日東精工の精密ねじ

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この記事で分かること

精密ねじと通常のねじの違い

主に呼び径M2以下の極小サイズで、ミクロン単位の厳格な精度管理が特徴です。通常のねじ(M3以上)と異なり、スマホや車載基板など高度な小型化・薄型化が求められる精密機器に使用されます。

日東精工の精密ねじの特徴

極小・極薄頭技術に加え、断面がおむすび形状で高い緩み止め効果を持つ独自ネジを展開。自社製自動ねじ締め機に対応したトラブルを起こしにくい形状設計と厳格な画像全数選別により、高品質を誇ります。

データセンターでの精密ねじの用途

サーバー内のGPUや電子基板の固定、ストレージの組み込み、薄型筐体の締結に使用されます。強力なファンの振動対策や、ねじ込み時の微小な切粉による基板ショート防止など高い信頼性が求められます。

日東精工の精密ねじ

 日東精工が発表した2026年12月期第2四半期決算(1〜6月)は、インド市場での事業拡大や主力のファスナー事業の需要回復が牽引し、大幅な増益を達成しました。

 自動車向けをはじめ、ゲーム機や生成AI向けデータセンター関連サーバー機器への精密ねじ需要が堅調に推移し、全体の利益を大きく押し上げました。

どんな製品が好調だったのか

 日東精工の1〜6月期(中間決算)において、業績を強力に牽引したのは主力のファスナー(工業用ねじ・締結部品)および産機(自動組立機械)分野の製品です。

好調だった主な製品と背景

  • 自動車・電装向け精密ねじ・ボルト(ファスナー事業)
    • 自動車生産の回復に加え、EV化やADAS(先進運転支援システム)搭載の進展に伴い、車載電子基板や電装部品向けの精密ねじ・締結部品の需要が増加しました。
  • インド市場向け特殊冷間圧造部品(ファスナー事業)
    • 現地子会社(Vulcan社など)を通じて供給する、自動車やインフラ設備向けの特殊冷間圧造部品(切削加工を代替する高強度・複雑形状のパーツ)の販売が大幅に伸長しました。
  • 自動ねじ締め機・組立ロボット(産機事業)
    • 製造現場における人手不足解消や省力化投資を背景に、産業用自動ねじ締め機やねじ締めロボットユニットが好調に推移しました。
  • データセンター・AIサーバー向け組込用装置(産機事業)
    • 生成AIやクラウド需要に伴うデータセンター投資の活発化を受け、サーバー機器や電子筐体の組み立てに使われるねじ締め装置・アセンブリ機器の需要を取り込みました。
  • 流量計・各種計測システム(制御システム事業)
    • 工場設備やエネルギー関連プラント向けの各種流量計などの産業用計測機器が底堅く推移しました。

 部品である「ねじ(ファスナー)」そのものに加え、それを自動で組み立てる「ねじ締め機器」の双方が、自動車の電装化や新興国(インド等)の需要を捉えたことが業績拡大に寄与しています。

インドでのM&A効果による現地自動車向けの冷間圧造部品に加え、ゲーム機向けの精密ねじ、データセンター(生成AI)向けの部品や自動ねじ締め機など、主力のファスナー(ねじ)や産機事業の製品が業績を牽引しました。

精密ねじと通常のねじの違いは何か

 精密ねじ(マイクロスクリュー)と通常のねじの根本的な違いは、「サイズ(ねじ径)」「要求される寸法公差(精度)」にあります。

比較項目精密ねじ通常のねじ(一般小ねじ・ボルト)
ねじ径(呼び径)主に M2.0以下(M0.6〜M2.0程度)主に M3.0以上(M3〜M10以上)
寸法精度(公差)ミクロン(µm)単位の厳格な管理0.1mm〜数ミリ単位の許容差
主な用途スマホ、カメラ、眼鏡、腕時計、車載基板家電、家具、自動車骨格、建築資材
品質・検査体制光学選別機による全数検査・異物管理標準的な自動生産・抜取検査

精密ねじの主な特徴

  • 「0番小ねじ」などの精密規格JIS規格などで「精密機器用(旧カメラ用)小ねじ」として規定されています。一般的なM3以上のねじと異なり、頭部の高さや直径が極めて小さく設計されています。
  • 高度な頭部・溝の加工技術小型電子機器などの薄型化に伴い、頭部が平らで非常に薄い「極薄頭」形状が多く用いられます。また、微小な工具で確実に締め付けられるよう、ドライバー溝(十字穴など)の潰れ(舐め)を防ぐ高精度な成形技術が必要です。
  • 厳しい異物・バリ対策電子基板や光学機器の内部で使用されるため、微小なバリや油脂・金属粉の付着がショートや不具合の原因となります。そのため、精密な洗浄やクリーン環境下での品質選別が徹底されています。

精密ねじは主に呼び径M2以下の極小サイズで、ミクロン単位の厳格な精度管理が特徴です。通常のねじ(M3以上)と異なり、スマホや車載基板など高度な小型化・薄型化が求められる精密機器に使用されます。

日東精工の精密ねじの特徴は何か

 日東精工の精密ねじは、単に「小さい」だけでなく、高い締結機能(セルフタッピン・緩み止め)と、自社製自動ねじ締め機との適合性を極めた設計に大きな特徴があります。

日東精工の精密ねじにおける主な特徴・強み

  • 極小・極薄化技術(マイクロスクリュー・極低頭)呼び径M0.6〜M1.2といった極小サイズに加え、頭部の高さを極限まで削ぎ落とした「極低頭ねじ(ラミクスなど)」を展開。スマートフォン、カメラ、車載電子基板などの超薄型・軽量化設計に貢献しています。
  • 独自機能「タイトシリーズ」(断面おむすび形状)めねじ(ネジ穴の溝)を切る工程が不要で、直接樹脂や金属板に打ち込めるセルフタッピンねじ群(Pタイト、Bタイト、Mタイトなど)が主力です。ねじの断面が断面が三角形に近い「おむすび形状」になっており、低い力でスムーズに入りつつ、強固な保持力と優れた耐振動(ゆるみ止め)性能を発揮します。
  • 自動組み立て機器・ロボットとの高い相乗効果同社は「自動ねじ締め機」の国内トップメーカーでもあります。そのため、自動化ラインでねじ締めロボットが供給・締結する際に「ねじが詰まらない」「斜めに入らない」よう、ロボット側の機構に合わせた形状設計がなされています。
  • 超高精度な選別・品質管理自社開発の画像・光選別機(ミストルシリーズ等)を用い、微小なバリや異物混入、寸法誤差をミクロン単位で全数選別・排除する体制を整えています。電子基板でのショートや自動組み立てラインの停止トラブルを防ぐ高い品質保証が強みです。

 ねじ単体(ファスニング)だけでなく、それを組み立てる「機械」や「検査」までグループ内で一貫対応できる「締結のトータルソリューション」が同社独自の強みとなっています。

極小・極薄頭技術に加え、断面がおむすび形状で高い緩み止め効果を持つ独自ネジを展開。自社製自動ねじ締め機に対応したトラブルを起こしにくい形状設計と厳格な画像全数選別により、高品質を誇ります。

データセンターでの精密ねじの用途は何か

 データセンター(AIサーバーやストレージ等)における精密ねじの主な用途は、「電子基板(マザーボード)の固定」「HDD・SSDの精密組み込み」「高密度筐体(ラックマウントケース)の固定」などです。

 特にAIデータセンターなどの最先端施設においては、以下のような技術的要求に応えるために精密ねじが用いられています。

データセンターでの主な用途

  1. AIサーバー・電子基板(PCB)の固定高精度なCPU/GPUプロセッサや高速通信回路が敷き詰められたメイン基板を、サーバー筐体内のフレームやヒートシンク(放熱部材)にミリ単位・ミクロン単位で正確に締め付けて固定します。
  2. ストレージ(HDD・NVMe SSD)ユニットの内部固定大容量ストレージアレイの内部パーツや、精密なディスク駆動部、冷却用ファン、電源モジュールなどの締結に使用されます。
  3. 薄型・高密度ラックマウント筐体の締結1Uや2Uといった限られた高密度のサーバーケース構造において、薄型かつ高強度で固定するために頭部が極めて薄い精密ねじ(極低頭ねじなど)が用いられます。

なぜ特別な精密ねじが必要なのか?

AI向けなどのデータセンター機器では、一般的なねじにはない高精度な性能が求められます。

  • ショート(短絡)防止の切粉(きりこ)対策ねじをねじ込む際に金属の微小なバリや切粉が発生すると、基板上に落ちて回路を短絡(ショート)させ、高価なAIサーバーを破壊するリスクがあります。そのため、粘着剤などを先端に塗布して切粉を吸着・キャッチする特殊構造の精密ねじ(日東精工などの独自特許品)などが重宝されています。
  • 振動対策とメンテナンス性強力な冷却ファンによる常時振動でねじが緩まない構造(セルフタッピン・おむすび形状など)や、繰り返し脱着してもねじ山が崩れにくい精度が求められます。
  • 高放熱構造の圧着発熱の大きいGPUやCPUとヒートシンク(水冷ブレード等)を均一な圧力で接合・固定し、放熱効率を最大化する精密な締め付けが必要です。

サーバー内のGPUや電子基板の固定、HDD/SSD等ストレージの組込、薄型筐体の締結に使用されます。強力なファンの振動対策や、ねじ込み時の微小な切粉による基板ショート防止など高い信頼性が求められます。

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