半導体パッケージ基板:TCB装置 2

半導体パッケージ基板のイメージ画像 半導体パッケージ基板

この記事で分かること

HANMI Semiconductorの特徴

HBMのDRAM多層積層に特化し、SKハイニックス等と提携して急成長。複数ヘッドによる高スループットと、極薄チップの損傷を防ぐ精密制御が強みで、高コスト技術を使わずHBM4まで高歩留まりで対応します。

反りや割れが発生する理由

シリコンと金属・樹脂等の熱膨張係数差による熱ストレスに加え、積層化に伴いチップが極限まで薄化(数十μm)され物理的剛性が激減しているためです。加圧時の傾きによる局所的な応力集中も割れの原因となります。

精密荷重・温度制御の仕組み

VCMとロードセルによるリアルタイムフィードバックで衝撃を抑える動的加圧を行い、高速パルスヒーターと上下独立のPID温調で急昇降温と均一加熱を実現。薄型ダイの破損や反りを防ぎつつ精密に圧着します。

半導体パッケージ基板:TCB装置 2

 パッケージ基板とは、半導体チップ(ダイ)を載せ、マザーボードなどのメイン基板に接続するための中継基板のことです。半導体チップは非常に微細な端子を持ち、そのまま一般的なプリント基板(PCB)に直接実装することは極めて困難です。

 そこでチップとマザーボードの間に介在し、電気信号を橋渡しする役割を持つのがパッケージ基板です。

 従来の半導体の微細化による性能向上が限界に近づく中、半導体の先端パッケージング技術であるビルドアップ多層構造による高密度・微細配線が求められ、半導体性能向上の新たな競争軸となっています。

 前回はTCB装置メーカー、特に大手メーカーの特徴に関する記事でしたが、今回はHBMの増加で大きく成長したHANMI Semiconductorに関する記事となります。

HANMI Semiconductorの特徴は何か

 HANMI Semiconductor(ハンミ半導体)のTCB装置の特徴と、HBM(高帯域幅メモリ)市場の急増に伴い同社が急成長している理由は以下の通りです。

1. HANMIのTCB装置(DUAL TC BONDER)の特徴

 HANMIは主にDRAMダイをTSV(シリコン貫通ビア)技術で多層積層するHBMプロセスに特化したTCB装置(「DUAL TC BONDER GRIFFIN」「TIGER」「TC BONDER 4」など)を展開しています。

  • 複数ヘッド(デュアルヘッド等)による高い生産性(スループット)
    • 複数のボンディングヘッドを並列駆動させることで、積層枚数が多いHBM製造において高い処理速度を実現しています。
  • 極薄ダイの割れ・反りを防ぐ精密荷重・温度制御
    • 数十ミクロン単位まで薄化したDRAMチップを8層~16層と重ね合わせる際、チップの破損や歪みを防ぐ繊細な荷重プロファイルと高精度アライメントを備えます。
  • TCB技術の限界拡張(HBM4対応力)
    • 高額なハイブリッドボンディングへ移行せずとも、既存TCBの精度と剛性を極限まで高めることで、最新のHBM4(16層積層等)まで低コスト・高歩留まりで対応できる装置構造を確立しています。

2. なぜHBMの増加で爆発的に成長しているのか

① 主力サプライヤー(SKハイニックス等)との強力な専属・パートナーシップ

 HBM市場で先行するSKハイニックスなどに対し、長年にわたりHBM専用TCBを共同開発・供給してきました。HBM用TCB領域で圧倒的なシェアを確保し、「デファクトスタンダード(事実上の標準機)」の位置を固めました。

② HBMの「高層化(8層→12層→16層)」による必要台数の掛け算的な増加

 AI向けGPU(NVIDIA製など)の需要急拡大により、HBMの生産量が激増しました。さらにHBM1個あたりの積層数が8層から12層・16層へと増えるほど、1個のHBMを作るために必要なTCB圧着プロセス回数(圧着数)が跳ね上がるため、装置需要が爆発的に伸びました。

③ 圧倒的な先行者利益と参入障壁

 薄いメモリダイを高精度かつハイスピードで何層も重ねるノウハウは非常に難易度が高く、同社が特有の特許網と実績で競合の新規参入を抑え込んだことで、需要増の波を独占的に享受できました。

複数ヘッドによる高い生産性と、極薄DRAMの割れを防ぐ精密制御が特徴です。SKハイニックス等と強固に連携し、AI向けHBMの需要急増と積層数の増加(高層化)に伴うTCB需要の爆発を捉えて急成長しました。

