その他の製品・事業

 上記以外にも、以下のような製品や事業を展開しています。

  • ライフサポート製品: アルコールチェッカー、ホーン防犯ブザー、車載用光触媒除菌・脱臭機など。
  • 汎用電装製品
  • 情報サービス事業: グループ会社である両毛システムズが担当。
  • クリエイティブ事業

 ミツバは、「モーター・制御・機構」の技術を核に、多様なモビリティ市場において安全・安心を提供する製品をグローバルに展開しています。

ミツバは、自動車・バイク向けの電装部品を幅広く製造しています。特に、ワイパーシステムやスターターモーター、パワーウィンドモーター、ルーフモーターなど、「モーター・制御・機構」を組み合わせた機電一体製品に強みがあり、電動二輪車向け駆動システムも強化しています。

二輪電装製品にはどんなものがあるのか

 ミツバが製造している二輪電装製品は多岐にわたりますが、特に以下のものが挙げられます。

  • スターターモーター: 二輪車のエンジンを始動させるためのモーターです。ミツバは世界トップシェアを誇っています。ファミリーバイクから大型車まで、幅広い車種に対応するバリエーションがあります。
  • ACジェネレーター: バッテリーへの充電やヘッドライトなどの各種電装品への電力供給を行います。エンジンの回転運動を円滑にするフライホイールの役割も果たし、点火やエンジン制御に必要なクランク角度信号も出力します。
  • ACGスターター: スターターモーターとACジェネレーターの機能を併せ持つ製品です。エンジンに直結したブラシレスモーターのため、静かで始動が早く、アイドリングストップ機能にも最適です。車両の軽量化やエンジンのスリム化に貢献します。
  • ETC車載器: 二輪車専用に設計されたETC2.0/ETC車載器シリーズ。防水・防塵性はもちろん、バイクの過酷な振動にも耐えるように作られています。独立型インジケーターやGPS搭載モデルなどがあります。
  • バイクセキュリティ: バイクの盗難防止システムです。
  • ホーン: バイク用の警音器です。
  • バイク専用ドライブレコーダー: バイクでの走行を記録するためのドライブレコーダーです。

 これらの製品は、二輪車の「走る・曲がる・止まる」といった基本的な機能に加え、安全性や利便性を高める上で重要な役割を担っています。

ミツバの二輪電装製品には、エンジン始動用のスターターモーター(世界トップシェア)や充電・給電用のACジェネレーター、静音性の高いACGスターターがあります。その他、ETC車載器バイクセキュリティホーンドライブレコーダーなど、安全性や利便性を高める製品も幅広く手掛けています。

スターターモーターとは何か

 スターターモーター(またはセルモーター)は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンを始動させるための電動モーターです。

 エンジンは、燃料を燃焼させることで動力を生み出しますが、停止している状態では自力でそのサイクルを始めることができません。そこで、スターターモーターがバッテリーからの電力を使って回転し、その回転力をエンジンのクランクシャフトに伝えることで、エンジンが最初の吸気・圧縮行程を行えるように「きっかけ」を与えます。

 エンジンのクランクシャフトが数回回転し、燃料の混合気が圧縮されて爆発が起きることで、エンジンは自力で回転を始めます。エンジンが動き出せば、スターターモーターの役割は終わり、エンジンから自動的に切り離されます。

 自動車やバイク、建設機械など、内燃機関を搭載した様々な機械に不可欠な部品です。

スターターモーターは、電気エネルギーを使ってエンジンの初動を助けるための装置で、大きく分けて「モーター部分」と「ソレノイド部分」から構成されています。その仕組みは以下のようになっています。

1. 構成部品

  • モーター部分:
    • アーマチュア(電機子): コイルが巻かれた回転子。バッテリーからの電流が流れると磁界を発生させ、磁力によって回転する。
    • フィールドコイル: モーターの周囲に配置されたコイル。アーマチュアと協力して磁界を形成する。
    • ブラシとコミュテータ: バッテリーからの電流をアーマチュアに供給するための接点。
    • 減速ギア(リダクションギア): モーターの回転数を減速し、トルク(回転力)を増大させるためのギア。現在のスターターモーターの主流はこのリダクション式です。
  • ソレノイド部分(マグネットスイッチ):
    • プランジャー: ソレノイドコイルに通電されると電磁力で引き込まれる可動部品。
    • ピニオンギア: プランジャーと連動してエンジンのフライホイール(またはリングギア)に噛み合う小さなギア。
    • メインスイッチ: モーター本体に大電流を流すためのスイッチ。

2. 作動の仕組み

  1. イグニッションスイッチON(またはスタートボタン押下):
    • 運転者が車のキーを回したり、スタートボタンを押したりすると、バッテリーからソレノイド部分に電流が流れます。
  2. ソレノイドの作動:
    • ソレノイド内のコイル(プルインコイルとホールディングコイル)に電流が流れると、強力な電磁力が発生します。
    • この電磁力によってプランジャーが引き込まれます。
  3. ピニオンギアの突出と噛み合い:
    • プランジャーが引き込まれると、それに連動してピニオンギアが前方へ押し出されます。
    • ピニオンギアはエンジンのフライホイール(またはリングギア)の外周に設けられたギアと噛み合います。このとき、ピニオンギアはゆっくり回転しながらスムーズに噛み合うように設計されています。
  4. モーターへの大電流供給と回転:
    • プランジャーが完全に引き込まれると、同時に内部のメインスイッチが閉じます。
    • これにより、バッテリーからモーター本体(アーマチュアとフィールドコイル)に大電流が一気に供給されます。
    • 大電流が流れることでモーターが強力に回転し、減速ギアを介して増大されたトルクがピニオンギアに伝わります。
  5. エンジンの始動:
    • ピニオンギアがフライホイールを回転させることで、エンジンのクランクシャフトが回され、吸気・圧縮行程が行われます。
    • これによりエンジン内部で燃料が燃焼し、自力で回転を始めます。
  6. スターターモーターの切り離し:
    • エンジンが始動し、自力で回転を始めると、ピニオンギアはフライホイールよりも速く回転し始めます。
    • この速度差を検知して、ピニオンギアはフライホイールから自動的に切り離されます(ワンウェイクラッチなどの機構が使われる)。
    • 同時に、イグニッションスイッチがオフに戻ることでソレノイドへの電流が止まり、プランジャーが元の位置に戻り、メインスイッチも開いてモーターへの電流供給が停止します。

 このように、スターターモーターは必要な時だけ瞬時に作動し、エンジンの始動という重要な役割を果たしています。

スターターモーターは、ソレノイドの電磁力でピニオンギアをエンジンのフライホイールに噛み合わせ、同時にモーター本体に大電流を流して強力に回転させます。これにより、エンジンのクランクシャフトを回し、エンジンが自力で始動する「きっかけ」を与えます。

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