この記事で分かること
- 好調の理由:前年モデルの不振による反動(前年比約128%増)、iPhone 17シリーズの爆発的ヒット、競合の発表遅延による空白期間の独占が主な要因です。
- 今後の見通し:AI需要に伴う世界的なメモリ価格高騰の影響で、2026年には出荷台数が約2〜5%減少する見通しです。Appleの折りたたみ端末投入予測やHuaweiの独自OS深化により、ハイエンド層でのシェア争いは一段と激化するでしょう。
中国スマホ市場でのiPhoneの好調
2025年12月25日に中国情報通信技術研究院(CAICT)から発表された最新のデータによると、2025年11月の中国における海外ブランド携帯電話(主にiPhone)の出荷台数は、前年同月比で約128.4%増という驚異的な伸びを記録しました。
https://jp.reuters.com/markets/japan/JJILDMDDL5JJHJRPLGIUCCIKNI-2025-12-25/
IDCの予測では、Appleの2025年通年の中国出荷台数は、当初のマイナス予想から一転して前年比3%のプラス成長に上方修正されています。一時期の「iPhone離れ」という懸念を払拭し、中国市場における海外ブランドの底堅さを示す結果となりました。
増加した理由は何か
2025年11月に中国で海外ブランド(主にiPhone)の出荷台数が前年同月比128.4%増という驚異的な伸びを見せた理由は、主に以下の3つの要因が重なったためです。
1. iPhone 17シリーズの爆発的なヒット
2025年秋に発売されたiPhone 17シリーズが、中国市場で極めて強力な需要を呼び起こしました。
- 初動の強さ: 発売後1ヶ月の売上が前年(iPhone 16)比で22%増加。特に11月は、Appleが中国スマホ市場でシェア1位(20%超)を獲得するほどの勢いでした。
- 戦略的なスペックアップ: 基本モデル(iPhone 17)のメモリ増量やカメラ性能の向上が、価格を据え置いたまま行われたことで、コスパを重視する層にも響きました。
- プレミアム需要の回帰: 10月〜11月の中国市場では、スマホ4台に1台がiPhoneという、2022年以来の高いシェアを記録しました。
2. 前年(2024年)の記録的な低迷による反動
この「128.4%増」という極端な数字の裏には、前年11月の実績が非常に低かったという背景(低ベース効果)があります。
- 2024年の状況: Huawei(ファーウェイ)の復活により、2024年11月の海外ブランド出荷台数は前年比約47%減と、半分近くまで落ち込んでいました。
- V字回復: どん底だった前年と比較されるため、2025年の好調がより強調された数字として現れています。
3. 国内ブランドの「空白期間」とセールの活用
- 発表スケジュールのズレ: Huawei(Mate 80シリーズ)などの有力な競合モデルの発売が11月下旬以降にずれ込んだことで、11月前半にAppleが市場を独占できる「追い風」が吹きました。
- 「独身の日(11.11)」の成功: 中国最大のECセール「独身の日」において、iPhone 17シリーズが売上ランキングの上位を独占しました。一部モデルでの割引キャンペーンも追い風となりました。
「製品力が向上したAppleが、競合不在のタイミングで、落ち込んでいた前年のハードルを軽々と飛び越えた」ためです。

