この記事で分かること
・日本は肥料をどのくらい輸入に頼っているのか:日本の化学肥料の自給率は極めて低く、特にリン酸やカリウムの原料は全量を輸入に頼っている。
・プラズマアグリとは何か:プラズマ技術を農業に応用する研究・技術の総称。特に、空気中の窒素を直接肥料として利用する技術として注目されている。
肥料の自給自足と環境配慮
日本政府は、化学肥料の自給率向上を目指し、最先端のバイオテクノロジーを活用した研究支援を開始しました。
https://news.livedoor.com/article/detail/28297162/?utm_source=chatgpt.com
これは、肥料の原料供給の多くを中国に依存している現状を踏まえ、食料安全保障を強化する取り組みの一環です。
また、九州大学と福岡市の農業関連企業であるwelzoは、共同でCO2排出ゼロの窒素肥料開発に向けた研究を進めています。

この研究では、空気中の窒素を利用する独自技術「プラズマアグリ」を活用し、化石燃料に依存しない窒素肥料の製造を目指しています。これにより、環境負荷の軽減と肥料自給率の向上が期待されています。
肥料はどの形で中国から輸入しているのか
日本が中国から輸入している肥料は、主に以下の形態があります。
1. 原料としての輸入
中国は窒素・リン・カリウム(NPK)の主要な生産国であり、日本はこれらの肥料原料を輸入しています。特に、
- 尿素(窒素肥料)
- リン酸アンモニウム(リン肥料)
- 塩化カリウム(カリ肥料)
などが多く輸入されています。これらの原料を国内でブレンドして、さまざまな配合肥料(化成肥料)として利用します。
2. 製品としての輸入
一部の化成肥料や液体肥料は、中国で加工された製品として輸入されることもあります。ただし、日本の農業に適した配合が求められるため、多くは原料の状態で輸入し、日本国内で調整されています。
3. 副産物由来の肥料
中国の工業生産の副産物として生成されるリン酸系肥料や硫安(硫酸アンモニウム)なども、日本に輸出されています。
中国は世界最大級の肥料輸出国であり、日本は特にリン・カリウム資源の多くを中国に依存しているため、供給制限がかかると価格高騰や供給不足のリスクが高まります。そのため、日本政府は自給率向上を目指して研究支援を強化しています。

日本は中国から、原料、製品などの形で輸入しており、日本は特にリン・カリウム資源の多くを中国に依存しているため、安全保障の観点から自給自足に注目が集まっています。
現在の化学肥料の自給率はどれくらいか
日本の化学肥料の自給率は非常に低く、主要な肥料原料の多くを海外からの輸入に依存しています。
- 窒素肥料(尿素): 約90%を輸入に依存しており、主な供給国はマレーシア(47%)、中国(37%)などです。
- リン酸肥料(リン酸アンモニウム): 原料の100%を輸入しており、主な供給国は中国(90%)とアメリカ(10%)です。
- カリウム肥料(塩化カリウム): 原料の100%を輸入に依存しており、主な供給国はカナダ(59%)、ロシア(16%)などです。

