半導体パッケージ基板:コア層

半導体パッケージ基板のイメージ画像 半導体パッケージ基板

この記事で分かること

パッケージ基板のコア層とは

多層パッケージ基板の芯(土台)となる中央の構造体です。ガラス繊維入りの樹脂等で作られ、基板の機械的強度を保ち反りを防ぐとともに、貫通スルーホールを通じて表裏の配線を電気的に接続する役割を果たします。

BGAとCSPでのコア層の違い

BGAは大型・多層で強固な剛性が要るためコア層が厚く(約400~800µm)、主にエポキシ系が用いられます。CSPは薄型化重視のためコア層が薄く(約50~200µm)、BTレジン採用やコアレス化が進みます。

BGA基板のコア層を厚くする理由

シリコンチップとマザーボードの熱膨張差による基板の「反り」を物理的に抑え、はんだ剥離を防ぐためです。また、上下に積み上がる多層の薄膜ビルドアップ層や大型チップ、ヒートシンクを支える剛性を確保します。

半導体パッケージ基板:コア層

パッケージ基板とは、半導体チップ(ダイ)を載せ、マザーボードなどのメイン基板に接続するための中継基板のことです。半導体チップは非常に微細な端子を持ち、そのまま一般的なプリント基板(PCB)に直接実装することは極めて困難です。

 そこでチップとマザーボードの間に介在し、電気信号を橋渡しする役割を持つのがパッケージ基板です。

 従来の半導体の微細化による性能向上が限界に近づく中、半導体の先端パッケージング技術であるビルドアップ多層構造による高密度・微細配線が求められ、半導体性能向上の新たな競争軸となっています。

 前回はMR-MUFに使用される液状樹脂に関する記事でしたが、今回は半導体パッケージ基板のコア層に関する記事となります。

パッケージ基板のコア層とは何か

 パッケージ基板のコア層とは、多層基板の中央に配される「基板の芯(骨組み)」となる厚い構造体です。基板全体の物理的強度(剛性)を保つ土台として機能すると同時に、基板の表面と裏面を上下に貫通して電気的に繋ぐ役割を果たします。

コア層の主な役割

  • 機械的強度の保持(反り防止): 半導体チップや実装基板との熱膨張率(CTE)の差によって生じる、パッケージ全体の反りや歪みを物理的に抑え込みます。
  • 表裏の配線導通: コア層を貫通する孔(スルーホール)をドリル等で開け、壁面に銅めっきを施すことで、基板の表面側と裏面側の回路を接続します。
  • 積層のベース(土台): コア層の上下に、薄膜絶縁樹脂(ABFなど)と微細配線を何層も交互に重ねていく(ビルドアップ処理)際の起点となります。

コア層の基本構造と構成材料

  • 構造: ガラス繊維を織った布(ガラスクロス)に樹脂を含浸させた板の両面に、銅箔が貼り付けられた「銅張積層板(CCL)」がベースとなります。スルーホールの内部は、めっき後に絶縁樹脂(穴埋めインク)で補填されます。
  • 主な材料:
    • BTレジン(BT樹脂): モバイル向けCSPやメモリ用基板で主流。薄くても硬く、耐熱性に優れます。
    • 高Tgエポキシ樹脂: パソコンやサーバー向けのBGA基板等で多用。
    • ガラスコア材(次世代): 樹脂・ガラスクロスの代わりに「ガラス板」そのものをコア材として使う最新技術で、さらなる平坦性と超微細配線に対応します。

コア層の有無による分類

  • コアあり基板(従来型・標準型): コア層を中心に上下対称に配線層を積み上げる構造。強度が高く、多層化や大型パッケージに適します。
  • コアレス基板(Coreless): 物理的なコア層を取り払い、樹脂と配線層のみで構成する構造。貫通スルーホールが無くなるため配線距離が短くなり、薄型化・高速伝送化に貢献します。

多層パッケージ基板の芯(土台)となる中央の構造体です。ガラス繊維入りの樹脂等で作られ、基板の機械的強度を保ち反りを防ぐとともに、貫通スルーホールを通じて表裏の配線を電気的に接続する役割を果たします。

BGAとCSPでのコア層の違いは何か

 BGA(特にFC-BGA)とCSPのコア層における主な違いは、「基板の厚み(剛性要求)」「材料選択およびコアレス化の度合い」にあります。

項目BGA(主にFC-BGA / パソコン・サーバー用)CSP(FC-CSP / モバイル・メモリ用)
コア層の厚み厚い(約400〜800 µm)

大型チップや多層構造を支える剛性が必要。
極薄(約50〜200 µm)

