アミタHDの100%再資源化事業

科学系ニュースのイメージ 材料関連ニュース

この記事で分かること

インドネシアでの再資源化事業

現地で発生する産業廃棄物やバイオマス資源を独自技術で100%リサイクルし、セメント製造の天然資源や石炭の代わりとなる「代替原料・代替燃料」に加工して供給するサーキュラーエコノミー事業です。

セメント産業のCO2排出削減の重要性

世界のCO2排出量の約8%を占める上、原料の熱分解という化学反応自体から大量のCO2が発生します。代替困難な必須社会インフラ資材であり、地球規模の脱炭素達成にこの分野の削減が不可欠だからです。

汚泥・焼却灰・スラグの再利用方法

粘土や石灰石などの天然原料と同等の成分(シリカや鉄分等)を含むため、前処理や調合を経てセメントの代替原料(ARM)や高炉セメント、道路の路盤材といった土木建築資材へ100%再利用されます。

アミタHDの100%再資源化事業

 アミタホールディングス(アミタHD)は2026年8月、インドネシアにおける100%再資源化事業の本格展開に向け、現地合弁会社への増資および第三者割当増資による建設資金の確保を発表しました。

 セメント産業向けの代替原料(ARM)および代替燃料(AF)などの再資源化事業の展開を進めています。

どんな再資源化事業を行うのか

 アミタグループがインドネシアで行うのは、産業廃棄物・一般廃棄物・バイオマス資源を独自技術で100%リサイクルし、セメント産業向けの「代替原料」および「代替燃料」として製造・供給する事業です。マレーシアで先行して確立した再資源化モデルを水平展開する取り組みです。

主な製造製品と役割

  • 代替原料(ARM: Alternative Raw Material):汚泥や焼却灰、スラグ等の産業副産物を調合し、セメント製造に必要な天然資源(粘土や石灰石など)の代用品として供給します。
  • 代替燃料(AF: Alternative Fuel): 可燃性の廃棄物やバイオマスを加工し、セメント窯を加熱する石炭の代替エネルギーとして活用します。

事業・技術的特長

  • 独自の「調合」ノウハウ: 性状や発生量・時期が不安定な各種廃棄物を高度に組み合わせ、セメントメーカーの厳しい品質要求水準(熱量・成分など)に合致した製品に変換します。
  • 低環境負荷プロセス: 加工プロセス自体で火や水を使用しないため、再資源化の工程でCO2や排水をほとんど排出させません。
  • 完全リサイクル(残渣ゼロ): 受け入れた廃棄物を埋め立て処分することなく、100%資源として循環させます。

連携・サプライチェーン

  • 原材料調達: 合弁パートナーであるサリムグループの強固な現地ネットワークを活かし、インドネシア国内の排出企業から産業廃棄物やバイオマスを収集します。
  • 製品供給: 大手セメントメーカー「インドセメント(Indocement)」等の工場へ代替原燃料として納入します。

 セメント産業のCO2排出削減と天然資源(石炭・鉱物)の採掘抑制、そして現地での廃棄物適正処理を同時に解決するサーキュラーエコノミー事業となっています。

現地で発生する産業廃棄物やバイオマス資源を独自技術で100%リサイクルし、セメント製造に必要な天然資源や石炭の代わりとなる「代替原料・燃料」へと加工して供給するサーキュラーエコノミー事業です。

なぜセメント産業のCO2排出削減が重要なのか

 セメント産業は全世界のCO2排出量の約7〜8%を占める超・多排出産業であり、社会インフラの建設に不可欠で代替が難しいため、脱炭素(ネットゼロ)社会を実現する上で最重要の解決課題(ハード・トゥ・アベート分野)とされています。

排出量が大きく削減が重要理由

  • 「化学反応由来(プロセス排出)」のCO2が約6割を占める
    • 燃料の燃焼による排出だけでなく、主原料である石灰石(CaCO3)を熱分解して生石灰(CaO)を作るプロセス自体から大量のCO2が脱離・発生します。単なる省エネや再生可能エネルギーへの転換だけではCO2をゼロにできません。
  • 全世界の排出量の約7〜8%に達する圧倒的スケール
    • 単一の産業でありながら、国別排出量で言えば世界第3位(中国・米国に次ぐ)に相当するほどの膨大なCO2を出しているため、セメントの脱炭素化が進まなければ地球規模の気候変動対策が成り立ちません。
  • 今後も世界的な需要が維持・拡大する
    • 新興国の都市化・人口増加、先進国における老朽化インフラの更新、気候変動に伴う防災・減災工事などにより、セメント需要は今後も世界的に高く推移します。
  • 経済性・強度で代替可能な素材が存在しない
    • 木材や新素材への置き換え研究が進むものの、大規模建造物や社会インフラに必要な強度・施工性・コスト・供給量を一手に満たせる完全な代替品は存在しません。

