本の概要
歴史は解釈を伴うものであり、純粋な事実だけからなるものではありませんが、地理で扱う地形や気候、立地といった地理的条件は動かしようのない事実です。
歴史と地理を組み合わせることで、解釈を真実に近づけることができます。
現代史も、何が起こっただけでなく、そこに地理的条件という事実を積み重ねることで、違う視点を獲得することができます。
中国による台湾有事、ロシアによるウクライナ侵攻なども地理的な考えをすることで、ニュースだけでは理解できない部分が見えてきます。
地理を通じて、現代史を見ることの意義、面白さを知ることができる本になっています。
この本や記事で分かること
・地理的な要因が歴史にもたらす影響
・ウクライナ侵攻や台湾有事などの地理的な視点
本の要約
歴史は解釈を伴うものであり、純粋な事実だけからなるものではありません。
一方で、地理で扱う地形や気候、立地といった地理的条件は動かしようのない事実です。
歴史と地理を掛け合わせ、歴史を見る際に地理という視点を介在させることで、「解釈」を「事実」に近づけることが可能であり、何がどのようにして起こったのかという、歴史の真実に迫ることができます。
地理的条件という事実を積み重ねることで、景観をつかみ、現代史を地理学の視点から眺めた本になっています。
現在の国際情勢も地理的な視点を介在させることで、より深い理解をすることが可能です。
中国が台湾への進出を目指しているのは台湾が拠点として非常に重要であるためです。
台湾は中国との間の海峡の水深は100mほどですが、東側は5000mにも及び、東側には3000m級の山が南北に走っています。そのため、中国が台湾を支配し、東部に原子力潜水艦を配備することで要塞化し、太平洋進出の拠点としたいと強く考えています。
ロシアがウクライナへの侵攻を行ったことにも地理的な要因が関わっています。ロシアにとって最も避けたいことはEUと国境を接することです。
そのため、緩衝地域であったウクライナがNATOへ加盟してしまうとEUと国境を接することになるため侵攻を決断しています。
ただし、現状はウクライナ侵攻によって同じく緩衝地域であったスウェーデンとフィンランドがNATOへの加盟を検討するなど自分の首を絞めている状況です。
民族や宗教の境界線は紛争の火種になりやすい傾向にあります。イスラエルを巡るパレスチナとの対立だけでなく、アルメニアとアゼルバイジャン、バルカン半島(旧ユーゴスラビア)など多くの例があります。
単一民族国家に近い日本で生活しているとなかなか実感として捉えづらいところですが、独立して自分たちの民族だけで主権を持つ国を作りたいという思いは非常に強いものです。
古代から迫害、追放を受けてきたユダヤ人は自分たちの本来の故郷であるエルサレムのあるパレスチナに国家を建設し、自治を目指してきましたが、パレスチナ人の反発を招き中東地域の不安定化の一因になっています。
ただし、この争いは宗教対立だけでなく、降水量の少ないという地理的条件もあり、水をめぐる争いであるという側面ももっています。
白人優遇政策であるアパルトヘイト政策はその内容のひどさにも拘わらず、長い間放置されてされ、突然変更されています。ここにも、地理的要因が関係しています。
南アメリカには多くのレアメタルが埋蔵されており、冷戦期は東西の交流が困難であったこともあり、南アフリカは貴重なレアメタルの供給源でした。
そのため、西側諸国は南アメリカでひどい政策が敷かれていても、レアメタルの輸入のために文句を言いにくいという事情がありました。
冷戦期が終結すると、南アフリカのレアメタルの価値は相対的に下がり、西欧諸国からアパルトヘイト政策の変更を迫られるようになり、政策を変更しています。
資源をめぐる駆け引きや問題は様々な場面で見られます。
自分たちの生活が何に支えられ、どんな犠牲のもとに成り立っているのかを地球規模の視点で己の生活を振り返ることで、物事を見る目、考える力が身についていきます。
地理と歴史はどのような関係にあるのか
歴史的事実とは古文書などに書かれたことをもとにしたものであり、100%正しいとは言えないものです。
歴史はどうしても解釈を伴うため、純粋な事実だけからなるものではありませんが、その解釈に確からしさを加味し、真実に迫るために役立つのが地理学です。
地形や気候、立地といった地理的条件は動かしようのない事実であり、歴史を見る際に地理という視点を介在させることで、「解釈」を「事実」に近づけることが可能です。
歴史と地理を掛け合わせることで、何がどのようにして起こったのかという、歴史の真実に迫ることができます。
本書は、地理的条件という事実を積み重ねることで、景観をつかみ、現代史を地理学の視点から眺めた本になっています。
歴史は解釈を伴うものであり、純粋な事実だけからなるものではありません。
地理は地形や気候、立地といった動かしようのない事実である地理的条件を扱うものであり、解釈を事実に近づけることが可能です。
