日本曹達、NISSO HPCの増産

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この記事で分かること

日本曹達、NISSO HPCの増産

 日本曹達は、世界シェア約4割を握る医薬品添加剤「NISSO HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)」の生産能力を1.5倍に引き上げるため、二本木工場(新潟県上越市)に約100億円を投じて製造設備を増強しました。

 NISSO HPCは医薬品添加剤(ヒドロキシプロピルセルロース)分野でグローバルシェア約4割を保持しており、 新興国をはじめとする世界的な医薬品市場の成長に伴い、高品質な添加剤の安定供給体制を固めるための増強とみられています。

NISSO HPCとは何か

 NISSO HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)は、日本曹達が開発・製造する高機能な医薬品添加剤(セルロース誘導体)です。世界市場の約4割を占めるトップシェア製品で、主に錠剤を成型する際の結合剤やコーティング剤として広く利用されています。

 天然のセルロースにヒドロキシプロピル基を導入した構造を持ち、水と有機溶媒(アルコールなど)の両方に溶ける特異な性質を備えています。

主な機能と特徴

  • すぐれた結合力(錠剤の小型化): 主成分の粉末同士を強力に接着し、硬度の高い錠剤を作ることができます。これにより添加剤の量を減らし、飲みやすい小型錠剤の設計を可能にします。
  • 薬効成分の放出制御(徐放化): 体内での成分の溶出速度をコントロールし、効果を持続させたり服薬回数を減らしたりする「徐放性製剤」に貢献します。
  • 溶媒選択の柔軟性: 水だけでなくエタノールなどにも溶けるため、水分を嫌う医薬品の造粒・コーティング工程でも扱いやすいのが特徴です。
  • 多用途な展開: 医薬品用途のほか、サプリメント向け「セルニー」ブランドや各種工業用途にも幅広く展開されています。

 粘度や分子量の違いに応じて極低粘度(SSL)から高粘度(H、VH)まで多彩なグレードが用意されており、口腔内崩壊錠やフィルムコーティングなど目的に合わせた製剤設計に不可欠な素材です。

NISSO HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)は、日本曹達が製造する世界シェア約4割の医薬品添加剤です。主に錠剤を固める結合剤やコーティング剤に使われ、水にも有機溶媒にも溶ける特長があります。

なぜ水にも有機溶媒にも溶けるのか

 NISSO HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)が水とエタノールの両方に溶けるのは、分子の中に「水になじむ部分(親水基)」と「油やアルコールになじむ部分(疎水基)」の両方を併せ持つ化学構造をしているからです。

 以下の3つの化学的メカニズムによって両方の溶媒に溶解します。

強固な元の結晶構造をほぐす

 植物由来の天然セルロースは分子同士が水素結合でガチガチに固まっているため、水にも溶けません。化学反応で「ヒドロキシプロピル基」を導入することで分子同士の隙間が広がり、溶媒が入るスペースが生まれます。

親水性:水に溶ける理由 

 導入されたヒドロキシプロピル基の末端にある水酸基(-OH)が水分子と結びつきやすいため、水にスムーズに溶解します。

疎水性(非極性):エタノールに溶ける理由

 ヒドロキシプロピル基の中には炭化水素の鎖(プロピル鎖:-CH2CH(CH)3)-)という非極性の部位が含まれています。この有機的な部分がエタノールなどの有機溶媒と良くなじむため、アルコール類にも溶けます。

 「水を引き寄せる部分」と「有機溶媒を引き寄せる部分」のバランスが絶妙に調整されているため、製薬工程で水を使いたい場合(水系造粒)でも、水を嫌う医薬品でエタノールを使いたい場合(有機溶媒系造粒)でも自在に使い分けられる利点があります。

天然セルロースに導入されたヒドロキシプロピル基が元の構造をほぐし、溶媒が入りやすくなるためです。さらに、水となじむ水酸基(親水性)と、アルコールとなじむ炭化水素鎖(疎水性)の両方を持つためです。

増産の理由は何か

 世界的な医薬品需要の増大に対応し、グローバルシェア約4割を担うトップメーカーとして安定供給体制を強化することが主な理由です。

海外販売およびテクニカルサービスの強化

 生産規模を広げることで多種多様なグレードの効率生産を可能にし、海外製薬メーカーへの積極的な提案展開を加速します。

世界的な医薬品市場の成長

 新興国の医療アクセス向上や先進国の高齢化に伴い、世界中で医薬品および高品質な添加剤の需要が拡大しています。

高機能な製剤ニーズの増加

 飲みやすい「小型錠剤」や、薬効が長く続く「徐放性製剤」など、高度な製剤技術に不可欠なNISSO HPCの需要が高まっています。

グローバルな安定供給責任(BCP)

 世界の製薬ラインを止めないため、生産能力を1.5倍に引き上げて供給途絶リスクを低減し、責任を果たします。

高齢化や新興国での医療拡大に伴い、世界的に医薬品需要が増加しているためです。また、小型錠剤など高機能製剤のニーズに対応するとともに、世界シェア約4割を担う素材としてグローバルな安定供給体制を強化します。

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