日本の化学肥料の自給率は極めて低く、特にリン酸やカリウムの原料は全量を輸入に頼っています。
化学肥料にはどのようなものがあるのか
代表的な化学肥料には以下のようなものがあります。化学肥料の製造は資源の採掘・化学反応・精製・粒状化などの工程を経て行われています。
1. 窒素肥料(N肥料)
(1) 尿素(CO(NH₂)₂)
製造方法:
- アンモニア合成: 窒素(N₂)と水素(H₂)を高温高圧下でハーバー・ボッシュ法により反応させてアンモニア(NH₃)を生成。
- 尿素合成: アンモニアと二酸化炭素(CO₂)を高温高圧で反応させて尿素を生成。
- 結晶化・乾燥: 生成した尿素溶液を濃縮し、粒状またはペレット状に加工。
特徴: 窒素含有量が高く、水に溶けやすい。
(2) 硝酸アンモニウム(NH₄NO₃)
製造方法:
- アンモニア(NH₃)と硝酸(HNO₃)を反応させて硝酸アンモニウムを生成。
- 結晶化・乾燥して肥料として使用。
特徴: 水溶性が高く、速効性があるが、爆発性があるため取り扱い注意。
2. リン酸肥料(P肥料)
(3) 過リン酸石灰(Ca(H₂PO₄)₂・H₂O + CaSO₄)
製造方法:
- 天然のリン鉱石(リン酸カルシウム Ca₃(PO₄)₂)を硫酸(H₂SO₄)で処理。
- 可溶性のリン酸二水素カルシウム(Ca(H₂PO₄)₂)が生成され、石膏(CaSO₄)とともに得られる。
- 乾燥して粉末化または粒状化。
特徴: 水に溶けやすく、即効性がある。
(4) リン酸アンモニウム(DAP: (NH₄)₂HPO₄, MAP: NH₄H₂PO₄)
製造方法:
- アンモニア(NH₃)とリン酸(H₃PO₄)を中和反応させる。
- 乾燥・結晶化して粒状肥料として使用。
特徴: 窒素とリンを同時に供給できる。
3. カリウム肥料(K肥料)
(5) 塩化カリウム(KCl)
製造方法:
- 天然のカリウム鉱石(カーナライト KCl·MgCl₂·6H₂O)を採掘。
- 水や熱処理を使って精製し、塩化カリウムを結晶化。
特徴: 水に溶けやすく、作物の耐病性を高める。
(6) 硫酸カリウム(K₂SO₄)
製造方法:
- 塩化カリウム(KCl)と硫酸(H₂SO₄)を反応させる。
- 溶液を濃縮し、硫酸カリウムの結晶を析出。
特徴: 塩害リスクが低く、果樹や塩に弱い作物に適する。
4. その他の肥料
- 硫安(硫酸アンモニウム (NH₄)₂SO₄) → 硫酸とアンモニアを反応
- 苦土石灰(MgO・CaO) → ドロマイト(CaMg(CO₃)₂)を焼成
- 複合肥料(NPK肥料) → 上記の窒素・リン・カリ肥料をブレンド
プラズマアグリとは何か
プラズマアグリとは、プラズマ技術を農業に応用する研究・技術の総称です。特に、空気中の窒素を直接肥料として利用する技術として注目されています。
1. プラズマアグリの仕組み
プラズマとは、電気エネルギーを使って気体を高エネルギー状態にしたものです。この技術を農業に応用する方法として、主に以下の2つがあります。
(1) 窒素固定(プラズマ窒素肥料)
- 空気中の窒素(N₂)をプラズマ放電で活性化し、一酸化窒素(NO)や二酸化窒素(NO₂)に変換。
- これを水と反応させて硝酸(HNO₃)を生成し、液体肥料として利用。
- 既存の化学肥料と違い、化石燃料を使用しないため、CO₂排出ゼロの窒素肥料を作れる。
(2) 種子や作物の成長促進
- プラズマで処理した水(プラズマ活性水)を散布することで、作物の成長促進や病害抑制が期待される。
- 低温プラズマを照射することで、種子の発芽率向上や耐病性向上が可能。
2. プラズマ窒素肥料のメリット
- 化学肥料の代替 → 中国などの海外依存を減らし、自給率を向上できる。
- 環境負荷の低減 → ハーバー・ボッシュ法(従来のアンモニア合成法)と比べてCO₂を排出しない。
- 省エネルギー化 → 再生可能エネルギー(太陽光・風力)と組み合わせることで、持続可能な肥料生産が可能。
3. 日本での研究・実用化動向
- 九州大学 & 福岡市の農業ベンチャー「welzo」
→ 「プラズマアグリ」技術でCO₂フリーの窒素肥料開発を推進 - 北海道大学
→ プラズマ処理による種子発芽促進や作物の病害耐性向上を研究
4. 今後の課題
- 大規模な農業向けにコスト競争力のあるシステムを構築できるか。
- プラズマ処理技術の安定性と持続可能性の確立。
- 農家への導入・普及のためのインフラ整備。

プラズマアグリは、化学肥料に頼らない新しい農業技術として注目されており、今後の研究開発と実用化が期待されています。
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