CO2削減に向けた主な取り組み

  • 代替原料(ARM)の利用: 石灰石の代わりに汚泥やスラグなどの廃棄物・副産物を使い、化学反応によるCO2発生を抑える。
  • 代替燃料(AF)の利用: 化石燃料(石炭)の代わりに廃棄物プラスチックやバイオマスを燃焼させる。
  • 混合セメントの普及: セメントに高炉スラグやフライアッシュを混ぜ、製造時のセメントクリンカー比率を下げる。
  • CCUS(CO2回収・利用・貯留): 排出ガスからCO2を直接回収し、地中に貯留したりコンクリートの中に固定化(ネガティブエミッション化)する。

セメント産業は世界のCO2排出量の約8%を占める上、原料の熱分解という化学反応から大量のCO2が発生します。代替困難な必須インフラ資材であり、脱炭素社会の実現にこの分野の削減が不可欠なためです。

代替原料、ARMとは何か

 再資源化事業におけるARMとは、Alternative Raw Material(代替原料)の略称で、産業廃棄物や副産物をセメントなどの天然原料の代用品として加工・調合した製品のことです。

主な特徴と役割

  • 天然資源の節約汚泥や焼却灰、スラグ等に含まれる成分(シリカ、アルミナ、鉄分、カルシウム等)を活用し、セメント製造に必要な粘土・石灰石・珪砂・鉄鉱石などの天然鉱物資源の代わりに投入されます。
  • CO2排出量の削減石灰石などの天然原料の使用量を減らすことで、熱分解(脱炭酸反応)時に発生するCO2(プロセス排出)を直接抑制できます。
  • 廃棄物の100%リサイクル本来は埋め立て処分されていた産業廃棄物をセメント原料として完全に組み込むため、二次廃棄物(残渣)を出さない完全循環を実現します。

 セメントメーカーにとっては「原料調達コストの削減」と「環境対応」、排出企業にとっては「廃棄物の適正処理・再資源化」を両立するサーキュラーエコノミーの重要資材です。

汚泥や焼却灰、鉱さい(スラグ)などの産業副産物を独自技術で調合し、セメント原料として再利用できるように加工した製品のことで、セメントに使われる天然資源の代用品として利用されています。

汚泥や焼却灰などをどのように再利用するのか

 汚泥、焼却灰、鉱さい(スラグ)はいずれも、成分中にシリカ(SiO₂)、アルミナ(Al₂O₃)、酸化鉄(Fe₂O₃)、石灰(CaO)といったセメントの天然原料(粘土・石灰石・鉄鉱石)と同等の元素を豊富に含んでいます。

 そのため、適切な前処理と成分調合を行うことでセメントの代替原料(ARM)や土木建築資材として化学的・物理的に組み込まれ、100%再利用されます。

品目ごとの主な再利用方法

1. 汚泥(無機汚泥・下水汚泥・有機汚泥)

  • セメント原料(粘土の代替): 水分を除去(脱水・乾燥)した後、粘土の代用品としてセメント窯へ投入します。1,400℃以上の超高温で焼き固められ、セメントの中間生成物(クリンカー)の一部となります。
  • コンポスト・造粒骨材: 有機汚泥は発酵させて農地肥料に、無機汚泥は焼成して人工骨材やレンガの原料に加工されます。

2. 焼却灰(都市ごみ焼却灰・石炭灰)

  • セメント原料(粘土・ケイ砂の代替): 石炭火力発電所の「石炭灰(フライアッシュ)」や自治体のごみ焼却灰から塩分や異物を除去処理し、粘土の代用品として使用します。
  • エコセメント: ごみ焼却灰や下水汚泥灰を原料の半分以上(約50%超)使用する環境配慮型セメントの主原料として利用されます。
  • 路盤材・地盤改良材: 灰を溶融・固化(スラグ化)させ、道路の路盤材や舗装用フィラーとして活用します。

3. 鉱さい(高炉スラグ・製鋼スラグ・非鉄スラグ)

  • 高炉セメントの混合材: 製鉄の副産物である高炉スラグを急冷・粉砕した「水砕スラグ」は、水と反応して固まる性質(潜在水硬性)を持ちます。これをセメントに混合することで、海水や化学物質に強い高炉セメントが作られます。
  • セメントの鉄分補強材: 製鋼スラグや銅スラグなどは、セメント製造に必要な鉄分供給源として添加されます。
  • 人工砂・人工石: 港湾工事の地盤改良材(サンドドレーン用)や、道路の舗装材・消波ブロックの骨材として天然砂や石の代わりに利用されます。

なぜ安全に100%再利用できるのか?

  • 超高温での焼き固め(1,400℃以上)セメント窯の超高温焼成により、有機化合物やダイオキシン類は完全分解されます。重金属類もセメントの結晶構造の中に強固に取り込まれるため、使用時に溶出する心配がありません。
  • 残渣(ゴミ)が出ない灰や無機成分そのものがセメントの構成成分(カルシウム化合物・珪酸塩化合物など)に変化するため、二次廃棄物(埋め立てゴミ)が発生しません。

汚泥や焼却灰、スラグは粘土や石灰石などの天然原料と同等の成分を含むため、前処理や調合を経てセメントの代替原料(ARM)や高炉セメント、路盤材などの土木資材へ100%再利用されます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました