半導体パッケージ基板:レーザービア加工機

半導体パッケージ基板のイメージ画像 半導体パッケージ基板

この記事で分かること

半導体パッケージ基板:レーザービア加工機

 パッケージ基板とは、半導体チップ(ダイ)を載せ、マザーボードなどのメイン基板に接続するための中継基板のことです。半導体チップは非常に微細な端子を持ち、そのまま一般的なプリント基板(PCB)に直接実装することは極めて困難です。

 そこでチップとマザーボードの間に介在し、電気信号を橋渡しする役割を持つのがパッケージ基板です。

 従来の半導体の微細化による性能向上が限界に近づく中、半導体の先端パッケージング技術であるビルドアップ多層構造による高密度・微細配線が求められ、半導体性能向上の新たな競争軸となっています。

 前回は穴あけのメカニズムや前処理に関する記事でしたが、今回はCO2レーザービア加工機の有力メーカーである、三菱電機とビアメカニクスの装置に関する記事となります。

三菱電機のレーザービア加工機の特徴は何か

 三菱電機の基板穴あけ用CO2レーザー加工機(GTWシリーズなど)が世界シェアNo.1を維持している理由は、「主要部品の完全内製化」「圧倒的な高スループット(高速打孔性能)」にあります。

主な5つの特徴

穴あけ不良の自動検出や、工場データ連携(OPC規格)によるスマートファクトリー化・品質追跡(トレーサビリティ)を実現しています。

主要キーパーツの完全内製化(オール三菱)

 レーザー発振器、高速ガルバノスキャナ、fθ(エフ・シータ)レンズ、NC制御装置に至るまで、すべてのキーコンポーネントを自社開発・製造しています。

 光学系と駆動制御の同期精度が極めて高く、トラブル時のサポートやメンテナンスの迅速さにも強みがあります。

高ピーク・短パルス発振器技術

 照射時間を極小(短パルス化)にしつつ、高エネルギー(高ピーク出力)を一気に叩き込む発振器(ML5500シリーズ等)を採用しています。

 これにより、ABFやガラスエポキシ樹脂への熱伝導を最小限に抑え、熱による変形や焦げ(炭化)を防ぎながら綺麗な穴を形成します。

超高速ガルバノスキャナとマルチビーム(4ビーム)加工

 自社製の超高速ガルバノミラー制御により、1秒間に数千〜1万穴以上の超高速打孔を実現します。

 1台の装置で複数(2ビーム〜4ビーム)のレーザー光を分光して同時照射する光学系を備え、大量のビアホールを短時間で開ける圧倒的な生産性を誇ります。

銅ダイレクト加工への高い対応力

 独自のパルス制御と高品質なfθレンズ群により、樹脂ダイレクト加工だけでなく、本来赤外線を反射する銅箔を一括で貫通する「銅ダイレクト加工」や、30μmクラスの微細ビア加工まで柔軟に対応可能です。

1パルスごとのリアルタイムエネルギー監視

 加工するすべての穴に対して、照射されたレーザーのパルスエネルギーを1穴ずつリアルタイムで測定・監視する機能を標準搭載しています。

発振器やガルバノスキャナ等の主要部品を内製化し高い制御精度を誇ります。高ピーク・短パルス制御で熱影響を抑えつつ、多ビームと超高速スキャンによる圧倒的な処理速度(高スループット)と安定品質を実現します。

ビアメカニクスのビアメカニクスの特徴は何か

 ビアメカニクス(旧・日立ビアメカニクス)は、特にAIサーバーや高性能GPU向けのハイエンドFC-BGAパッケージ基板や超高多層基板の加工において絶大な信頼とシェアを持つレーザー・ドリル加工機メーカーです。

主な特徴

ハイエンドFC-BGA領域における圧倒的な強み

 大型化・多層化(20層以上)が進む最高難度のFC-BGA基板加工に特化しており、大手半導体パッケージメーカーから高い支持を得ています。

極限の加工精度とアライメント技術

 熱による基板の歪みや層間の微少な位置ズレをリアルタイムで高精度に補正するアライメント技術や、下層の銅箔を傷つけずに深さを一定に保つ高いエネルギー制御技術を備えています。

メカニカルドリル(機械穴あけ)との両立

 レーザー加工機だけでなく、小径メカニカルドリル穴あけ機でも世界トップクラスのシェアを誇ります。基板の「大径〜小径のメカ穴」から「微細レーザービア」まで、穴あけ工程全体のトータルソリューションを提供できます。

次世代基板(ガラスコア・TGV)への先行対応

 次世代の半導体パッケージとして期待されるガラス基板(TGV: Through Glass Via)向けのレーザー加工・改質技術など、先進プロセス向けの装置開発でも業界をリードしています。

AIサーバー向け等のハイエンドFC-BGA基板に強みを持ちます。歪みに応じた高精度アライメントや深さ制御技術に優れ、超多層・微細ビアの高品質加工を実現。機械ドリル領域でも高い実績を誇ります。

両社の性能、技術的な違いは何か

比較項目三菱電機(MITSUBISHI ELECTRIC)ビアメカニクス(Via Mechanics)
得意とする基板領域HDI基板、車載・汎用BGA、FC-CSP(高スループット・量産重視)大型・超多層ハイエンドFC-BGA(AIサーバー・GPU向け高難度基板)
技術アプローチ完全自社内製化による圧倒的な加工速度と生産性の極大化高度な位置補正・エネルギー制御による極限の加工精度追求
コアコンポーネント発振器・ガルバノスキャナ・レンズ・NC制御を完全内製(オール三菱)高精度光学系・高応答アライメントカメラ・メカドリル複合ノウハウ
加工性能の強み4ビーム同時照射、毎秒1万穴クラスの超高速打孔、1穴ごとの全数エネルギー監視20層超の超多層基板における熱歪み追従補正、高アスペクト比ビア制御
次世代展開自動化・スマートファクトリー対応(OPC規格)、安定品質の大量生産ガラスコア基板(TGV)向け改質レーザー、超微細加工への先行的対応

技術アプローチと強みの違い

ビアメカニクス:最先端FC-BGAや超多層基板における極限精度の追求

 AIプロセッサやハイエンドサーバーに使われるFC-BGA基板は、基板サイズが大きく20層を超える超多層構造となるため、製造工程での熱歪みが大きくなります。 

 ビアメカニクスは、個体ごとの歪みをリアルタイムで計算・補正するアライメント技術や、下層の銅フット(底面)を傷つけずに樹脂だけを正確に除去するエネルギー制御に特化しており、「難易度が非常に高い最先端基板」の領域で大手パッケージメーカーから絶大な信頼を得ています。

三菱電機:量産性と圧倒的スループットでHDI〜標準パッケージを席巻

 すべてのキーパーツを自社開発している強みを活かし、光学系と駆動制御を極限まで同調させています。

 短パルス・高ピークのレーザーを高スキャン速度で照射することで、熱影響を抑えたまま爆発的な加工スピードを実現します。

 スマートフォン向けHDI基板や車載用基板、標準的なFC-CSPなど、「大量の穴を短時間で正確に開ける」ことが求められる市場で圧倒的なシェア(過半数)を誇ります。

三菱電機は主要部品の内製化による超高速スループットに強み、HDIや標準パッケージの量産を主導します。対するビアメカニクスは高度な補正・制御技術を強みに、AI向け等の最先端・超多層FC-BGAで強みを発揮します。

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