本の概要
現在、移動通信システムは4Gから5Gへの移行が進んでいる。
4Gは、電話、コミュ二ケーション、インターネットなど人が対象のサービスであった。
5Gはそれらに加えあらゆるモノをインターネットにつなげることができる。そのため全ての産業分野が対象となるという違いがある。
5Gの特長は
- 超高速(現行の100倍)
- 超遅延(1000分の1秒)
- 多数同時接続(100万台/km2)
低遅延と多数同時接続は4Gまでではなかった概念のため、新たな価値を生み出すことができる。
期待される分野は自動運転、工場スマート化、建築機械の遠隔操作など様々な分野に及ぶ。
5Gはあくまで通信インフラであり、5Gを利用してどんな新しいビジネスが生まれる余地があるかを考えることが重要となる。
本の感想
5G自体はニュースなどで聞いたことのある人は多いと思いますが、実際にどんなことに期待されてるのかがよくわかる構成になっています。
低遅延と多数同時接続がなぜ必要なのか。そしてそれらを用いることでどんなビジネスが生まれるのかなどが分かりやすく書かれています。
5G自体は通信インフラなので、5Gを用いて何をするのかが重要。これまでも移動通信システムの進化のタイミングで端末の勝者も変化してきたので、5Gへの変化でAppleが王者でなくなる可能性も有るのかもしれません。
序章 5G×デジタル変革
移動通信は10年ごとに新しい世代に切り替わってきた。現在は4G→5Gへの変化が起きていている。
4Gは、電話、コミュ二ケーション、インターネットなど人が対象のサービスであった。
5Gはそれらに加えあらゆるモノをインターネットにつなげることができる。そのため全ての産業分野が対象となるという違いがある。
5Gの特長は
- 超高速(現行の100倍)
- 超遅延(1000分の1秒)
- 多数同時接続(100万台/km2)
低遅延と多数同時接続は4Gまでではなかった概念のため、新たな価値を生み出すことができる。
第1章 5Gの本質
デジタル変革とは
- データを収集し
- データを蓄積解析し
- 結果をリアルな世界に反映し、判断の高度化、自動制御の進展につながる
というループで成り立っており、このループを回すことが重要となる。
5G はデータの収集を行うIoTの無線通信としてデジタル変革の一角を担っている。あらゆるものがネットにつながりデータが上がってくるようになり、通信の主役がヒトからモノに変化する。
これまで通信事業者は個人や企業を顧客として、サービスを提供してきた。今後は企業と一緒になってサービスを提供する形態が増加していく。 通信業者でもどのような用途があるかを完全に把握することができなくなっている。
第2章 5Gの潜在力と未来の姿
5Gの本命といわれているのが自動運転。現在の自動運転は車が単体で周囲のデータを集め、人間に代わって運転を行っている。
5Gの低遅延を用いることで、ネットワークの支援を受けて周囲の情報を得て、運転をすることができるようになる。遠隔型と呼ばれるこのシステムであれば、突発的な事故回避が可能となる。
建築・土木作業の遠隔化も労働力不足解消の切り札として期待されている。従来のWifiによる遠隔操作では映像が低解像度、遅延が大きいなどの理由で操作に時間がかかっていた。
遅延時間が0.2秒になると操作が困難といわれ、5Gの低遅延に期待がかかっている。
同様の理由で工場で用いられる産業機器、ロボットの無線制御も可能となる。多くの機械を同時に狭いエリアで使用する工場では5Gの多数接続の利点も生かすことができる。
どの分野でも無線は100%の信頼を確保できないことが懸念。冗長性を持たせることなどが重要となる。
第3章 モバイル興忘史を振り返る
5GのGはGeneratin(世代)で移動通信システムは10年ごとに進化してきた
1G:外出先での電話が可能に
2G:メールが可能になる
3G:ネットに接続し、他の家電(カメラ、音楽プレーヤー)を取り込み始める
4G:スマホの登場
通信システムの変化は端末の勝者も一変してきた
5Gでも新しいビジネ生態系が作られる可能性がある
4Gでは、他の家電の必要を減らし、SNSによるコミュニケーションが一般化した
5Gで何ができ、どのような市場があるか考えることが重要となる
第4章 激化するデジタル覇権のゆくえ
5Gでは通信事業者以外の分野にも大きな影響、経済効果があるため主導権争いが激しくなっている
通信事業者では楽天モバイルが加わり、競争が促されている
半導体分野ではクアルコムが競争優位性と知的財産戦略で市場を支配している
日本企業はスマホ、通信機器市場では競争力がないものの、部品、計測装置で存在感がある
米中の貿易戦争は5G技術で、アメリカがファーウェイを警戒したため起きている
第5章 5Gを支えるテクノロジー
電波は電磁波の一つで3テラヘルツ以下の電磁波と定義されている
電磁波は高周波ほど情報量が多いが、直線性が高まり障害物で遮断されやすい、遠くまで電波が届かないという欠点もある
4Gでは800MHzと2GHzの周波数を利用していた
5Gでは24GHz以上 1-6GHz 1GHz以下の3つの周波数帯が用いられる
5Gならではの性能を24GHz以上のハイバンドを広いエリアで使用しなければならないが、電波の届く距離が短く、基地局の設置場所確保が重要となるため信号機への基地局設置も検討されている
終章 5Gにどのように向き合えば良いか
あらゆる産業の基盤となり、デジタル化や効率化をもたらすと期待されている5G
現状では5Gならではのキラーサービスが誕生しておらず、5Gのインパクトを実感するのは難しい
しかし、5Gはあくまで通信インフラであり、5Gを利用してどんな新しいビジネスが生まれる余地があるかを考えることが重要
ネットフリックスが成功できたのは、通信相度が速なった何ができるかを考えたから
5Gで何をするのかを考え続けることが重要
5Gの活用が想定されやすいのは以下の通り
高精細映像:人の目を5Gの目に置き換える
常時接続
ケーブルレス:身の回りのケーブルを5Gに置き換える
遠隔操作:現地に出向く必要のある業務プロセスの遠隔化
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