この本や記事で分かること
・末端アルキンの特徴、なぜ酸性になるのか
・酸性になることで、どのような反応が起きるのか
アルケンにないアルキンの特徴は何か
アルキンとアルケンの大きな違いは、末端のアルキンが弱い酸性を示す点にあります。
末端アルキンを強い塩基で処理すると、アセチリドアニオンを生成します。アルキンのみがアニオン化するのはアニオンの安定性が高いためです。
メタン、エチレン、アセチレンそれぞれのアニオンを比較すると、アセチレンのアニオン=アセチリドアニオンが最も安定になるため、末端アルキンのみがプロトンを引き抜れ、アニオン化します。

なぜ、アルキンだけが酸性になるのか
メタンはsp3混成軌道を持つため、アニオンになった際の負電荷のうち25%がs性を持ち、75%がp性を持っているといえます。
sp2混成であるエチレンがアニオン化した際は33%がs性を持ち、アセチリドアニオンはsp混成軌道であるため、s性、p性が50%ずつとなります。
p軌道はs軌道よりもエネルギー状態が高く不安定となるため、最もs性が高いアセチリドアニオンの安定性が最も高くなると考えられます。

アセチリドアニオンはどのような反応を起こすのか
アセチリドアニオンは炭素上に非共電子対を持つため、強い求核性をもつため、求電子試薬と反応を起こします。
例えば、ブロモメタンのようなハロゲン化アルキルと置換反応を起こします。
この反応は、アセチリドアニオンの非共電子対が、δ+となるハロゲン化アルキルの炭素を攻撃し、遷移状態となります。
その後、臭素イオンが脱離することで、新たなアルキンを生成します。このような反応は新しいアルキル基を持つアルキンが生成するため、アルキル化と呼ばれます。

アルキル化はどんなハロゲン化アルキルでも進行するのか
アルキンをアルキル化することで、任意の末端アルキンを合成することができ、末端アルキンをアルキル化すれば、内部にアルキンをもつアルキンを合成することが可能です。
ただし、アルキル化反応が進行するのは第一級の臭化アルキルとヨウ化アルキルに限られます。第2級や第3級のハロゲン化アルキルとは脱ハロゲン化水素反応を引き起こします。
例えば、ブロモシクロヘキサンとアセチリドアニオンを反応させると、新たなアルケンは生成せず、アセチリドアニオンが塩基として働くことで、臭素の脱離によるシクロヘキセンが生成し、置換アルキンが生成することはありません。

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