三菱電機のプレート熱交換器

ヒートポンプのイメージ画像 エネルギー関連

この記事で分かること

三菱電機のプレート熱交換器

 三菱電機は、ヒートポンプ式冷熱機器の効率を大幅に引き上げるプレート熱交換器の開発を行ったことを発表しています。

 板状プレートの間に、波形構造をずらして配置する微細な「オフセットフィン」を高密度に配置したことや流出入部の「分配流路」で偏流を解消したことで従来の定置空調用プレート熱交換器と比較して伝熱性能を約3倍に向上させています。

プレート熱交換器とは何か

 プレート熱交換器は、薄い金属板(プレート)を多数重ね合わせ、板の隙間に「温かい流体」と「冷たい流体」を交互に流すことで、効率よく熱を移動させる装置です。

仕組みと主な構造

  • 交互の流路構造: 金属板を挟んで2種類の流体(冷媒、水、ガスなど)が直接混ざり合うことなく別々の流路を流れ、金属板を介して熱のみが移動します。
  • 表面の波形加工(フィン): プレート表面に刻まれた微細な凹凸が流体に強制的に渦(乱流)を発生させ、薄い板一枚あたりの熱伝達率を極限まで高めています。

主な接合方式

  • ブレージング(銅・ニッケル溶接)型: プレート同士を加熱接合した密閉構造。高気密・高耐圧のため、空調機やヒートポンプなどの冷媒回路で主流です。
  • ガスケット(ボルト締結)型: プレート間にゴムパッキンを挟んでフレームで圧着する構造。解体・メンテナンスや枚数調整が容易で、食品・化学プラントなどで用いられます。

従来方式(多管式/シェル&チューブ式)との比較

項目プレート熱交換器の特徴
熱伝達性能乱流が発生しやすいため、多管式の数倍高い伝熱性能を発揮
サイズ・重量高効率なため、同等能力の多管式に比べ設置面積を1/3〜1/5に小型化
弱点・課題微細な流路を通すため目詰まりが起きやすく、流体抵抗(圧力損失)が大きい

プレート熱交換器とは、薄い金属板を多数重ね、板の隙間に2種類の流体を交互に流して熱移動を行う装置です。流体を混ぜずに板越しに効率よく熱を伝えるため、小型・軽量でありながら非常に高い伝熱性能を発揮します。

三菱電機の新しいプレート熱交換器の特徴は

 三菱電機の新開発プレート熱交換器の主な特徴は以下の通りです。

幅広い分野への応用可能性

 家庭用・業務用の空調機器だけでなく、エコキュート(給湯器)や電気自動車(EV)用ヒートポンプの小型化・省エネ化への展開が見込まれています。

伝熱性能が従来比約3倍

  高密度の「微細オフセットフィン」を配置することで、熱移動の効率を飛躍的に高めています。

「分配流路」による偏流の解消

 独自解析で設計した流出入部の分配流路により、気体と液体が混ざった冷媒をプレート全域へ均一に流す構造を実現しました。

冷媒使用量を約1/3に削減

 高効率化によってプレートの積層数を減らせるため、機器内部に必要な冷媒の充填量を従来比で約3分の1に抑えられます。

安全性向上と環境負荷の低減

 地球温暖化係数(GWP)が低い微燃性冷媒の使用量を削減できるため、環境保護だけでなく漏洩時の安全性を高められます。

微細なオフセットフィンと独自の分配流路により、伝熱性能を従来比約3倍に高めた点です。冷媒充填量を約3分の1に削減して環境負荷低減や安全性を向上させ、空調機やEV用ヒートポンプの小型・高効率化に貢献します。

微細オフセットフィンとは何か

 微細オフセットフィンとは、熱交換器の流路内に配置される金属製の放熱・受熱用フィン(ヒレ状構造)の一種で、波状の流路を「互い違い(オフセット)」に交差・切断してずらした微細構造のことです。

構造と仕組み

  • 互い違いの断続構造: まっすぐな流路ではなく、短冊状に切断されたフィンが千鳥状(レンガを互い違いに積むような形)に配置されています。
  • 微細(マイクロ)化: 数ミリ以下レベルの非常に緻密なサイズで隙間なく配置されており、限られた容積の中に膨大な伝熱面を詰め込んでいます。

伝熱性能が飛躍的に高まる理由

  1. 伝熱面積の極大化: 平板だけの場合に比べ、プレート間の空間に微細フィンが密に入り組むため、冷媒や水が触れる表面積が格段に増えます。
  2. 「温度境界層」の連続破壊(攪拌効果): 流体は流れる際に金属壁の近くで熱が伝わりにくい層(温度境界層)を作ります。オフセットフィンは流路を細かく切断しているため、流体が通過するたびに境界層が途切れて再形成され、激しい乱流が起きることで効率よく熱が移動します。

従来の課題と今回のブレイクスルー

  • 課題(流体抵抗と偏流): フィンを微細かつ密にするほど熱はよく伝わりますが、代わりに流体が流れにくく(圧力損失が大きく)なり、内部で偏り(偏流)が発生しやすいというトレードオフがありました。
  • 三菱電機の解決策: 独自の気液二相流解析を用い、フィンの流出入部に冷媒を均一に行き渡らせる「分配流路」を新開発。これにより微細オフセットフィンの高伝熱性能を100%引き出すことに成功しました。

微細オフセットフィンとは、熱交換器の流路内に短冊状の板を互い違い(千鳥状)に配置した微細構造です。流体を攪拌して熱が伝わりにくい層を壊し、伝熱面積を大きく広げることで熱移動効率を劇的に高めます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました