半導体装置市場、2026年は23%成長と予測

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この記事で分かること

1. 伸びが大きいと予測される装置

成長率ではAIやHBM向けのテスト・先進パッケージング装置が突出しています。金額ベースでは、最先端2nmや先端メモリの量産に不可欠なEUV露光、成膜、エッチングなどの前工程装置が、市場規模を大きく牽引します。

2. アセンブリ・パッケージングに必要な装置

薄化用のグラインダー、切り出し用のダイサー、接合用のダイボンダーやワイヤーボンダー、樹脂封止装置が基本です。先端パッケージでは、超精密に積層・接合するTCBやハイブリッドボンダーが不可欠です。

3. 成長が続くとされる理由

生成AIの実需移行によるデータセンター投資の本格化、2nmやHBMといった超高難度な先端技術への転換に伴う装置の高度化・高額化、さらに日米欧など世界的な国策工場建設ラッシュが重なっているためです。

半導体装置市場、2026年は23%成長と予測

 SEMI(国際半導体産業協会)が最新の「2026年央半導体製造装置市場予測」を発表しました。その中で、2026年の世界半導体製造装置販売額は前年比23.2%増の1,659億ドル(約26.9兆円)に達すると予測されています

 これは、従来の予測を大幅に塗り替える驚異的な上方修正です。生成AI向けのインフラ投資が「一時的なブーム(期待期)」を脱し、工場建設や具体的な装置発注を伴う「実体投資(本格的な設備導入期)」へ完全に移行したことを示しています。

 先端メモリやアドバンスド・パッケージング(後工程)では、シリコン貫通電極(TSV)の内部に金属を充填する「電気めっき装置(ECD:Nokota VMaxなど)」や、保護膜や絶縁膜を精密に生成する「プラズマCVD装置(PECVD:Producer Avilaなど)」が、歩留まり向上において極めて重要な役割を果たしています。

 今回のSEMIの発表でも、これら後工程向け装置やテスト装置の予測値が大きく上方修正されました。

どんな装置の成長が大きいと予測されているのか

 2026年7月にSEMI(国際半導体産業協会)が発表した最新データによると、半導体製造装置市場の中で特に成長率が目立つのは「後工程(テスト装置およびパッケージング装置)」です。

 市場規模としては「前工程(ウェーハファブ装置:WFE)」が圧倒的ですが、伸び率の高さにおいて後工程の勢いが際立っています。

1. 伸び率で突出する「後工程装置」

 AIチップやHBM(高帯域幅メモリ)は、複数のチップを複雑に積み重ねて1つにパッケージングするため、製造の難易度が極めて高くなっています。このため、正常に動作するかを確かめる「テスト」や、精密に組み立てる「パッケージング」の装置需要が爆発しています。

  • テスト(検査)装置:前年比約31%増(153億ドル)最も高い成長率を記録しているのがテスト装置です。AI半導体は少しの欠陥も許されないため、出荷前の検査工程が従来の製品よりも大幅に増えており、テスターの増設が急ピッチで進んでいます。
  • アセンブリ・パッケージング(組立・包装)装置:20%台半ばの急成長TSMCの「CoWoS」に代表される、チップ同士を頭脳のように並べて繋ぐ「先進パッケージング(Advanced Packaging)」向けの装置が市場を牽引しています。

2. 金額ベースで市場を支える「前工程(WFE)装置」

 前工程装置(WFE)の市場規模自体も、2026年には1,439億ドル(約23.3兆円)へと大きく拡大します。特に以下の2つの用途向けの装置が争奪戦となっています。

  • 先端DRAM・HBM向け装置AIサーバーの普及でHBMの需要が供給を遥かに上回っており、DRAMメーカー各社が生産ラインのアップグレードを急いでいます。これに伴い、シリコンに微細な穴をあけて電極を通すための特殊な成膜装置や、超精密な洗浄装置の導入が進んでいます。
  • 先端ロジック(2nm/3nm)向け装置ファウンドリ(受託製造企業)が2nmプロセスの量産開始(GAA構造への移行)に向けて投資を加速させています。これにより、オランダASMLの「EUV(極端紫外線)露光装置」や、数原子レベルの薄膜をコントロールする成膜装置(ALDなど)、そして超微細なパターンを削り出すドライエッチング装置の需要が最高潮に達しています。

 成長の「額」が最も大きいのは、最先端の回路を描く「露光・成膜・エッチングなどの前工程装置」ですが、AI半導体特有のボトルネックを解消するために、成長の「率」において「テスト・パッケージングなどの後工程装置」がかつてない主役に躍り出ています。

成長率ではAIやHBM向けの「テスト・先進パッケージング装置」が突出。金額ベースでは、最先端ロジック(2nm)やHBM製造に不可欠なEUV露光、成膜、エッチングなどの前工程装置が大きく牽引します。

