半導体パッケージ基板:Deep UVレーザー

半導体パッケージのイメージ画像 半導体パッケージ基板

この記事で分かること

半導体パッケージ基板:Deep UVレーザー

 パッケージ基板とは、半導体チップ(ダイ)を載せ、マザーボードなどのメイン基板に接続するための中継基板のことです。半導体チップは非常に微細な端子を持ち、そのまま一般的なプリント基板(PCB)に直接実装することは極めて困難です。

 そこでチップとマザーボードの間に介在し、電気信号を橋渡しする役割を持つのがパッケージ基板です。

 従来の半導体の微細化による性能向上が限界に近づく中、半導体の先端パッケージング技術であるビルドアップ多層構造による高密度・微細配線が求められ、半導体性能向上の新たな競争軸となっています。

 前回はUVレーザーに関する記事でしたが、今回はUVレーザーの一種であるDeep UVレーザーに関する記事となります。

Deep UVレーザーとは何か

 Deep UV(DUV:深紫外線)レーザーとは、一般的なUVレーザー(355nm)よりもさらに波長が短い100〜300nm領域(代表例:266nm、248nm、193nmなど)の光を利用する超高エネルギーレーザー技術です。

一般的なUV(355nm)との主な違いと特徴

さらに高い光子エネルギー(4.6〜6.4 eV)

 波長が短くなるほど光子エネルギーが高まり、355nmのUV光では切断しにくい強固な結合(C-H結合:約4.3 eV)や、テフロンなどのフッ素樹脂(PTFE)、ガラス、サファイアといった難加工材も高効率に分解できます。

極限レベルの集光性と微細加工(サブミクロン〜数µm)

 光の波長が短いため、ビームをより小さく絞り込むことができます。これにより、通常のUVレーザーでは難しい10µm以下の極小ビアや数ミクロン単位の微細パターン加工が可能です。

極小の熱影響層(HAZ)

 ほぼすべての材料において吸収率が劇的に上がります。光が材料の表面浅くで完全に吸収され、熱として周囲に拡散する間もなく瞬時に光化学アブレーションが起きるため、熱ダメージがほぼゼロの加工が実現します。

半導体・基板分野での主な用途

次世代ガラス基板のビア加工(TGV)

 有機基板の限界を超える次世代パッケージとして注目されるガラス基板において、クラック(ひび割れ)を発生させずに微細な貫通孔(Through Glass Via)を開ける技術として活用されています。

半導体露光(DUVリソグラフィ)

 ArFエキシマレーザー(193nm)やKrFエキシマレーザー(248nm)は、シリコンウェハ上に微細な回路パターンを焼き付ける露光装置の光源として長年利用されています。

高周波基板(Low-k材・フッ素樹脂)の微細加工

 5G/6G通信向けの低誘電率材料は熱に弱く加工が困難ですが、DUVを用いれば熱変形を起こさずに高精度な微細加工が可能です。

導入における課題

 発振器内で高次高調波を生成するための波長変換結晶やレンズなどの光学素子が強力な紫外線によって劣化しやすく、メンテナンスコストが高価である点が主な課題となっています。

Deep UV(深紫外線)レーザーとは、波長100〜300nm程度の光を用いる技術です。一般的なUVより光子エネルギーが一段と高く、ガラスやフッ素樹脂などの難加工材も熱影響を抑えて超微細加工できます。

なぜ材料の種類に関係なく、吸収率が上がるのか

 Deep UV(深紫外線)光の持つ光子エネルギーが、ほぼすべての物質の電子を跳ね上げるエネルギー閾値(バンドギャップや吸収帯)を上回るためです。

物質ごとの吸収率上昇メカニズム

樹脂・ガラス・セラミックス(絶縁体・透明材料)
  • 通常の可視光や赤外線は光子エネルギーが低く、材料のバンドギャップ(電子を上のエネルギー状態へ引き上げるのに必要な障壁)を下回るため、そのまま透過してしまいます。
  • DUVの光子エネルギー(4.1〜12.4 eV)は石英ガラスやフッ素樹脂(PTFE)などの広いバンドギャップをも超えるため、光子が1個衝突するだけで直接電子励起(1光子吸収)が起き、光が強烈に吸収されます。
銅・金・アルミニウムなどの金属材料
  • 長波長(赤外線)では、金属表面の自由電子が光を跳ね返してしまい高反射となります(銅のCO2レーザー吸収率は数%程度)。
  • DUVレベルまで波長が短くなると、光の振動数が自由電子の応答限界に近づくとともに、内殻の電子を励起させるバンド間遷移が優勢になるため、反射率が急低下して吸収率が劇的に上がります
「表面極薄層」でのエネルギー集中
  • 吸収係数が桁違いに高くなる結果、DUV光は物質の表面数ナノ〜数百ナノメートルという極めて浅い領域で100%近く吸収されます。光が内部まで透過せず表面だけにエネルギーが集中するため、熱が周囲に逃げる間もなく瞬時に光化学アブレーション(非熱分解)が起こります。

DUVの光子エネルギーが極めて高いためです。ガラスや樹脂の広いバンドギャップを超えて電子を直接励起し、金属でも反射率が低下してバンド間遷移が起きるため、ほぼすべての材料の表面で強烈に吸収されます。

Deep UVではなぜガラスにひび割れが起きないのか

 ガラスが一般的なレーザーでひび割れる(クラックが入る)主な原因は、加工部位の熱膨張と急冷に伴って生じる「熱応力(歪み)」です。脆性材料であるガラスは不均一な熱歪みに耐えられず亀裂が生じます。UVレーザーでは以下の理由からひび割れが起きにくくなっています。

熱影響層(HAZ)が形成されず歪みが起きない

 熱の波及(熱影響層)がほぼゼロに抑えられるため、ガラスが局所的に熱膨張・収縮することがありません。これにより、ひび割れの直接の原因となる内部の引っ張り応力(熱歪み)が排除されます。

熱を発生させずに分子を切断する(非熱アブレーション)

 赤外線などの長波長レーザーはガラスを熱で溶融・蒸発させるため、熱が周囲に伝導します。DUVは高エネルギー光子によってシリコンと酸素の結合(Si–O結合)などを直接切断し、熱エネルギーに変換される前に材料を瞬間的に気化・飛散させます。

エネルギーが表面の極薄層に集中する

 DUV領域ではガラスの光吸収率が100%近くに達するため、光が内部へ透過せず、加工箇所の極表面層(数ナノ〜数十ナノメートル)だけで全エネルギーが吸収されます。内部のガラス(バルク)に熱が伝わりません。

DUVの高エネルギーが分子結合を直接切断し、極表面のみで吸収されるため、熱が発生・拡散しません。加工部にひび割れの原因となる局所的な熱膨張や急冷による「熱歪み(熱応力)」が生じないためです。

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