GoogleからSakana AIへの出資 Sakana AIの特徴は何か?Googleが出資する理由は?

この記事で分かること

  • Sakana AIの特徴:既存の複数のAIモデルを「交配」させて新モデルを自動生成する「進化的モデルマージ」です。大規模な再学習が不要なため、低コスト・短期間で日本文化や理数系に強い高性能なAIを開発できます。
  • AIモデルの交配方法:既存モデルを「親」とし、そのパラメータや層を生物のDNAのように組み合わせます。進化計算を用い、数千通りの配分からテスト成績が良いものを選別・改良するサイクルを自動で回すことで、低コストで高性能な「子」モデルを生み出します。
  • Googleの出資理由:サカナAIの「低コスト・高効率な開発力」の活用と、日本の基幹産業へのシェア拡大です。自社モデルGeminiとの連携を通じ、金融や公共部門など信頼性が求められる領域でのAI実装を加速させ、日本市場における競争力を高める狙いがあります。

GoogleからSakana AIへの出資

 2026年1月23日、Sakana AIはGoogleとの戦略的パートナーシップの締結と、Googleからの出資を受けたことを発表しました。

 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC2158Z0R20C26A1000000/

 今回の提携は、単なる資金援助にとどまらず、技術と市場開拓の両面で深い協力関係を築くもので、Sakana AIが開発した革新的なAIモデルが、Googleの強力なインフラに乗って世の中に出てくる」という、非常に強力なタッグが誕生したと言えます。

出資の内容は何か

 GoogleからSakana AIへの出資内容の主な内容は以下の通りです。

1. 戦略的出資と提携

 GoogleはSakana AIの「シリーズB」ラウンドに関連する形で出資を行いました。具体的な出資金額は公表されていませんが、今回の出資は単なる資金提供ではなく、「戦略的パートナーシップ」の構築が大きな目的です。

2. 技術提携(Geminiとクラウドの活用)

 出資に伴い、両社は以下の技術面で深く連携することを発表しています。

  • Geminiの活用: Sakana AIは、自社の研究開発やサービス構築において、Googleの最先端AIモデル「Gemini」を活用します。
  • Google Cloudの利用: Googleの強力なコンピューティング基盤(クラウド)を利用して、AIの開発や社会実装を加速させます。

3. 共同開発(AIエージェントなど)

 特に「AIエージェント」(自律的にタスクをこなすAI)の開発において、GoogleのインフラとSakana AIの独自技術を組み合わせるとしています。これにより、複雑な業務を自動化するソリューションの提供を目指します。

4. 日本市場における展開

 この提携により、Google Cloudを通じて、日本の公共部門(政府・自治体)や金融機関といった、高いセキュリティが求められる「ミッションクリティカル」な領域に対して、AIサービスを共同で提供していく体制を整えます。


 Sakana AIはすでにNVIDIAからも出資を受けていますが、今回Google(創業者がかつて所属していた古巣)からも出資を受けたことで、世界的な「AIの二大巨頭」をパートナーに持つ非常に稀有な日本企業となりました。

Googleは2026年1月、Sakana AIと戦略的提携を結び資金を拠出しました。Sakana AIはGoogleの「Gemini」等のモデルを活用してAIエージェント等の開発を加速。金融・政府機関への社会実装を共同で推進します。

サカナAIの特徴はなにか

 Sakana AI(サカナAI)は、従来のAI開発(膨大なデータと計算資源で1つの巨大なモデルを作る手法)とは一線を画す、「自然界の知恵」を取り入れた独自のアプローチが最大の特徴です。


1. 進化的モデルマージ(Evolutionary Model Merge)

 同社の代名詞とも言える技術です。ゼロからAIを学習させるのではなく、既存の異なるAIモデルを「交配(マージ)」させ、より優れた次世代モデルを自動的に生み出す手法です。

  • 仕組み: 生物の進化(自然淘汰)のように、数千通りの組み合わせから性能の高いものを残していきます。
  • メリット: 膨大な計算コストや電気代を抑えつつ、短期間で「日本語に強い」や「数学が得意」といった特殊能力を持つモデルを開発できます。
  • 具体例: 「日本語モデル」と「画像生成モデル」をマージし、日本語の指示に極めて忠実な画像生成AI(Evo-Ukiyoeなど)を開発しました。

2. 小規模モデルの「群れ(集団知)」

 社名の「サカナ」が示す通り、1つの巨大な「全知全能AI」ではなく、小さなAIが群れ(Swarm)を成して協力し合う仕組みを目指しています。

  • 発想: 魚の群れや蜂の集団が、個々の知能を超えた高度な行動をとる「集団知」をAIに応用しています。
  • 効率性: 小さなAIの組み合わせなので、スマートフォンやPCなどの限られた環境でも高速・軽量に動作させることが可能です。