アセンブリ・パッケージングにはどんな装置が必要なのか

 半導体のパッケージング(後工程)は、大きく分けて「従来のパッケージ(レガシー)」と、AI半導体やHBM(高帯域幅メモリ)に使われる「先端パッケージ(アドバンスドパッケージ)」の2つに分類され、それぞれ必要な装置が異なります。

1. 従来のパッケージングに必要な装置

 チップを1つずつプラスチックのケースに収め、基板とワイヤーでつなぐ一般的な工程です。

  • バックグラインド装置ウェーハの裏面を削り、チップを極限まで薄くする装置です。
  • ダイシング装置薄くしたウェーハをブレード(刃)やレーザーでカットし、個々のチップ(ダイ)に切り分ける装置です。
  • ダイボンディング装置切り分けたチップを、パッケージの基板やリードフレームの上に接着(固定)する装置です。
  • ワイヤーボンディング装置チップの電極と基板の端子を、金や銅などの極細の金属線(ワイヤー)でつないで電気を通す装置です。
  • モールディング装置熱や衝撃、湿気からチップを守るため、エポキシ樹脂(プラスチック)で包み込んで固める装置です。

2. 先端パッケージング(CoWoSやHBM等)に必要な装置

 AI用の高性能チップやHBMなど、複数のチップを「超高密度・超高速」でつなぐために使われる先端装置です。

  • フリップチップ / TCB(熱圧着)ボンダーワイヤーを使わず、チップの裏面に並んだ極小の「金属バンプ(突起)」を熱と圧力で直接基板に押し当てて接合する装置です。HBMを多層に積み重ねる工程で大活躍しています。
  • ハイブリッドボンダーバンプ(突起)すら使わず、銅(Cu)の配線同士を分子レベルで直接ピタッと接合する超先端の装置です。次世代の「HBM4」などの製造で主役となっています。
  • 仮貼り・剥離(TBDB)装置超極薄のウェーハが製造中に割れないよう、一時的にサポート用のガラス基板などに貼り付け、配線処理などが終わった後にきれいに剥がす装置です。
  • めっき(ECD)装置・CMP(平坦化)装置チップ同士をつなぐ微細な配線(RDL)や、シリコンを貫通する垂直の電極(TSV)を作るために、金属を均一にめっきし、表面をナノレベルで平らに磨き上げる前工程に近い装置です。

薄化用のグラインダー、切り出し用のダイサー、接合用のダイボンダーやワイヤーボンダー、樹脂封止装置が基本です。先端パッケージでは、超精密に積層・接合するTCBやハイブリッドボンダーが不可欠です。

なぜ成長が続くとされるのか

 半導体装置市場がこれほど長期にわたって(2028年まで5年連続で)成長し続けるとされる背景には、従来の「PCやスマホの売れ行きで浮き沈みするシリコンサイクル」から脱却し、市場の構造(パラダイム)そのものが変化したことがあります。

1. AIインフラ投資の「本格的な実需期」への移行

 生成AIの需要が一時的な流行から「社会インフラの整備」へと完全に移行しました。

 巨大テック企業による超大型データセンターの建設が続いており、これを動かす高性能AIチップ(GPUやアクセラレータ)の需要が中長期で底上げされています。

2. 難易度が跳ね上がった「技術転換期」の到来

 今回の投資は、単に「同じチップを増産する」ためではありません。

  • ロジック: 2nmプロセスから採用される新構造「GAA(Gate-All-Around)」への移行
  • メモリ: 超高速DRAMを積層する「HBM(高帯域幅メモリ)」や「3D NAND」の多層化これらの超高難度な構造を作るには、高額な最新鋭の製造装置(EUV露光、ALD成膜、微細エッチングなど)が丸ごと必要になるため、投資額が必然的に跳ね上がります。

3. パッケージング(後工程)への投資拡大

 チップ単体の微細化が物理的な限界に近づく中、複数のチップを縦横に高密度でつなぐ「先進パッケージング技術(3D積層やCoWoS)」が性能向上の鍵を握るようになりました。

 これまで投資比率の低かった後工程の装置やテスターに、前工程並みの巨大な資金が流れ込み、市場全体の成長を強力に後押ししています。

4. 国策による「地域分散型」の重複投資(地政学的要因)

 米国のCHIPS法や、日本(ラピダスやTSMC熊本)、欧州、インドなどの政府による莫大な補助金により、世界中で「先端ファブ(工場)」の建設が同時並行で進んでいます。

 地政学リスクへの備え(自国内でのサプライチェーン確保)という政治的背景が、市場原理を超えた製造装置の需要を世界的に創り出しています。

 「AI社会インフラの構築」「超高難度な新技術(GAA/HBM)への移行」「世界同時並行の国策工場建設」という3つの巨大な波が重なっているため、成長が途切れずに続くと予測されています。

生成AIの実需移行によるデータセンター投資の本格化、2nmやHBMといった超高難度な先端技術への転換に伴う装置の高度化・高額化、さらに日米欧など世界的な国策工場建設ラッシュが重なっているためです。

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