チップを重ね合わせる際に反りや割れが発生するのはなぜか

 チップ積層時に反り(Warpage)や割れ(Cracking)が発生する主な理由は、「構成部材の熱伸縮差」「チップの超薄型化による物理的強度の低下」です。

1. 熱膨張係数(CTE)のミスマッチ

  • 異種材料の伸縮差: シリコンダイ(約2.6 ppm/K)、接続用はんだ/Cuバンプ(約16-17 ppm/K)、樹脂(NCF/アンダーフィル)、基板はそれぞれ熱膨張率が大きく異なります。
  • 熱ストレスの発生: 熱圧着(TCB)の加熱・冷却プロセスにおいて、各部材が異なる割合で伸び縮みするため、接合面にバイメタルのような強い引き張り・圧縮応力が生じてチップ全体が反り返ります。

2. チップの超薄型化による剛性低下

  • HBMなどの多層積層では、全高制限を満たすためにシリコンダイを30〜50μm(髪の毛の太さ以下)まで極限に薄く研削しています。
  • 薄化されたシリコンは可撓性(曲がりやすさ)が増す一方で、曲げ剛性が激減するため、上記の熱ストレスや微小な外力によって容易に反りが発生し、応力が限界を超えると一気に割れてしまいます。

3. 圧着時の加重ムラ・傾き(応力集中)

  • ボンディングヘッドやステージの水平度(チルト)に数十ナノ〜ミクロン単位の微小な傾きがあると、加圧時にチップの角や特定のバンプへ偏った物理的圧力が集中し、割れ(クラック)の起点となります。

4. TSV(シリコン貫通ビア)周辺の局所応力

  • シリコン内部を貫通する銅(Cu)ピラーはシリコンの約6倍熱膨張するため、加熱時に周囲のシリコンを内側から強く押し圧迫します。これがチップ内部の欠陥や割れにつながります。

 こうした反りや割れを防ぐため、TCB装置では加圧時のチルト制御や精密な温調プロファイルが不可欠となります。

シリコンと金属・樹脂等の熱膨張係数差による熱ストレスに加え、積層化に伴いチップが極限まで薄化(数十μm)され物理的剛性が激減しているためです。加圧時の傾きによる局所的な応力集中も割れの原因となります。

どのように精密荷重・温度制御をしているのか

 HANMI SemiconductorのTCBは、ボイスコイルモータ(VCM)と精密ロードセルによる「リアルタイム荷重フィードバック」およびパルスヒーターを用いた「高速閉ループ温度制御」を組み合わせることで、数十μmの超薄型DRAMダイを破損させずに精密に接合しています。

1. 精密荷重(フォース)制御の仕組み

  • ボイスコイルモータ(VCM)と高精度ロードセルヘッドの垂直駆動に摩擦の少ないVCMを採用し、先端の極小ロードセル(荷重センサー)が接触力をリアルタイム検出します。数ニュートン(N)単位の微小な加重から数百Nの高荷重までをミリ秒単位で閉ループ制御します。
  • 段階的な荷重プロファイル(Dynamic Force Profile)チップが接触する瞬間(Touch Down)は衝撃を防ぐために超低荷重でアプローチし、はんだ溶融・圧着時には段階的に圧力を高める動的プロファイル制御を行い、薄型ダイのクラック(割れ)を防ぎます。

2. 精密温度制御(サーマルマネジメント)の仕組み

  • 高速温調パルスヒーター(セラミック等)ボンディングヘッド先端に高応答なヒーターを組み込み、はんだの溶融点に合わせて数秒間で急昇温・急速冷却を行うことで、熱ストレスの周囲拡散を抑えます。
  • ヘッド&チャックテーブルのW(ダブル)温度制御チップを掴む「ヘッド側」とウェハ/基板を載せる「チャック側」の両方に独立したPID温調システムを搭載。接合面全体で熱勾配を均一に保ち、不均一な熱膨張によるバンプの接触不良を防ぎます。

3. 制御を支える高剛性・防振構造

  • 超高剛性フレーム構造(Super Iron Casting) 高荷重・高加熱の動作時でもフレーム自体の歪みや微振動を極限まで抑える鋳造ボディを採用。荷重と熱が逃げずにすべて接合面に均一に伝わる機構設計がなされています。

 これらの機構が連携し、HBMの8層〜16層といった高層積層において、ダイの割れや反りを抑えながら均一な接合を実現しています。

VCMとロードセルによるリアルタイムフィードバックで衝撃を抑える動的加圧を行い、高速パルスヒーターと上下独立のPID温調で急昇降温と均一な熱伝導を実現。薄型ダイの破損や反りを防ぎつつ精密に圧着します。

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