この記事で分かること
1. オキサイドの製品について
独自の結晶育成技術を核に、半導体ウェハ検査用の深紫外(DUV)レーザー光源、がん診断(PET)装置用のシンチレータ単結晶、生成AI向け光通信部品などを展開する光学製品のスペシャリストです。
2. DUVレーザーが使われる検査
主に半導体製造のウェハ検査やフォトマスク検査に用いられます。ナノ単位の微細な回路上の異物、断線、形状不良を高速かつ高精度に検出でき、工場の歩留まり(良品率)向上に直結する重要な光源です。
3. 最高益の理由
生成AI市場の急拡大に伴い、データセンター向け光通信部品の需要が爆発的に伸びていることが最大の要因です。不採算事業の整理による収益性の向上に加え、次世代半導体(2nm等)の検査装置向け光源の回復も寄与します。
オキサイド、4期ぶりの最高益達成見込み
オキサイドが、2027年2月期に4期ぶりの最高益を達成できる可能性が高いと報じられています。
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/4995df7fd4615bdc67b77465bd2457561649e80b
同社が取り組んできた事業構造の改革と、主力である半導体分野の回復が結実するタイミングとして市場で注目されています。
オキサイドはどんな製品を扱っているのか
オキサイドは、「光を操る」技術(波長変換や単結晶育成)をコアとした光学製品のスペシャリストです。主に3つの事業セグメントで、ニッチながら世界的に高いシェアを持つ製品を展開しています。
1. 半導体事業(売上の約5割〜6割)
半導体の微細化・高集積化に欠かせない、検査装置用のキーデバイスを提供しています。
- 深紫外(DUV)レーザー光源:半導体ウェハの欠陥を検査するための光源。266nmなどの短い波長を安定して出力する技術に強みがあります。
- 波長変換素子(非線形光学結晶):レーザーの波長(色)を変えるための特殊な結晶。
- SiC(シリコンカーバイド)単結晶:次世代パワー半導体用として開発を進めており、窒化ガリウム(GaN)向けの研究も行っています。
2. ヘルスケア事業
がんの早期発見に欠かせないPET(陽電子放射断層撮影)装置の基幹部品を扱っています。
- シンチレータ単結晶:放射線を光に変換する結晶です。PET装置の検出器に使用され、同社は世界シェア約20%を誇ります。
3. 新領域事業(量子・研究開発)
最先端の科学技術や次世代インフラ向けの製品群です。
- 量子もつれ光子対光源:量子コンピュータや量子通信に不可欠な光源。2026年に入り、量子コンピュータ向け紫外レーザーの販売も開始しています。
- 光デバイス・モジュール:光ファイバー通信用のファラデー回転子や、アイソレータ(光の逆流を防ぐ部品)。
- 光計測装置:プロジェクターやHUD(ヘッドアップディスプレイ)の画質評価に使われる「スペックルノイズ測定器」など、国際標準として認められている製品もあります。
オキサイドの強み
同社の最大の特徴は、「単結晶を育て、それを加工し、レーザー装置として組み上げる」という一気通貫の技術力です。
特に2026〜2027年にかけては、AIサーバー向け光通信部品(ファラデー回転子)の増産や、量子分野への本格参入が製品ラインナップの大きな柱になりつつあります。

オキサイドは、独自の単結晶育成技術を核とした光学製品メーカーです。半導体ウェハ検査用の深紫外レーザー光源、がん診断(PET)装置用のシンチレータ単結晶、生成AI向け光通信部品などを主力としています。
深紫外(DUV)レーザー光源はどんな検査に使われるのか
深紫外(DUV)レーザー光源は、主に以下のような半導体製造の「歩留まり(良品率)」を左右する重要な検査工程で使用されます。
1. パターン付きウェハ検査(欠陥検出し)
最も主要な用途です。回路パターンが形成されたウェハ上に、ナノメートル単位のゴミ(異物)やパターンの欠け・ショートがないかを調べます。
- なぜDUVか: 回路が極めて微細なため、可視光では解像度が足りず欠陥を見逃してしまいます。波長の短いDUVレーザーを使うことで、極小の異常を捉えます。
2. フォトマスク検査
半導体の「設計図」にあたるフォトマスクに、汚れや微細な傷がないかを確認します。
- 重要性: フォトマスクに1つでも欠陥があると、転写されるすべてのチップが不良品になってしまうため、ウェハ検査よりもさらに高い精度が求められます。
3. ベアウェハ(未加工ウェハ)検査
何も回路を書き込んでいない状態のシリコンウェハ自体のキズや結晶欠陥を検査します。
- 用途: ウェハ表面のわずかな凹凸や、目に見えないレベルの汚れを高速でスキャンし、材料としての品質を担保します。
4. リソグラフィ工程のモニタリング(メトロロジー)
露光装置(リソグラフィ)で焼き付けられたパターンの寸法(CD:線幅)や、層と層の重なり具合(オーバーレイ)が設計通りかを計測します。
まとめ:DUVレーザー検査の役割
| 検査対象 | 目的 |
| パターン付きウェハ | 回路の断線、ショート、異物の付着の発見 |
| フォトマスク | 原版となるマスクの欠陥・汚れの排除 |
| ベアウェハ | 材料基板そのものの表面品質のチェック |
| パターン寸法 | 回路の幅が設計通りかどうかの精密計測 |
オキサイドの製品は、これらの検査装置の中に組み込まれる「光源」として、世界中の半導体工場を支えています。