2025年11月の海外ブランド(主にiPhone)の急増は、①前年モデルの不振による反動(前年比約128%増)、②iPhone 17シリーズの爆発的ヒット、③競合の発表遅延による空白期間の独占が主な要因です。
前年の落ち込みが大きかった理由は何か
前年(2024年11月)の海外ブランド携帯電話の出荷台数が大きく落ち込んだ理由は、主に以下の3点に集約されます。
1. Huawei(ファーウェイ)の劇的な復活
2023年後半に独自チップを搭載した「Mate 60」シリーズでハイエンド市場に復帰したHuaweiが、2024年に入ってさらに勢いを増しました。
- 愛国消費の拡大: 米中対立を背景に、中国の消費者の間で「自国ブランドを支持する」動きが強まりました。
- シェア奪還: かつてAppleが独占していたプレミアム価格帯(ハイエンド層)の顧客を、Huaweiが大量に奪ったことが最大の要因です。
2. iPhone 16シリーズの「AI機能」の不在
2024年秋に発売されたiPhone 16シリーズが、中国市場では苦戦しました。
- 目玉機能の遅れ: 目玉であるAI機能(Apple Intelligence)の中国語対応や当局の承認が遅れ、発売時点で使用できなかったため、買い替え動機が弱まりました。
- 進化の乏しさ: 中国メーカー(XiaomiやVivoなど)が生成AI搭載スマホを次々と投入する中で、Appleの進化が小幅に見え、消費者の関心が薄れました。
3. 政府による規制と補助金対象外
- 公的機関での使用制限: 中国政府が中央政府機関などの職員に対し、iPhoneを含む外国ブランド携帯の使用制限を広げたことが、ブランドイメージと実売の両面に悪影響を与えました。
- 補助金の格差: 中国政府が実施した家電・スマホの買い替え補助金制度において、iPhoneのような高価格帯の海外製品が対象から外れる、あるいは国産ブランドの方が優遇されるケースがあり、価格競争力で不利になりました。
「Huaweiを中心とした国産スマホが強力なAI機能や愛国心を武器に躍進し、機能面で差別化できなかったiPhoneから一気にシェアを奪ったことが前年の落ち込みの要因です。
2025年はこの「絶不調だった時期」を比較対象としているため、今年の増加率が100%を超えるという異例の数字になっています。

主に独自チップで復活したHuaweiがハイエンド市場を席取したこと、iPhone 16の目玉であるAI機能が中国で未対応だったこと、さらに米中対立による愛国消費や政府の使用制限が重なり需要が急減したためです。
今後の展望はどうか
2025年11月の驚異的な伸びを経て、今後の中国スマートフォン市場は「二極化」と「コスト増による減速」がキーワードになると予測されています。主な展望は以下の通りです。
1. AppleとHuaweiの「首位争い」の激化
最新のデータ(2025年12月時点)では、AppleがiPhone 17シリーズで一時的にシェア25%を奪い首位に立ちましたが、Huaweiも新型「Mate 80」シリーズを投入して猛追しています。
今後は、ブランド力とエコシステムに強みを持つAppleと、自国製OS(HarmonyOS)と最新AI機能を武器にするHuaweiによる、ハイエンド市場の覇権争いがさらに激しくなります。
2. 「AI半導体不足」による価格上昇の懸念
2026年に向けて、業界全体でメモリ(DRAM)チップの不足と価格高騰が予測されています。
- 要因: NVIDIAなどのAIサーバー用チップにメモリ生産が優先されるため、スマホ用の部品コストが上昇しています。
- 影響: これにより、特に安価なモデルを主力とする中国メーカー(Xiaomi, Oppo, Vivoなど)は利益が圧迫され、端末価格の値上げを余儀なくされる可能性があります。
3. 市場全体の微減と「プレミアム化」
調査会社(Counterpoint等)の予測では、2026年の中国スマホ出荷台数は前年比で約5%減少すると見られています。
- 買い替えサイクルの長期化: 景気不透明感から消費者が慎重になり、1台を長く使う傾向が強まります。
- 高付加価値化: 出荷台数が減る一方で、折りたたみスマホや高度なAI機能を搭載した「高価格帯モデル」の比率は高まり、メーカー各社は「数」よりも「利益率」を重視する戦略にシフトしていきます。
今後は、単なる「出荷台数の奪い合い」から、AI機能の進化や部品調達力、折りたたみ端末などの革新性を競うフェーズへ移行します。特に、Appleが噂されている「折りたたみiPhone」を中国市場に投入するかどうかが、次の大きな転換点になると注目されています。

今後の中国スマホ市場は、AI需要に伴う世界的なメモリ価格高騰の影響で、2026年には出荷台数が約2〜5%減少する見通しです。部材コスト上昇による端末値上げが懸念される一方、Appleの折りたたみ端末投入予測やHuaweiの独自OS深化により、ハイエンド層でのシェア争いは一段と激化するでしょう。

コメント