思いつきを価値あるアウトプットに変える思考の手順　田中耕比古　要約

本の概要

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本の要約

考えることはなにか、考えの質を高めるにはどうすればよいのか

　考えるとは漠然と思うのではなく、目的があり、その目的のために自分の持つ知識を用いて達成を目指すことです。

　考えたことは自分の中で完結させるのではなく、社会や組織などにアウトプットすることで価値が生み出されます。　

　高い価値を持つ考えを生むには、考えることの質を高める必要があり、それを可能にするのが、思考の手順です。

　アイデアが浮かんでも漠然と思っているだけでは、周囲に理解されず価値を生みませんが、思考の手順で良い考えにすることができれば周囲に理解され、価値を生むことになります。

考える手順とは何か

　頭に浮かんだアイデアを相手に伝えるには、様々な検証を行う必要があります。

　また、検証を行うためには、情報が必要です。考えるとは集めた情報をもとに、それらを組み合わせながら目的達成のために思考を積み重ねていく作業になります。

　思考を積み重なるとは、自分の中で浮かんでくる疑問に答えることで行われます。アイデア→アイデアの疑問や突っ込みどころを探す→疑問に答える→新たな疑問を思いつく→疑問に答える…というループが考えることであり、このループがアウトプットの質を高めていきます。

　考える手順に従うことは時間や手間がかかりますが、慣れることで短い時間できるようになります。

考える手順に具体的な方法は何か

　実際の考える手順は以下の通りです。

着想：アイデアを出す、思いつく

↓

具体化：言語化する

↓

構造化：情報を整理する、関係性を理解する

↓

情報補完：足りない情報を集める

↓

取捨選択：優先順位を付け、不要な情報を捨てる

　この手順を踏むことで、思いつきは吟味を重ねた思考結果になっていきます。

具体化、構造化とは何か

　情報の具体化は頭にあるイメージを言語化していく作業です。

　この段階では調べるのではなく、頭の中にある言語化して知識を外にだすことが目的です。可能であれば、事実と想像を分けて言語化しておくとやりやすくなります。

　構造化は情報を整理する作業です。

　情報同士の関係性（似ているのか、相反するのか、前後関係など）を明らかにすることで、情報を体系的に整理し、構造化することが可能です。

　具体化と構造化は一方通行ではなく、構造化した後に、再び具体化してことも有効です。この手順で思いつきの中で本当に自分がやりたいこと目指したいことが明らかになっていきます。

情報補完、取捨選択とはどんな手順なのか

　具体化と構造化でぼんやりとした思いつきをクリアにすることで、足りない情報や発想の幅の狭さに気づきくことができます。

　足りない情報を集める作業が情報補完ですが、どれだけ柔軟に考えようとしても、個人の癖がでてしまい、もれなく情報を集めることは難しくなります。　

　足りない情報を漏れなく集めるためには、フレームワークが便利です。

　時系列に情報をまとめたり、フローチャートにしたり、３Cや4Pのようのフレームワークで情報の分類を行うことで、考えの癖にとらわれずに、情報を漏れなく集めることができるようになります。

　情報を漏れなく集めた後は、優先順位をつけ、いらない情報を捨てることで、より本筋が見えやすくなります。

必要な情報だけに減らすことで、言いたいことがクリアに伝わるようになります。

考えを研ぎすますために必要なことは何か

　考えることは、情報を積み重ねる作業であり、その大半は自分の内面と語り合う作業になります。

　何を考えているかを明らかにし、それを研ぎ澄ましていくには、客観視することが大切です。一生懸命考えたからという気持ちを抑え、他人が作った資料とし読むことで、客観視しやすくなります。

　思考を客観視するための技術には以下のようなものがあります。

技術	効果	方法
言語化	思いを言葉の形にし、思考に昇華する	思考を高速で吐き出し記録し、書かれた内容をみて浮かんだことを書き出す
図示	図にすることで関係性などがわかりやすくなる	グループ分け、対立関係、ペン図、フローチャートを作成する

　思考を高速で吐き出す記録は、整理するためのメモはフロー型のメモであり、自分だけに理解できればよく、取っておく必要もありませんが、思考の整理がうまくいったときの言葉や図はストック型のメモとして残しておくと、誰かに説明する際に転用できることがあります。

　言語化や図示には自分の思考を具体化し、客観視しやすくなる利点もあります。

考える速度を上げるにはどうすればよいのか

　思考法や考える技術によって、考える速度を上げることも可能になります。

　自分の論理的な思考パターン理解することが考える速度を上げるには有効です。

　順序立てて捉える→原因と結果を紐づけて整理→理由を類推解釈し、筋道を立てるというプロセスを踏むことを意識すると、自分の論理的思考パターンが理解できます。

　論理思考パターンを理解し、多くの事例から具体例のエッセンスを抜き出しておくと新しい事例について考える際にパターンに当てはめることができ、結論に至る速度をあげることができます。

思考を価値に変えるにはどうすればよいのか

　自分の中で考えたことをアウトプットすることで、思考を価値あるものに変えることができます。

　そのため、人に考えを伝えることも非常に重要なことになり、その際には以下のようなことに気を付ける必要があります。

ひとりよがりにならない

自分が言いたいことではなく、相手が求めるものを理解し、伝えることが大切です。

ホウレンソウ

報連相を行うことで、相手との信頼関係を築き、意見をもらうことで思考を深めることが可能です。

説得ではなく、納得してもらう

　相手と自分の考えを同じにすることが伝える目的ではありません。考えを理解してもらい、同じ方向を向くことが目的です。自分の考えに共感してもらうのではなく、理解してもらうことを目指すことを伝えることにするべきです。

　情報があふれる社会では、考える技術で情報い向き合う必要があります。考える技術がなければ、情報に踊らされてしまうことになります。

　考えることは未知のものに向き合い、より良い選択をするために非常に有効なツールで、考える技術には人生を豊かにする効果もあります。