深紫外(DUV)レーザーは、主に半導体製造のウェハ検査やフォトマスク検査に用いられます。ナノ単位の微細な回路上の異物、断線、形状不良を高速かつ高精度に検出でき、工場の歩留まり向上に直結する重要な光源です。
なぜ深紫外(DUV)レーザー光源が検査に使われるのか
深紫外(DUV)レーザーが半導体検査に用いられる最大の理由は、「波長が短いほど、より微細なものが見える」という物理原則にあります。
1. 分解能の向上
光の波長が短いほど、レンズで絞り込んだ際の焦点(スポット径)を小さくできます。半導体の回路線幅が数nm(ナノメートル)レベルまで微細化するなか、可視光(約400〜700nm)では波長が長すぎて小さな欠陥を捉えきれません。
266nmなどのDUV光を使うことで、微細なパターン上の傷や異物を鮮明に映し出すことが可能になります。
2. 高いエネルギーによる感度
DUV光は光子1個あたりのエネルギーが高いため、対象物に当たった際の散乱光や反射光を検出しやすく、高感度な検査が可能です。
3. 光学式検査のスピード
電子ビーム(EB)を用いた検査はさらに高い分解能を持ちますが、スキャンに膨大な時間がかかります。光学式であるDUVレーザー検査は、「高い分解能」と「高速なスループット(処理能力)」を両立できるため、量産ラインの全数検査や工程管理に最適です。
オキサイドはこのDUVレーザーにおいて、波長を変換する「非線形光学結晶」の育成から装置化までを一貫して行える技術力を持っているため、世界的な検査装置メーカーにとって不可欠な存在となっています。

光は波長が短いほど微細なものを識別できるため、ナノ単位で回路が微細化する半導体検査には、波長の短い深紫外(DUV)レーザーが必須です。電子ビーム検査よりも高速でスループットに優れる点も大きな理由です。
なぜこれまで赤字で、黒字にできたのか
オキサイドがこれまで赤字に苦しみ、ようやく2027年2月期に黒字化を見込めるようになった理由は、主に「負の遺産の整理」と「市況の回復」の2点に集約されます。
1. なぜこれほど赤字が続いたのか
最大の要因は、積極的な投資(M&A)の裏目と、半導体市況の停滞です。
- 海外子会社(Raicol社)の不振と損失: 2022年に買収したイスラエルのRaicol Crystals社が、地政学リスクや市場環境の変化で業績が低迷。巨額ののれん減損や特別損失を計上し、利益を圧迫し続けました。
- 半導体メーカーの在庫調整: 主力である検査装置向けのDUVレーザー光源の需要が、世界的な半導体市況の冷え込みにより一時的に落ち込み、稼働率が低下しました。
2. なぜ黒字化できるのか
不採算部門を切り離し、成長分野にリソースを集中させる構造改革に目途が立ったためです。
- 「負の連鎖」の断ち切り: 2025年に赤字の元凶だったRaicol社の株式譲渡を決定。これにより、今後の連結決算から同社の赤字分が消え、経営が健全化(筋肉質化)します。
- 次世代AI・半導体需要の本格化: 生成AIの普及に伴い、データセンター向けの光通信部品(ファラデー回転子)の需要が爆発的に伸びています。
- 最先端検査装置向けの回復: 2nmなどの次世代半導体の開発が進むなか、オキサイドが得意とする高精度な検査用光源の引き合いが再び強まっています。

これまでは買収した海外子会社の不振や半導体市況の悪化による損失が続いていました。しかし、不採算子会社の譲渡で負の遺産を整理し、生成AI向け通信部品や最先端半導体検査装置の需要回復に乗ることで黒字化を実現します。

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