大人のための生物学の教科書 要約8 血液、肝臓と腎臓の働き

要約7 細胞分裂とバイオテクノロジーとは

この本や記事で分かること

・血液や体液にはどのような役割があるのか

・血液や体液が循環する際に肝臓や腎臓は何をしているのか

血液と体液の役割は何か

 血液は液体成分の血漿と細胞成分である血球に分けられます。血液は血管を通って、循環していますが、毛細血管には小さな隙間があるため、血漿は毛細血管からしみだします。

 しみだした液は組織液となり、全身の細胞に酸素と栄養を供給し、二酸化炭素と老廃物を回収しています。

 組織液は血管内の血漿と組織液との濃度差で浸透圧を受け、再び血管に戻ったり、リンパ管に入っていきます。

 リンパ管に入った液はリンパ液となり、血管では回収できない大きな分子や病原体の回収しています。また免疫細胞が集まるリンパ節を通り、リンパ液中に異物がないかを監視し、ウイルスや細菌、がん細胞などは免疫細胞によつ攻撃を受けることとなります。

 リンパ節が腫れるのは、免疫細胞の働きが活発化している=感染であるため、風邪などのときに医師がリンパ節を確認していています。

 体液の血管→組織→(リンパ管)→血管という流れによって全身の細胞に必要なものが届けられ、老廃物の回収が行われています。

血液は何でできているのか

 血液中の細胞成分で最も数が多いものが赤血球です。赤血球は体内で最も多い細胞でもあり、全細胞中の3分の2程度が赤血球です。

 赤血球には核や他の細胞小器官もなく、内容物のほとんどは酸素の運搬に特化したタンパク質であるいヘモグロビンです。

 赤血球は核を持たないため、自身が機能不全に陥ったときに修復するすべを持っておらず、120日ほどで古くなった赤血球は脾臓で壊され、骨髄で作られた新しい赤血球と入れ替わっています。

 赤血球は毎秒240万個もの速度で入れ替わっているにもかかわらず、離れた臓器で破壊と創造が行われていることは驚異的といえます。

血液の中で最も多いのは赤血球で、その数は全細胞の3分の2程度が赤血球であるほどで、古くなった赤血球は脾臓で壊され、骨髄で作られた新しい赤血球と入れ替わっていますがその速度は毎秒240万個にも及びます。

ヘモグロビンはどのように酸素を全身に供給しているのか

 ヘモグロビンは酸素の運搬のためのタンパク質であるため、酸素と強く結びつく必要がありますが、ただ強く結びつくだけでは、酸素を手放すことができません。

 ヘモグロビンは二酸化炭素の多い場所ではより酸素を手放しやすくなっており、この機能によってエネルギーを消費し、二酸化炭素が多く作られ、酸素を必要とする臓器に多くの酸素を提供することができています。

 また、ヘモグロビンは温度が上昇したさいにも酸素を手放しやすくなる傾向も持っています。運動の際にウォーミングアップが必要となるのも、あらかじめ体温を上昇させておくことで、本格的に運動した際に筋肉に酸素を供給しやすくなるためです。

 過度の緊張や不安で過剰に酸素を取り込んでしまうと、ヘモグロビンが酸素を手放しにくくなり、体内に酸素が豊富にあるにもかかわらず、酸欠になってしまいます。これが過呼吸が起こる理由です。過呼吸になってしまったときは、呼吸回数を少なくし、血中の酸素と二酸化炭素の割合を正常化させることが重要です。

肝臓は何をする臓器なのか

 血漿や組織液の循環は生命活動において非常に重要ですが、その調整を行っているのが肝臓と腎臓です。

 肝臓は血漿中の取りないものを合成し補ったり、不要なものを分解する働きを持っています。肝臓で起きる化学反応は多岐にわたり、2000種以上の酵素が関わり、500種類以上とどんな化学工場でも行っていない多様な化学反応が起きています。

 また肝臓で起きる数多くの反応は熱を発生させており、血液によって発生した熱を全身に運搬しています。体温の約20%が肝臓由来と考えられています。 

 肝臓はエネルギー源となるグルコースの吸収と消化しやすいグリコーゲンへの変換や脂溶性の不要物の処理、アンモニアの尿素や尿酸、アルコールの酢酸への分解など人体にとって有害な物質や薬の分解も行っています。

腎臓の役割は何か

 腎臓には毎分1200mlもの血液が流入し、浄化されています。

 腎臓に流入した血液は、フィルターにかけられ、血球と血漿タンパク質とそれ以外の原尿に分けられます。

 原尿には老廃物だけでなく、エネルギー源であるグルコース、様々なイオンや水などが含まてる状態のため、細尿管で必要な成分を回収し、血液に戻しています。

 腎臓のろ過作用が働かないと、大変なことになるため、腎臓に深刻な異常がある場合には人工透析によって血液をろ過していきます。再尿管の総距離は70㎞に及ぶとされるため、人工的な装置で代替することが難しく、数日おきに、数時間の透析を行う必要があります。

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