なぜ、中国は台湾に進出したいのか
中国の一帯一路構想とは、一帯で陸路でヨーロッパに進出すること、一路で南シナ海、太平洋へ進出することを意味しています。
中国が一路を成し遂げるためには、台湾は欠かすことができませんし、欧米や日本からすれば、絶対にとられたくない場所になっています。
台湾は中国との間の海峡の水深は100mほどですが、東側は5000mにも及び、東側には3000m級の山が南北に走っています。
このような地理的な背景から、中国は台湾を支配し、下記のような戦略を実現したいと考えています。
・台湾の東部に原子力潜水艦を配備し海を守り、陸は山脈で守られる要塞を築きたい
・要塞化した台湾で他国をけん制し、南シナ海から太平洋、インド洋を経て一路を成し遂げる
・台湾を足掛かりにソロモン諸島に進出、太平洋進出への足掛かりにしたい
中国の最終的な目的は太平洋をアメリカと共同管理することです。そのために太平洋に進出し影響力を高めようとしています。
地理的条件を見ることで各国の思惑や今後何が起こる可能性があるのかを知ることができます。
中国の最終的な目標は太平洋をアメリカと共同管理することであり、そのために台湾への進出し、要塞化し、太平洋進出の拠点にしたいと考えています。
なぜ、ロシアはウクライナ侵攻を行ったのか
ロシアによるウクライナ侵攻はNATOの東方拡大にロシアが脅威を抱いたことが原因とされています。
実際に、ソ連崩壊後、ソ連傘下だった国々はどんどん西側諸国に取り込まれており、ウクライナがNATOへ加盟すれば、ロシアはEU諸国と国境を接することになってしまいます。
安全保障上からも、民主主義と資本主義を基本とする政治、経済面からもロシアはEUと国境を接することは避けたいと考えています。
ウクライナ以外にもこれまでロシアと西欧の緩衝地域であったスウェーデンとフィンランドもウクライナ侵攻後にNATOへの加盟を申請しています。
NATOの拡大を防ぐ思惑から始まったウクライナ侵攻ですが、現状ではNATO加盟国を増やし、自分で自分の首を絞めている状況です。
ロシアは安全保障上からも、民主主義と資本主義を基本とする政治、経済面からもロシアはEUと国境を接することは避けたいと考えています。
ウクライナが西側諸国となれば、EUと国境を接することとなるため、侵攻してでも阻止したいと考えました。
ただし、現状は、ウクライナ以外の緩衝国であったスウェーデンとフィンランドがNATOへの加盟を申請しており、自分の首を絞めている状況です。
中東地域の不安定の要因は何か
ユダヤ人は古来から迫害、追放を受けたことで、住んでいたエルサレムを追われ、様々な土地へ離散していきました。
19世紀から20世紀初頭にかけて、ユダヤ人に民族主義運動であるシオニズム運動が高揚します。
シオニズムとはエルサレムを意味するシオンとイズムの合成語であり、自分たちの本来の故郷であるエルサレムのあるパレスチナに国家を建設し、自治を目指す運動のことです。
1947年には国連がパレスチナ分割を承認し、ユダヤ人国家であるイスラエルの建国が決定されますが、パレスチナの反発によってパレスチナ人vsユダヤ人という火種が生まれてしまいます。
パレスチナ人とユダヤ人の火種はそのほかの中東地域にも飛び火し、多くの争い、中東戦争を生んでいます。
これらの争いは宗教対立の面もありますが、水の争いであるという側面もあります。降水量が少ないという地理的条件が水資源を巡る争いを巻き起こす要因にもなっています。
古代から迫害、追放を受けてきたユダヤ人は自分たちの本来の故郷であるエルサレムのあるパレスチナに国家を建設し、自治を目指してきましたが、パレスチナ人の反発を招き中東地域の不安定化の一因になっています。
これらの争いは宗教対立とみられがちですが、降水量が少ないという地理的条件もあり、水を巡る争いという側面もあります。
紛争のおこりやすい地域にはどんな特徴があるのか
民族や宗教の境界線は紛争の火種になりやすい傾向にあります。
イスラエルを巡るパレスチナとの対立だけでなく、アルメニアとアゼルバイジャン、バルカン半島(旧ユーゴスラビア)など多くの例があります。
限りなく単一民族国家に近い日本で生活しているとなかなか実感として捉えづらいところですが、地図ととともに歴史を眺めてみると宗教分布という空間認識をもつことができます。
また、宗教上の対立を理由に独立を目指しても、経済的に厳しい場合もみられ、日本に住んでいると元の国にいたほうが豊かだったのでは考えてしまいます。
これらの事例からも、独立して自分たちの民族だけで主権を持つ国を作りたいという思いが非常に強いものであることが理解できます。
民族や宗教の境界線は紛争の火種になりやすい傾向です。
単一民族国家に近い日本で生活しているとなかなか実感として捉えづらいところですが、独立して自分たちの民族だけで主権を持つ国を作りたいという思いは非常に強いものです。
なぜ、サンノゼがハイテク産業の中心になったのか