パッケージ全体の薄型化(1 mm以下)を追求。
主な使用材料高Tgエポキシ樹脂・低CTE複合材

大型基板の反りを防ぐため、無機フィラーを高充填。次世代はガラスコア。
BTレジン(BT樹脂)

薄くても屈曲しにくく、高いTg(ガラス転移点)と低吸湿性を両立。
スルーホールメカニカルドリル主体

コアが厚いためドリル貫通孔(径100〜200 µm程度)が標準。
レーザー加工または小径ドリル

高密度化のため、スルーホール径およびピッチが極めて狭小。
コアレス化限定的

基板が大きく反りやすいため、コア層の排除は技術的ハードルが高い。
進んでいる

超薄型化・低インダクタンス化のため、コア層自体をなくした「コアレス基板」の採用が定着。

1. 「反り(ワープ)」対策のアプローチの違い

  • BGA: 基板サイズやチップサイズが大きいため、熱膨張の差による反りが深刻になります。そのため、コア層を厚く硬くすることで物理的に基板全体を歪ませない設計を取ります。
  • CSP: 薄型化が最優先されるためコア層を厚くできません。そのため、BTレジンのように「薄くても硬い材料」を選定したり、表面と裏面の銅箔・樹脂バランスを対称にして反りを打ち消す設計を行います。

2. 貫通配線(ビア/スルーホール)の密度

  • CSPはボールピッチ(端子間隔)が0.5 mm〜0.35 mm等と非常に狭いため、コア層を貫通するスルーホールも高密度に配置する必要があります。そのため、従来型のドリル加工ではなく、薄型コアにレーザーで極小ビアを開ける技術や、ビア内を銅で埋めるPOVF(Via in Pad)構造が多用されます。

3. コア層の排除(コアレス基板)

 スマートフォン用APなどで使われるCSPでは、ガラスクロスを含有するコア層そのものを無くし、樹脂膜と銅めっき配線だけで積層するコアレス基板(ETSなど)への移行が進んでいます。これにより、コア層の厚み分を完全に削減できます。

BGAは大型で高い剛性が要るため厚いコア層(約400〜800µm)で反りを抑えます。一方、CSPは小型・薄型化重視のためコア層が薄く(約50〜200µm)、BTレジン採用やコアレス化が進んでいます。

なぜBGA基板のコア層は厚くする必要があるのか

 BGA基板(特にパソコンやサーバー、AIプロセッサに使われるFC-BGA)のコア層を厚くする理由は、「熱収縮による基板の反り(Warpage)を抑えること」「多層ビルドアップ構造を支える強度の確保」にあります。

主な4つの理由

1. 熱膨張率(CTE)の差による「反り」の物理的抑制

  • 材料間の膨張差: 上に載るシリコンチップ(CTE: 約2.6〜3 ppm/K)と、下に接続されるマザーボード(CTE: 約14〜17 ppm/K)の間で熱膨張のスピードが大きく異なります。
  • 破断防止: 製造時の加熱(リフロー炉で約260℃)や稼働時の発熱により、基板に強大な歪みが生じます。ガラスクロスを含んだ厚く頑丈なコア層が「骨組み」として突っ張ることで、基板が弓なりに反るのを物理的に防ぎ、はんだボールの剥離や亀裂を防ぎます。

2. 多層ビルドアップ層(10〜20層超)の構造保持

  • 薄膜層の歪み吸収: 高性能BGAでは、コア層の上下に薄い絶縁フィルム(ABF)と微細銅配線を何重にも積み上げます(例: 7層+コア+7層など)。
  • 剛性の補強: ABFなどの樹脂膜は薄く柔らかいため、中心に十分な厚みと剛性を持つコア層がなければ、配線層同士の引っ張り合いや内部ストレスによって基板全体が歪んでしまいます。

3. 大型チップおよびヒートシンクの重量保持

  • 物理的耐荷重: AI半導体などのFC-BGAは、基板サイズが50mm〜100mm角以上に大型化し、複数のチップ(Chiplet)やHBMが混載されます。
  • 加圧対策: 上から大型の金属ヒートシンクを強力に圧着するため、基板自体にたわまない機械的強度が不可欠です。

4. 高安定な電源・グランド(GND)網の形成

  • 電気的安定性: 厚みがあるコア層の内部配線や貫通スルーホール(PTH)は、大電流を流す電源層・接地層として活用されます。太い導体を確保できるため、電圧降下(IRドロップ)やノイズを抑える役割も果たします。

シリコンチップとマザーボードの熱膨張差による基板の「反り」を物理的に抑え、はんだ剥離を防ぐためです。また、上下に積み上がる多層の薄膜ビルドアップ層や大型チップ、ヒートシンクを支える剛性を確保します。

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