3. 「AI Scientist」:研究そのものを自動化

 AIを使って「新しいAIの研究」を自動化する試みも行っています。

  • 機能: 研究テーマの提案、実験コードの記述、実験の実行、論文の執筆、さらには査読(レビュー)まで、一連の科学的プロセスをAIが自律的に行います。
  • 破壊力: 1本当たり15ドル(約2,300円)程度の低コストで論文を生成でき、AI開発のスピードを劇的に進化させる可能性を秘めています。

 「巨大な力に頼るのではなく、進化と協力という自然界のルールを使って、賢く・安く・速くAIを進化させている集団」です。

サカナAIの最大の特徴は、既存の複数のAIモデルを「交配」させて新モデルを自動生成する「進化的モデルマージ」です。大規模な再学習が不要なため、低コスト・短期間で日本文化や理数系に強い高性能なAIを開発できます。また、小さなAIを「群れ」のように連携させる効率的な手法も追求しています。

異なるモデルをどのように交配するのか

 「モデルを交配させる」と言っても、単にプログラムを繋ぎ合わせるわけではありません。サカナAIが発明した「進化的モデルマージ」は、生物のDNAを掛け合わせるような独自の手法をとっています。

1. 「パラメータ」と「層」をDNAとみなす

 AIモデルは数兆個の「重み(パラメータ)」や「層(レイヤー)」の積み重ねでできています。サカナAIは、異なる特徴を持つ2つの親モデル(例:日本語が得意なAと、数学が得意なB)を用意し、それぞれのどの部分をどれくらい引き継ぐかという「レシピ」を作ります。

2. 進化的アルゴリズムによる「自動試行」

 人間が手動で調整するのではなく、AI(アルゴリズム)に数千通りの組み合わせパターンを作らせます。

  • 交差: Aモデルの1〜10層と、Bモデルの11〜20層をくっつける。
  • 重み付け: Aの知識を70%、Bの知識を30%の割合で混ぜる。

3. 「適者生存」の選別

 生成された大量の「子モデル」たちにテストを受けさせます。最も成績が良かったモデルを選び出し、それをさらに改良(変異)させるサイクルを繰り返します。



この手法のすごいところ

  • 再学習が不要: ゼロからAIを教育し直すと数億円単位の電気代がかかりますが、マージなら既存の知能を流用するため、圧倒的に安く・速く新しい能力を作れます。
  • 予期せぬ発見: 人間では思いつかないような「混ぜ方」をAIが見つけ出し、日本語で数学を解くといった「ハイブリッドな能力」が突然変異的に生まれます。

既存モデルを「親」とし、そのパラメータや層を生物のDNAのように組み合わせます。進化計算を用い、数千通りの配分からテスト成績が良いものを選別・改良するサイクルを自動で回すことで、低コストで高性能な「子」モデルを生み出します。

なぜグーグルが出資するのか

 GoogleがSakana AIに出資する主な理由は、彼らの「低コスト・高効率な開発力」を自社エコシステムに取り込み、日本の基幹産業(金融や政府)へのシェアを拡大するためです。


1. 開発コストの劇的な削減

 現在のAI開発は数千億円規模の計算資源(電気代やチップ代)を投じる「力技」が主流ですが、Sakana AIは既存モデルを掛け合わせる「進化的マージ」により、圧倒的に安く高性能なAIを作れます。

 Googleとしては、この効率的な手法を自社の「Gemini」などの改善に取り入れたい考えです。

2. 日本市場(公共・金融)の攻略

 日本政府やメガバンクなどは、高いセキュリティを求めています。

  • Googleの信頼性: 強固なクラウド基盤を提供
  • Sakana AIの専門性: 日本語や日本文化、特定業務に特化した高度なAIモデルを提供

この2つをセットにすることで、GoogleはAmazon(AWS)やMicrosoftに先んじて、日本の重要インフラ市場を確保しようとしています。

3. 「かつての天才たち」との再合流

 Sakana AIの創業者は、現在の生成AIの基礎技術(Transformer)を作った元Googleのトップ研究者です。

 彼らを敵に回すのではなく、パートナーとして出資・提携することで、最先端の知能を再びGoogle陣営に繋ぎ止めるという「人材戦略」の側面も大きいです。


Googleの狙いは安くて速いAI開発術を手に入れつつ、それを使って「日本の公共・金融市場」をまるごと掴み取ることといえます。

Googleの狙いは、サカナAIの「低コスト・高効率な開発力」の活用と、日本の基幹産業へのシェア拡大です。自社モデルGeminiとの連携を通じ、金融や公共部門など信頼性が求められる領域でのAI実装を加速させ、日本市場における競争力を高める狙いがあります。

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