サンノゼはアメリカのカリフォルニア州にある都市でハイテク産業が集積するシリコンバレーの中心都市です。
サンノゼはシリコンバレーの中心としてハイテク産業やイノベーションを引き寄せています。
サンノゼがシリコンバレーの中心になったことには地理的必然性が隠れています。
オイルショックや日本やドイツの台頭の工業製品によってアメリカは従来の石油に依存する産業構造からよりエネルギー効率の高い産業へのシフトが求められており、サンノゼは以下の要因によってシリコンバレーの中心として発展することができました。
・南部の温暖な気候を持っており、オイルショック後の省エネ思考に合致していた
・メキシコに近くヒスパニックが多く、プランテーションが多かったため黒人が多く賃金が安かった
・文化的な多様性をもっていたこと
・年間を通じて過ごしやすい気候が労働者や起業家を引き寄せた
サンノゼがシリコンバレーの中心になったことにも地理的な必然性があります。
南部の温暖な地域であったという地理的要因がオイルショック後の産業シフトにマッチし、シリコンバレーの中心となっていきました。
アパルトヘイト政策はなぜ、長い間放置され、突然変更されたのか
南アフリカにはオランダ系移民が多く、住んでいましたが、イギリスが進出し、第二次ボーア戦争でイギリスが勝利して以来、イギリスによって統治されてきました。
イギリスとの戦争を通じて、現地のオランダ系移民の独自性と連帯感が強まったことは、のちに白人優遇政策であるアパルトヘイトを支持する精神構造へと変異していきました。
非人道的な政策であるアパルトヘイトがほんの30年前まで健在であったことには地理的な理由があります。
南アフリカには多くのレアメタルが埋蔵されています。冷戦期は東西の交流が困難であったこともあり、南アフリカは貴重なレアメタルの供給源でした。
西欧諸国はひどい政策が敷かれていても、レアメタルの輸入のために文句を言いにくいという事情があり、南アフリカもレアメタルが欲しければ、政策に目をつぶるように要求していました。
冷戦が終結すると、南アフリカのレアメタルの価値は相対的に下がり、西欧諸国からアパルトヘイト政策の変更を迫られたという経緯があります。
アフリカ大陸がレアメタルなどの資源の宝庫であるという事実は今も変わりません。今後もアフリカが大国に翻弄されることは避けられないと考えられます。
南アメリカには多くのレアメタルが埋蔵されており、冷戦期は東西の交流が困難であったこともあり、南アフリカは貴重なレアメタルの供給源でした。
そのため、西側諸国は南アメリカでひどい政策が敷かれていても、レアメタルの輸入のために文句を言いにくいという事情がありました。
冷戦期が終結すると、南アフリカのレアメタルの価値は相対的に下がり、西欧諸国からアパルトヘイト政策の変更を迫られるようになり、政策を変更しています。
アフリカが大国に翻弄されるという図式は今後も続くものと思われます。
資源をめぐる動きをどのようにみるべきなのか
資源をめぐる動きは多くの場所で見られています。
電気自動車の普及などで、需要の増加したリチウムは南アメリカに多く埋蔵されています。リチウムの採取は大量の地下水を汲み上げて蒸発させる必要があるため、水資源の枯渇や環境破壊、劣悪な労働条件などが問題視されています。
また、中国が南アメリカに急接近しています、中国は巨額の投融資で相手国を債務の罠にかけ、自分の言いなりにさせてきましたが、豊富なリチウムを持つ南アメリカの国に同じことをしようしています。
ボリビアはリチウムの埋蔵量の多い国ですが、特に有名なウユニ塩湖に多く埋蔵されているため、景観破壊が起こる可能性があります。
多くの場面で使用されるパーム油の製造にも、多くの問題があります。天然ゴムを輸出に頼っていたマレーシアやインドネシアはパーム油の取れるアブラヤシの栽培を始めました。
パーム油は生産コストが安く、用途の広い植物性油脂であるため、多くの輸出がされていますが、アブラヤシの栽培拡大は熱帯雨林の破壊を引き起こしており、生物多様性の喪失や温暖化の加速といった環境問題を深刻化させています。
自分たちの生活が何に支えられ、どんな犠牲のもとに成り立っているのかを地球規模の視点で己の生活を振り返ることで、物事を見る目、考える力が身についていきます。
リチウムは電気自動車の普及などで需要が伸びています。中国は豊富なリチウムを持つ南アメリカの国に巨額の投融資で相手国を債務の罠にかけ、言いなりにさせようとしています。
生産コストが安く、用途の広い植物性油脂であるパーム油の製造も熱帯雨林の破壊による生物多様性の喪失や温暖化の加速などの環境問題につながっています。
自分たちの生活が何に支えられ、どんな犠牲のもとに成り立っているのかを地球規模の視点で己の生活を振り返ることで、物事を見る目、考える力が身についていきます。
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