竹中工務店のサーキュラーコンクリート

コンクリートのイメージ画像 脱炭素

この記事で分かること

竹中工務店のサーキュラーコンクリート

竹中工務店は2027年国際園芸博覧会(GREEN×EXPO 2027)の竹中グループ出展施設「竹中グループ くるくるく」の独立基礎の構造体に「サーキュラーコンクリート」を初めて適用することを発表しています。

 仮設施設での実証実験を経て、竹中工務店は一般の建築物の構造体としてもサーキュラーコンクリートを本格展開できるよう、2027年夏頃の国土交通大臣認定の取得を目指しています。

 これにより、建設・解体スクラップの循環利用モデルが確立され、建設業界全体の脱炭素化を牽引することが期待されています。

サーキュラーコンクリートとは何か

 サーキュラーコンクリートとは、建物の解体時に発生するコンクリート廃材(コンクリートがら)を高度に処理・精製し、再び新しい建物の構造材料として完全循環(水平リサイクル)させる環境配慮型コンクリート技術です。

サーキュラーエコノミー(循環型経済)の概念をコンクリート分野に適用したもので、従来の課題を克服した次世代の建設資材として注目されています。

サーキュラーコンクリートの仕組みと革新性

  • 「水平リサイクル」の実現
    • 従来、解体で出たコンクリート廃材は砕いて道路の下に敷く「路盤材」などに利用される(ダウンサイクル)ケースが主流でした。これに対し、サーキュラーコンクリートは元の建物と同等以上の品質を持つ構造用コンクリートとして再生するため、資材としての価値を落とさずに循環させることができます。
  • 再生骨材(砂利・砂)の高精度精製
    • コンクリートの約8割の重量を占めるのは砂利や砂(骨材)です。廃材から付着したセメントペースト部分を削り取り、高品質な「再生骨材」を取り出す高度な破砕・摩砕技術を活用しています。
  • 大幅なCO2排出削減
    • 天然の砂利・砂を山や川から採取・搬送する必要がなくなることに加え、高炉スラグなどの副産物を活用した低炭素セメントを組み合わせることで、従来のコンクリートと比較して製造・調達過程でのCO2排出量を約50〜60%削減します。
  • 都市型資源(都市鉱山)の活用
    • 建設現場近郊の解体現場から廃材を回収・精製して現場に戻す「地産地消型」の運用が可能なため、原材料の長距離輸送に伴うトラックの排気ガスやCO2削減にも寄与します。

 天然資源の乱獲を防ぎ、コンクリート廃材を「廃棄物」ではなく「循環資源」に変える技術として、脱炭素社会の実現に向け普及が進められています。

サーキュラーコンクリートとは、解体建物のコンクリート廃材から高精度に取り出した「再生骨材」を活用し、新しい建物の構造材へ完全循環させる技術です。天然資源の消費を防ぎ、CO2排出量を約6割削減します。

どのように再生骨材の高精度精製をしているのか

 サーキュラーコンクリートの鍵を握る「再生骨材の高精度精製」では、コンクリート廃材に含まれる「古いセメントペースト(モルタル)」をいかに綺麗に取り除き、元の天然石(砂利・砂)の状態に近づけるかが最大の技術的ポイントとなります。

 通常の破砕だけでは石の表面にセメントがこびりついたままであり、強度や吸水性の面から構造用コン クリートには使えません。そのため、以下のような高度なプロセスを経て精製されます。

高精度精製における主な3つの工程

  1. 一次・二次破砕(粗破砕)
    • ジョーダクトやインパクトクラッシャーなどの大型破砕機を使用し、解体されたコンクリート塊をまずは扱いやすいサイズへと段階的に細かく砕きます。この段階で鉄筋などの異物は磁選機等で完全に除去されます。
  2. 摩砕・すりもみ処理(付着モルタルの剥離)
    • 破砕された骨材同士を高速で衝突させたり、機械的な摩擦(すりもみ)を加えたりします。また、必要に応じて加熱処理を併用する「加熱すりもみ」などの技術も用いられます。
    • これにより、硬い石の表面に付着している脆いセメントモルタル層だけを効率よく削り取り、分離させます。
  3. 分級と微粉の除去
    • 破砕・摩砕によって生じたセメントの微粉末(コンクリート微粉)と、きれいになった骨材を、振動篩(スクリーン)や風力・水力選別機を用いて正確に振り分けます。
    • セメント微粉を取り除くことで、骨材の密度を高め、コンクリートに混ぜたときの「水和反応を阻害する要因」や「過剰な吸水」を防ぎます。

品質の担保と「再生骨材H」

 こうした一連の高精度精製を経ることで、JIS規格における最高品質である「再生骨材H」(構造用コンクリートに使用可能な高品質骨材)が製造されます。天然の砂利と同等レベルの品質を確保できるため、新たな採石を減らしながら建物の構造体に耐えうる強度を担保できるようになります。

コンクリート廃材を破砕・摩砕し、石の表面に付着した古いセメントペーストを機械的な摩擦などで効率よく剥離・除去します。さらに微粉を分級して取り除くことで、天然石と同等の品質を持つ再生骨材を得ます。

サーキュラーコンクリートの課題は何か

 サーキュラーコンクリートは脱炭素や資源循環の鍵として期待される一方で、普及・実用化に向けては主にコスト、供給体制、品質管理、市場の受容性の4分野で課題が存在します。

1. 高い製造・処理コスト

  • 精製エネルギーと装置費用: 廃材からセメントペーストを削り取り「再生骨材H」を作る摩砕処理には、高度な機械設備と大きな電力エネルギーが必要です。
  • 採算性のハードル: 新しく山や川から採掘する天然骨材は比較的安価に流通しているため、精製プロセスにかかるコストの分だけ、天然品よりも価格が高くなりやすい構造があります。

2. 原料調達と安定供給の制約(地産地消の難しさ)

  • 解体現場と需要のミスマッチ: コンクリート廃材は特定の解体現場から一時的に大量発生するため、建物を建設したい時期・場所に合わせた安定供給の調整が困難です。
  • 回収・運搬の効率: 近くに高度な再資源化プラントがない場合、長距離の運搬が必要となり、輸送時に排出されるCO2やコストが増加して「地産地消」のメリットが相殺されます。

3. 微粉(副産物)の処理と有効利用

  • 副産物の発生: 摩砕工程でセメントペーストを削り取る際、大量の「コンクリート微粉(粉末)」が排出されます。
  • 利用先の確保: この微粉を処分費をかけて捨てるのではなく、セメント原料や地盤改良材などに100%有効利用するアップサイクル手法の確立が課題となっています。

4. 品質ばらつきと構造規格への対応

  • 元となる廃材の多様性: 解体現場ごとに元のコンクリートの強度や品質が異なるため、均一な品質の再生骨材を製造する技術管理が不可欠です。
  • 建築認定のハードル: 基礎などの重要構造部材に適用する場合、個別の技術評価や大臣認定の取得が必要となり、実務レベルで汎用化するまでに手続きと検証の時間がかかります。

主な課題は、摩砕処理等の高度精製に伴う製造コストの高さや、解体現場に依存する原料調達の不安定さです。また、精製時に出る大量の微粉の処理方法や、元廃材による品質ばらつきの抑止、普及に向けた規格認定も挙げられます。

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